先頃朝日に、“ ピーテル・ブリューゲル(父)の大作をプラド美術館が新たに確認した ” という記事が載った。
記事によれば、彼の真作は極めて少なく、作品の規模や重要性から、“ 美術史に残る大発見となる可能性がある ” としている。
その、「聖マルティヌスのワイン」(写真上:朝日新聞から)と題する大型のテンペラ画は、1565~68年に制作されたとみられ、個人が所有していた絵を同館が数カ月間かけて分析、真作と断定したらしい。
記事は、“ ブリューゲルの現存作品は、晩年の10年余りのものに集中しており、世界でこれまで40点しか確認されていない” と同館のコメントも載せていた。
ところで、ウィーン美術史美術館。
デューラー、レンブラント、フェルメール、ルーベンス、ティツアーノなどの作品収蔵を誇っているが、何と言ってもこの美術館、ブリューゲル(父)のコレクションが自慢。
16世紀初期、ネーデルランドの画家、素描家にして銅板下絵画家は、農民を題材にした作品を数多く描き、“ 農民ブリューゲル ” とも呼ばれている。
彼の息子も父と同名のため、彼のことを大ブリューゲルとも呼ぶのだが、その辺のことは、<マウリッツハイス>にも書いた。
話は少しそれたが、ウィーン美術史美術館、有名な「バベルの塔」や傑作「謝肉祭と四旬節の喧嘩」「雪中の狩人」「農民の婚宴」、寓意溢れる「農民の踊り」「子供の遊び」、そして「暗い日」「牛群の帰り」など、風刺的寓意画の大家 大ブリューゲルの作品が、ひとつの部屋に10作も並ぶ様は圧巻である。
まさに、大ブリューゲルなら任せとけ、の面目躍如たるところがあるが、風刺的寓意画として面白いのは、ベルリンのゲマルデ・ギャラリーが所蔵する「ネーデルランドの諺」(写真下)だろう。
さして大きくもないキャンバスに、当時の生活を舞台に、様々に繰り広げられる諺や格言の場面が80種類、100以上の説もある。も描き込まれ、傍らにはご丁寧にも全ての諺の謎解きがしてあるのだ。
画家も勿論だが、この絵を文字通り絵解きをし、展示した美術館員の律儀さにも、呆れてしまうのである。
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