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ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

戦火の馬(War Horse)

2012-03-05 22:37:23 | 映画

戦火の馬を観ました。

スピルバーグ作品と聞き、にわかに興味がわいたので。

例によって前知識なしで観ましたので後で知ったのですけど、同名の児童文学が原作なんだそうですね。どうりで物語がロマンチックで、オムニバスのように構成されている説話のひとつ一つが比較的ライトな演出なわけです。児童向けですから必要以上のドラマチックさは必要ないですし、飽きないように小気味よく話が進行しないといけません。映画も子供が観て楽しむことを想定している作りだと思いました。もちろん、大人が観ても楽しいです。

ストーリーは、ジョーイという名のサラブレッドが辿る数奇な運命を描いています。舞台は第一次世界大戦直前のイングランド・デヴォン州から始まります。ある牧場で産まれたサラブレッドの子馬は、馬体が美しい、鹿毛の素質豊かな子。いまでこそ競走馬としての地位を築いているサラブレッドですけど、当時は貴族階級の乗馬用くらいの用途で、一般的には農耕馬のほうが調法されてました。そんな時代なんですけど、この子馬があまりにも美しいので、農耕馬を求めにオークションにきた小作農のテッド・ナラコットが、自分の地主との競りに勝ち、オーナーになります。家に連れて帰ると、案の定奥さんのローズに怒られます。息子のアルバード(アルビィ)が調教することを条件に、なんとか飼っていいことになりました。アルヴィは子馬にジョーイという名前をつけます。ジョーイはうまれつき賢く、またアルヴィの努力のかいがあって、素直ないい馬に育ちます。石だらけの荒れた土地を、アルヴィとジョーイの努力で立派な畑に生まれ変わらせることができました。だけど、嵐のせいで収穫ができなかったテッドは、経済的な理由でジョーイを手放さざるを得ません。ジョーイに黙って。オークションで買ったときと同じ値段で騎兵隊のニコルズ大尉に売ります。こうしてジョーイの放浪の旅が始まります。ニコルズ大尉から、ドイツ軍の少年兵ギュンターとミヒャエルの兄弟、フランスで農家を営むおじいちゃんと二人暮らしのエミリーと渡り、ふたたびドイツ軍に徴収され、馬の世話係ブラントのもとに。ドイツ軍の敗戦による混乱のなか前線に取り残され、逃げる途中で有刺鉄線に絡まり、戦場のど真ん中で身動きができなくなるジョーイ。そんなジョーイを間に挟み対峙する英国とドイツの両軍から、ジョーイを助けるべく兵士がひとりずつジョーイのもとへ向かい、協力してジョーイを助けます。生死をかけた戦場に、つかぬま訪れた平和。ジョーイが、争いより大切ななにかを教えてくれるような気がします。交渉のすえ英国兵の手に渡ったジョーイは、野戦病院でアルヴィと感動の再会をします。戦争が終わって、ジョーイはアルヴィの意に反しオークションにかけられることになります。アルヴィは、戦友や上官から好意のカンパを得てオークションに臨みますけど、そこに現れたエミリーのおじいちゃんに競り負けます。ところが、おじいちゃんがアルヴィとジョーイの関係を知り、アルヴィに馬を譲ります。こうしてジョーイはふたたび懐かしいイングランドのナラコット毛家に戻り、アルヴィと暮らせることになりましたとさ。

映像がとても美しいです。ノスタルジックな風合いで、どこか浮き世離れしたロマンチックな物語の世界観がよく出ています。イングランドの田園風景にぴったりです。

それから、音楽はジョン・ウィリアムス。スピルバーグといえばこの人ですよ。物語をとおして素敵な音楽が流れ、ミュージカルのようです。

キャスティングは無名の役者さんが多いようですね。そういえばスピルバーグ監督は、あまりスターを使わないですね。だけど、スーパーエイトのときもそうでしたけど、無名ながらしっかりした役者さんを起用していて、みんなすごく印象に残るんです。スターを使うことで、そこに注目が集まるばかり、脚本や演出そのものの良さが薄れてしまうことを避けているのかもしれませんね。それからこの作品は、基本的にヨーロッパの俳優を起用しているそうです。英語の響きが心地いいんです。これもロマンチックな物語を演出することに一役買ってますね。

まず何といってもジョーイですね。CGを使っているのかいないのかわかりませんけど、表情がとっても豊かなんです。ジョーイに感情移入してしまいます。かっこいいし、可愛い。

アルバートを演じたジェレミー・アーヴィンは、青年期の爽やかさと優しさ、ナイーブさと意志の強さを好演しました。優しさあふれる表情にやられます。アルヴィのパパとママも素敵です。

物語の進行上、ドイツ軍が悪役になるのは仕方ないのですけど、そんななかにあっても、ジョーイに関わるドイツ兵はみんな、馬に対する愛情にあふれています。エミリー役のセリーヌ・バケンズも可愛い。スピルバーグ作品は、可愛い少女が出てくるので好きw。

加えて、ガチョウのハロルドが楽しいです。物語の序盤に笑いを提供してくれます。

スピルバーグ監督の作品らしく、無駄がなくクオリティが高いです。鑑賞後に、映画を観たーって気持ちにさせてくれます。映画はたまに観に行くというひとにとって、期待を外すことがないですね。それでいて、けして平凡な作品というわけでもありません。とくに5、60年代の映画が好きなひとにとっては、どこか懐かしい雰囲気を感じながら楽しめるかもしれません。

子供から年配のかたまで、幅広いかたにオススメできる好作だと思います。


ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(Extremely Loud & Incredibly Close)

2012-02-29 23:43:34 | 映画

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いを観ました。

予告でSeptember.11をテーマにした作品であることを強調していましたけど、この作品は謎解きの物語です。なのでストーリーを書くのは控えます。ネタばらしになっちゃいますからw。

オスカーはニューヨークの対岸、ニュージャージーに住む少年。小さな宝石店を営むパパと仲良しで、二人で命名した調査探険っていう遊びに夢中です。最近の探険テーマはニューヨークの失われた第六区の痕跡を探すこと。そんな普通の生活を送っていたオスカーを突然悲劇が襲います。September.11、たまたま商談で世界貿易センタービルを訪れていたパパが、テロに巻き込まれてしまいます。家族に伝言メッセージを残してパパは逝ってしまいます。ママは誰も入っていない棺でお葬式を上げました。それから1年、オスカーはパパのクローゼットで偶然、鍵をひとつ見つけました。パパの遺品が見つかるかもしれないと思ったオスカーは、鍵を差し込む「何か」を探し始めます。鍵が入っていた袋に書いてあった「Black」という単語だけを頼りに。

観る前に知っておくと便利なのが、ニューヨークの行政区ですね。ニューヨークは、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタデンアイランドの5つの行政区でなっています。6番目の行政区がかつてあったのかどうかはわかりませんけど、あると思ったほうが、ロマンチックかもしれないですね。

この作品には謎がいっぱい仕込んであります。

・なぜオスカーはこんなにうるさいのか?
・オスカーが見つけた鍵は、何に使う鍵なのか?
・オスカーはなぜママを避けるのか?
・オスカーはなぜ鍵に執着するのか?
・オスカーはどうやって録音機を誰にも聞かせないようにしたのか? そもそもなぜ誰にも聞かせなかったのか?
・オスカーが訪ねたブラックさん達は、なぜオスカーを不信に思わないのか?
・おばあちゃんの同居人は何者か? なぜ同居人しているのか?
・おばあちゃんの同居人はなぜしゃべらないのか?
・パパは最後に何を言ったのか?
・アニーはなぜ泣いていたのか?

・そもそもタイトルの意味は何?

覚えているかぎりでざっとあげてもこんなに謎があります。この作品の素晴らしさは、謎のひとつ一つを丁寧に解き明かしてくれているところです。だから観終わって疑問が残らず、すっきり映画館を出られるのです。これらの謎を全部解き明かすことができるんですけど、それやっちゃうとネタばらしw。

正直なところ、序盤はイライラしてました。子供っぽい映画だなと思ってました。オスカー主観で物語が進行するので、子供っぽくなります。オスカーの賢しげな振る舞いが苛立ちを増幅させます。でも、オスカーが賢しげでうるさい理由を知ると、納得でき、一気に気持ちが物語に吸い込まれていきます。終わってみれば、とても練りこんだ巧妙なストーリーだと思います。

我慢できないのでちょっとだけネタばらしをしますw。この映画は、発達障害をテーマにした映画でもあります。オスカーは自閉症の検査をした結果ポジティブではなかったようですけど、数字への執着や、年齢のわりに過剰な論理性、ちょっとだけ欠落した社会性など、発達障害に特徴的な症状を示しています。発達障害は、症例の定義が研究途上で、現在進行形な研究分野です。なので、認定がされにくい障がいです。潜在的な発達障害の患者数は、一般に認識されている以上に及ぶと言われています。我々自身が発達障害である可能性もあるのです。大事なことは、周囲のひとの接し方だと思います。まだまだ(あるいは永遠に)、こうしたらいいという接し方のガイドラインのようなものができているわけではないですので、身近なひとほど負担が大きいこともあるんだと思います。オスカーのパパは、発達障害の傾向を察し、オスカーの特徴的な能力を伸ばす方向で成長を期待していたんでしょう。ママも、そんなパパの教育方針に賛成し、パパに任せていたんだと思います。そんな生活を一変させた事件で、オスカーとママの間にいたパパが失われ、お互いに距離を感じるようになったんだと思います。事件の前はパパしか見えてなかったオスカーが、ママの愛に気づきます。クライマックスでは一気に距離が縮まり、そんな二人の優しい気持ちを感じ、観てる我々を感動させてくれます。謎解きにくるまれたもう一つのメインテーマを感じました。

クレジットではトム・ハンクスとサンドラ・ブロックが主演ですが、オスカー主観で進行しますので、実質的にトーマス・ホーンが主役です。少しばかり普通と違う性格のキャラクターを、見事に演じます。子役なんてカテゴリーでくくるのが失礼に思うくらい上手です。

おばあちゃんの同居人役のマックス・フォン・シドーが楽しいです。まったくセリフがないのですが、オスカーに対する特別な感情を表情の演技でみごとに表現していました。

オスカーのキャラクターのせいで、セリフが異常に多いですし、セリフの音量が大きくて高いので、耳と脳に負担がかかります。子供や年配のかたにはちょっとしんどい映画かもしれませんね。決してわかりやすい作品でもないですし。

ただ、やっぱり泣けます。隣の女性は号泣してました。女性がひとりで観るのにもいいでしょうし、カップルも楽しめると思います。オススメです。


はやぶさ 遥かなる帰還

2012-02-12 22:39:07 | 映画

かすかに春の匂いがしてきましたね。もうすぐそばまで来てますよ。

はやぶさを観ました。はやぶさ/HAYABUSA(堤幸彦監督作品)に続き、はやぶさ三作のふたつめ。瀧本智行監督の作品です。ていうか、渡辺謙のはやぶさ。

感動しましたー!。途中、映画を観てることを忘れてしまうくらい、入り込んでしまいました。ひさしぶりに映画で泣きました。やっぱりロストしたはやぶさが見つかるシーンと、帰還するシーンは涙が出ます。帰還するシーンは、マジで涙でちゃんと見れませんでした。

ベースになるはやぶさの物語はご存知のとおり。幾多の困難にもかかわらず、地球に帰還したはやぶさと、プロジェクトに携わった人々の苦労の物語です。

どうしても、はやぶさ/HAYABUSAと比較してしまいます。どちらが良いというわけでなく、両方とも素晴らしいです。両方とも泣けます。はやぶさのほうが大人向けですかね。

一番の違いはサブテーマです。はやぶさ/HAYABUSAは、竹内結子演ずる若手科学者が、はやぶさプロジェクトに関わることで飛躍をとげるきっかけをつかむ、若者の成長ストーリーです。一方はやぶさは、山崎努演ずる町工場のおやじのセリフ「じゅんぐり」が象徴するように、技術継承の大切さを訴える作品です。いずれもメッセージ性の強い作品ですけど、はやぶさの物語がボクら日本人に与える感動の力強さと多様性を物語っているんだと思います。いろんな継承がありました。東出じいちゃん(山崎努)から孫の拓也。松本夏子(中村ゆり)から新人の女性研究員。山口先生(渡辺謙)から藤中先生(江口洋介)。それから、はやぶさからはやぶさ2。

どちらの作品にも共通するサブテーマもあります。技術開発を継続することの大切さがその一つ。糸川先生に始まる日本の宇宙開発が、一歩一歩継続してきた成果が、はやぶさの快挙だったということ。やはり、短期的な視点でしか語られない事業仕分に対するアイロニーがあるんでしょうね。ただまあ、税金の無駄遣いはやめなきゃいかんのも事実。こういう批判を浴びることを厭わない蓮舫さんは、それはそれで偉いと思います。

それから、携わっていた人々が抱く、はやぶさと仕事への愛情を描いているのも共通しています。社会全体がコンサバティブで無気力無感動な時代になってきていますけど、はやぶさプロジェクトが困難に粘り強く立ち向かう情熱は、そんな雰囲気への警鐘であり、がんばっている人たちへのエールです。

演出の違いもあります。はやぶさ/HAYABUSAはダイジェスト的だったと思います。あくまでも両作品を比較したら、ですけど。広報を担当する架空の若い女性キャラクターの目線でストーリーが展開しますから、どこか優しく、若々しく感じます。子供や中高生が観ても楽しい作品だと思います。はやぶさはリアリティを強調したヒューマンストーリー。だから、意見の相違による人と人とのぶつかり合いも描かれています。はやぶさでは、イオンエンジンの複合モード運転を決断する場面で、藤中先生とメーカー(NEC)社員(吉岡秀隆)が衝突したことを丹念に描いていました。

はやぶさの物語は、普通に人を感動させる力を持っていますから、誰が作っても良い作品になる可能性が高いと思います。でも、この作品は渡辺謙による渡辺謙のための映画になりかねない恐れもありました。それほど渡辺謙を中心に撮られてます。でも、そうならなかったのは、山崎努と吉岡秀隆の好演によるところが大きいです。山崎努演じる町工場のおやじが放つセリフは、さりげなくどれも素晴らしいんですよ。「じゅんぐり」とか「仕事は金じゃねーんだよ。金じゃない何かが人間にはあるんだよ」とか。吉岡君はどんな役をやっても吉岡君なのですが、そこがいいんですね。普段はヘナヘナしてるんだけど、キレた時のギャップが凄い。メーカー社員としてイオンエンジンの開発者として、複合モードに反対するシーンが印象的です。

それでもやっぱり、渡辺謙は存在感があります。好むと好まざるとにかかわらず、リーダーは「嫌われ役」に徹する必要があるんでしょう。作品を通じて、山口先生の表情は眉間にシワが寄ってるんですけど、たまに見せる笑顔や涙に感動するんです。20世紀フォックスが作ったはやぶさ/HAYABUSAよりもハリウッド的な印象を受けるのは、渡辺謙が主演だからかもしれないですね。

基本的に男たちの物語ですので、女優さんは物語の中心に出てきづらいのですが、東出じいさんの娘で朝日新聞記者役の夏川結衣と中村ゆいは綺麗でした。夏川結衣、好きなんです。中村ゆいはおひさまに出てましたね。

子供も観にきてたんですけど、どうですかね。完全に大人向けの作品です。難しいという意味じゃなく、華々しいキャッチーなシーンがなく、控えめなんだけど重厚な演出だから。カメラワークも同様です。陰影をはっきりさせた、リアリティを強調していました。仕事がんばっている大人に観てほしい作品です。

かなりオススメです。


ロボジー

2012-02-04 21:03:24 | 映画

寒いですね。でも日中は、なんとなく春の気配を感じるようになってきました。

春の頼りは梅の花。先週はまだこんな感じ。

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ギザギザの月が撮れました。

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さて、今日。昼間に月が出てたんで撮影したら、偶然飛行機が飛んでいました。

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初梅が咲いてました。二輪だけ。元気な奴です。

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月と梅。

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来週にはもっと咲いているでしょう。

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蝋梅でございます。こちらは満開。

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蝋梅の薫りが大好きです。蝋梅には匂い溜りがあります。不思議なことに近づいても匂わないんですね。ところが100mほど離れたところに匂い溜りがあったりして。そんな場所をみつけると嬉しくなり、しばらく離れ難くなります。

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ロボジーを観ました。矢口史靖監督の待望の新作。自分が大好きな邦画のひとつが「スウィングガールズ」です。以来、矢口監督のファンです。

いやあ、後からじわーとくる作品ですね。観終わった直後は「期待したほどでも」と感じたんですけど、やっぱり監督らしい、楽しい作品でした。監督の作品は終わり方がいいんです。ほんのりとしたハッピーエンド。映画館を笑顔で出られるんです。だけど一方で、始まり方はのんびりしてる。ロボジーものんびり始まったので、あれ?期待したほど面白くないかなと思うんだけど、最後まで観て、それからじっくり振り返ってみたら、やっぱり面白いんです。考えてみれば、「ウォーターボーイズ」も「スウィングガールズ」も「ハッピーフライト」もそんな感じでした。監督の作品にはこれからも、こんな面白さの振幅を期待したいと思います。

社長の思いつきで、木村電器のロボット工学は素人の三人組が、一回動けばいいという約束でロボットを作ることになりました。ところが、ようやく動くところまでこぎつけたロボット「ニュー潮風」が壊れちゃいます。お披露目が間近にせまって、追い詰められた三人は、なかに人を入れた着ぐるみで乗り切ろうとオーディションをします。選ばれたのが、鈴木重光。73歳。お披露目となった博覧会でニュー潮風は、踊りを疲労したうえ人助けまでして、一気に人気者になっちゃいます。一回だけという約束が、人気が出ちゃったもんだから二回、三回と重なり、三人は嘘をついてたと言い出しづらい状況になってしまいました。おまけにニュー潮風が助けた女の子がロボット工学を学ぶ大学4回生で、すっかりニュー潮風のとりこになり、木村電器に入社してニュー潮風開発をやりたいと言い出すようになってしまいました。どうなる? ニュー潮風と木村電器トリオ。

矢口作品は、架空の土地が舞台になることがあります。スウィングガールズの米山市もそうでしたね。おまけに米山弁って方言まで創作したりして。ロボジーも設定は架空の街だと思います。北九州市門司港が主なロケ地ですけど、車のナンバープレートは「北九州」ではなかったです。「*中」と読めたんですけど、はっきりわかんなかったです。門司港駅や三井倶楽部が映るシーンが多いです。門司はレトロの街。行ってみたくなりました。ロボジーが初めて披露されるシーンは北九州メディアドーム。ロボジーが孫達のためにサインをあげようと呼び出していたリバーウォーク北九州。コスプレ大会もやってました。行方不明のロボジーを木村電器トリオが探していた海峡プラザ小倉城が佐々木葉子が就活をしていたビルに写っていました。

ロボジーの動きを見てると、そういえばアシモとか二足歩行ロボっての動きって、お年寄りが小走りしてるみたいですね。原点はそういう発想なのかな。

矢口作品の楽しみは、「一般のひとが楽しめる」おたくっぽさです。スウィングガールズでジャズに興味を持ったひとや、ハッピーフライトでキャリアに入りたいと思ったひともいると思いますけど、おたく独特の排他性をなくし、魅力だけ凝縮させた感じ。ロボジーでも、ロボット工学の魅力を存分に見せてくれます。この作品をみてロボットを作りたいと思った子供もいるんじゃないでしょうか。そういう意味でも、矢口作品の持つ意義は大きいと思います。

主役鈴木重光は、ミッキー・カーチス。ヒーローに憧れヒーローに慣れないじいちゃんを好演してます。なにより、ミッキーさんが歌う主題歌「Mr.ROBOT」が凄い!。なにしろ凄い!!。オリジナルのStyxではないなとすぐ気づいたんですけど、てっきり外国人の、それももっと若い人が歌ってるのかと思いました。それほど力強い歌声です。ドモアリガット Mr.ROBOT マタアゥヒマデー♪。

佐々木葉子さんは吉高由里子。もう、吉高さんのイメージピッタリの役です。可愛いのにかなり変な女の子なんだけど、「こいつ実は頭いいんじゃないか?」って思わせる雰囲気。ロボジーにぞっこんのシーンもいいんですけど、憎さ百倍でキレたシーンの演技も最高。

木村電器トリオは、濱田岳、川合正悟、川島潤哉。絵に書いたような凸凹トリオです。

矢口監督はキャスト全員がオーディションするんだそうですけど、それでもお馴染みの俳優さんが登場します。田辺誠一、田畑智子、竹中直人。小野武彦も矢口作品の登場人物っぽくってよかったです。

なにしろラストがいいです。予想通りのお約束な終わり方なんですけど、それがいいんです。ほっこりさせてくれます。

老若男女誰でも楽しめると思います。ハッピーフライトのような派手さはないですが、ある意味ウォーターボーイズやスウィングガールズの原点に戻ったようです。矢口作品らしく、回を重ねる度に面白さが増す作品かもしれません。オススメです。


永遠の僕たち(Restless)

2012-01-15 22:40:28 | 映画

電気ストーブをつけたまま寝入って、布団を焦がしてしまいました。部屋に煙が充満していて、火災報知機の音で目が覚めました。危うく焼け死ぬところでした。皆さんも気をつけてください。部屋の臭いが消えない(´;ω;`)。

「永遠の僕たち」を観ました。海外の作品に加瀬亮が出てるというだけの認識だったんですけど、予告編をみて、ガス・ヴァン・サントが監督してるって知り、さらに女優さんがめちゃくちゃキュートだったので、これは観ないと、と思いまして。

ストーリーを話すとおもしろさが半減するタイプの作品なので、紹介はほどほどに。イーノックは他人の葬儀をのぞき見することが趣味の、不登校の学生。ある日、例によって他人の葬儀に参列していると、とてもキュートな美少女のアナベルに出会います。アナベルは脳腫瘍に犯されているのに、笑顔を絶やさない。そんなアナベルに惹かれるイーノックも、叔母と二人きりで暮らしていたり不登校だったり、影を帯びている。そして、イーノックには、彼だけに見える幽霊がいます。旧日本軍の特攻隊少尉ヒロシ。それぞれ影を背負う三人が、次第に距離を近づけていきます。

この作品の魅力は、とてもガス・ヴァン・サントらしい演出と、ミア・ワシコウスカにつきます。

ガス・ヴァン・サント監督と言えば、「グッド・ウィル・ハンティング」。自分のなかで特別な作品のひとつです。映画に対する自分の好みを気づかせてくれました。特長は、晩秋を迎える美しい街の風景と、すべての青年が経験する大人への扉を開く瞬間を、清涼感溢れるタッチで描く演出。この作品も、そんな監督のイメージに対する期待を裏切りませんでした。

おなじように死を身近に感じていて、だけど死に対する課題が異なる3人が、触れあいながらそれぞれの答えを見つけていきます。将来と死とではテーマが違いますけど、やっぱり「グッド・ウィル・ハンティング」とテイストが似ています。

設定はドラマチックなんですけど、ありがちなお涙頂戴的なシーンがまったくなく、とてもナチュラルです。キャストが感情を強く表現することもなく、静かに物語が進みます。セリフを交わすリズムが日常会話のよう。市井に暮らす普通のひと達が交わす等身大のドラマを、飾ることなく描いています。この辺り、好みが別れるところだと思います。だけど、だからこそ、イーノックとアナベルが心を開き感情を露にする瞬間が、より印象的になっているのだと思います。

イーノック役のヘンリー・ホッパーは、ナイーブな思春期の青年を好演しています。デニス・ホッパーの息子なんですね。映画の最後に、デニス・ホッパーへのオマージュがありました。

我々日本人にとって一番気になるのは、やっぱり加瀬亮。旧日本軍少尉ヒロシの幽霊役です。作品にすっぽりはまっていて違和感がない、いつも通り、透明な役者さんですね。好きです。アナベルが無邪気に、敗戦国日本の比喩として”ナガサキ”の名を出しますが、イーノックとヒロシがさりげなく咎める視線を送る、というシーンがあります。被爆後の長崎市街地の映像も流れ、原爆に対する米国民の誤った認識を正そうというメッセージを感じました。

アナベル役のミア・ワシコウスカが、なにしろ可愛いのです。ベリー・ショートがボーイッシュな魅力を引き立て、たまらなくキュート。ミアを見ているだけで、90分間が満足。途中で気づいたのですけど、シーンごとにミアの衣装が違うのです。ここだけ現実離れしてるんだけど、それでいいじゃんw。ひょっとすると、ラストシーンが、ミアが登場したときの見返り笑顔で終わっているところをみても、ミアの魅力を最大限に引き出すために作られた作品なんじゃないかと思います。どの衣装のミアが一番可愛いか、ランキングしてみても楽しいかもしれませんね。ショートパンツもいいけど、自分はやっぱり白のワンピースかな。

この作品に登場するひと達は、みんな良いひとです。悪人がひとりもいません。「グッド・ウィル・ハンティング」でもそうでしたね。とっても純粋。だからなのか、鑑賞後がとても清々しいです。そして、登場人物の”未来”を感じさせてくれるエンディングが、ボクらを前向きな気分にさせてくれるような気がします。

ですけど、「グッド・ウィル・ハンティング」と違い、基本的に10代のピュアなラブストーリーです。主人公の成長物語的なものをお求めでしたら、ちょっともの足らないと思います。カップルが絆を確かめあうのに良いかも。

オススメです。