俺たちのー おー東京 さあ行こう 世界目指しー♪
FC東京世界デビューイヤーのホーム開幕戦です。蔚山現代(韓国)。国立で開催されるときは快晴になるという2012年の流れは、天皇杯決勝、スーパーカップを経て今日も継続です。絶好のサッカー観戦日和。
90%くらい勝っていた試合です。勝ち点3を逃したと言ってもいいでしょう。カウンター2発で同点にされました。直接的なライバルになる蔚山にホームで勝ちきれなかったのは、先のことを考えると少し不安です。まあ、サポーターは心配症ですから。
ACLを観るのはちょっと難しいです。相手選手のこと、知りませんから。その点蔚山には、イ・グノ、クァク・テヒ、家長、キム・スンヨンがいますから、観戦のきっかけがあって助かりました。蔚山の特長は3つ。
・組織的な守備
・エスチベン
・キム・シンウク
中盤をボックスにした4-4-2を採用しています。守備の時は、縦20mくらいの範囲でコンパクトな陣形を保ち、中央に寄せる形でブロックを形成します。この陣形を維持したまま、試合展開に応じて上下に移動させてきます。東京のバックパスが甘いときは最終ラインも東京陣に入り、前線の選手から東京のCBや権田にプレッシャーをかけてきます。高い位置でボールを奪い、手数をかけずゴールに迫るイメージでしょう。ただ、それだけではありません。東京の攻撃が有効になりそうな時は、サッと自陣に下がることができます。守備に関しては、とてもオーガナイズされたチームですね。ブロックがコンパクトで要所に選手が配置されていて、東京が縦パスを入れるスペースがありません。今日のスタメントップがルーカスではなく千真だということも影響していたと思いますけど、先日対戦した名古屋のルーズさが記憶に新しいだけに、東京がやり辛そうに感じました。守備でもう一点は、サイドの守備です。人数をかけるというわけではないですけど、両SBが強くて速い。とくにナオのサイド、カン・ジンウクのポジショニングと体の入れ方がうまく、ナオがスピードに乗せてもらえませんでした。東京が繰り出す攻撃には5つの長所がありますけど、蔚山はそのうちの3つを潰すことに成功していました。
蔚山が対処できなかった残りの2つ。その一つは、2012東京の武器になりつつあるセットプレー時のサインプレー。今日も結果が出ました。前半37分。ナオがCKをペナルティボックスの外にいた徳永にグランダーのパス。徳永はドリブルで前進し、相手DFが接触する直前にループシュート。キーパーを越えゴールw。東京1-0蔚山。ナオのCKがショート気味にだったのが気になっていたんですけど、ミスではなく狙いだったのかもしれません。
蔚山の攻撃は、エスチベンのプレーがきっかけで始まります。アンカーをイ・ホに任せ、エスチベンがボールを追いかけスイープします。エスチベンがボールを奪って前線に配球するイメージ。案外運動量があってしかもフィジカルも強いので、攻撃の核になってました。ボールを納める先が、193cmのキム・シンウク。蔚山にとってはここが問題でした。キム・シンウクは完封しました。デカイだけでシュートがないです。イ・グノのコンディションもそれほど良くなかったようで、独力突破はできていませんでした。というわけで、キム・シンウク→マラニョンにチェンジしたのでしょう。蔚山にとっては、この交代がよかったですね。スピードでカウンターを狙えるようになりました。もう一つ蔚山にとってよかったのはエスチベンの負傷交代。攻撃のコンダクターがいなくなりましたから、カウンターで東京DFの背後のスペースを狙うことに攻撃の方向性を絞ることができました。
試合終盤、一気に試合が動きます。後半35分、バックパスをGKキム・ヨングアンがダイレクトで前線にフィード。イ・ホがバックヘッドでフリックしたボールがマラニョンの前に落ちます。マラニョンからフリーで走り込んだキム・スンヨンに渡り、ゴール。東京1-1蔚山。東京DFラインがオフサイドを取りきれず、蔚山アタッカー3人がラインに割り込んでいた形。
さて、もう一つの東京が持つ攻撃の長所は梶山。名古屋戦でも相手DFをテクニックとフィジカルで凌駕していましたから、心身のコンディションさえよければ、Jリーグでは安定したストロングポイントになります。さて、国際舞台ではどうなのか?がこの試合一番の興味でした。結果的には、やっぱり梶山は抜群の存在感を見せていました。
後半38分。名古屋戦で見せた、パスをいっぱい繋いで、太田のサイドで崩しシュートまで持っていく攻撃が今日も出ました。徳永が競り勝って奪取したボールを、羽生―アーリア―徳永と渡ってフリーに。ボールを奪うシーンにフォローが二人いて三角形を作る基本がここでもできてます。徳永―羽生―加賀―秀人。ここで縦パスがアーリアに入り、センターラインを超えます。アーリア―羽生―アーリア―羽生。羽生がドリブルで中央の空いたスペースに進出。ボールを繋ぐことで、蔚山中盤の守備陣形を崩します。トップにナオ、左に太田がフリーで、羽生のパスコースが二つ。羽生―太田。マラニョンが下がってきたのでもう一度戻します。羽生―モリゲ。蔚山が太田サイドに動いたので、また中央にスペースができ、アーリアが侵入。モリゲ―アーリア。ここでチャレンジ。DFを背負ったナオに縦パス。と同時にアーリア自身も前に。ナオとのタベーラでアーリアが前線に。これで蔚山のSBが中央に絞り、左サイドに控えていた羽生がどフリーに。アーリア―羽生。羽生がペナルティエリアでパスを受け、丁寧にマイナスのパス。最後は走り込んだ梶山がゴール。なんと18本ものパスを繋いだゴールです。一度縦に入れてみて、崩せないようならもう一度作り直す。相手の陣形を見て、空いてるスペースを使う。リスクテイクする勇気。そして、気持ちを切らさない精神力。名古屋戦の1点目と比較して興味深い点があります。いずれもポゼッションにアーリアが絡んでいること。アーリアは途中交代であってもスムーズに試合に入れることがわかりましたし、ポゼッションを有効にするためのキーマンとなっていることもわかりました。一方で梶山がポゼッションにほとんど絡んでいないこと。最終局面に絡むことを意識しているんでしょう。ポゼッションには支点が必要ですけど、今日はナオでした。このときナオは、トップの位置から動かなかった。だから、ボール回しをしている選手がシュートに至るまでのルートを意識することができたんだと思います。名古屋戦ではルーカスでしたね。千真だけがまったく絡んでいません。これは偶然です。たまたまボールが渡らなかっただけ。東京が無理に陣形を崩すことなく攻撃できることは、ボールを奪われたときのリスクマネジメントにも繋がります。やっぱりポポ東京を象徴するゴールだと思います。東京2-1蔚山。
東京の好調はコンディションの良さが引っ張っていました。今日は、2点目が入ったあと、ちょっと足が止まったような気がします。試合終了が近かったこともあって、精神的なものも影響していたかもしれませんけど。
後半43分、またまた蔚山のカウンター。クァク・テヒがロングボールを東京最終ラインの裏に。抜け出したマラニョンに渡り、ループ。権田の頭を越しゴール。東京2-2蔚山。マラニョンの動きが巧妙でした。真ん中にいたんですけど、波うつように横に走り、モリゲと太田の間のギャップにスルスルっと入っていきました。佐藤寿人のようなプレーですね。見事です。さすがにACLに出場するチームですね。チャンピオンが持つ精神的な強さでしょう。月並ですけど、これがアジア。これでこそACLですよ。
このまま試合終了。東京は勝ち点1を積み、2節を終えてグループ首位キープです。
米本がスタメンに復帰しました。1年ぶりです。まずは試合に出られただけでも賞賛に値すると思います。よくがんばりました。やはり秀人とアーリアのコンビに比べると「ひとりでがんばってる」感がしてしまいます。違いは攻撃時にスペースを見つける視野でしょう。一方で、アグレッシブで粘り強い守備は、怪我前と変わらない米本の長所。ポポさんのことですから、まだまだチャンスはあると思います。
千真。ポストプレーは千真にしては安定していたと思います。千真がポストを落として梶山にシュートを打たせたシーンは、千真がチームフィットしてきている証だと思います。ルーカスとの違いは独力突破力とキープ力です。逆にルーカスにはない長所が千真にはあると思いますから、どんどんトライしてほしいです。
なんだかホームのブリスベン戦がポイントになるような気がします。最終的に得失点差の争いになる可能性もあるので、取れる相手からはしっかり得点したい。
まだ北京とやっていないのでわかりませんけど、東京はアジアのコンペティションで十分に戦えるところを見せています。グループ突破の切符は一つだけですけど、可能性はあるのでがんばりたいですね。