昨日私は、学生オケのコンサートに賛助出演してきました。
日本だけでなく、こちらでもチェロは足りない傾向にあり、時々お声がかかります。
今回、私に依頼のあった曲は「ラフォリア」コレルリ・F・ジェミニアーニと、「ヴィオラとチェロのための二重奏曲 変ホ長調」ベートーベンでした。(あとは、その他大勢)
最初に紹介した曲は、ソロの部分があり、それもテンポがいろいろに変わる中で、ヴァイオリンやヴィオラ、そしてチェンバロと合わせていかなければいけないという、私にとっては厄介な曲でした。
特にチェンバロと一緒に弾く場合が多く、合わないことにまずいらいらしました。
チェンバロというのは、単純にして繊細な楽器で、鍵盤を押して少し遅れて音がでます。そして、温度や湿度によって、音が狂ってきます。弦楽器ももちろん狂うのですが、極端な言い方をすれば、弾いているそばから音が狂って行くようなそんな繊細な楽器です。また、あまり強弱も付けられない、そんな単純さももっている楽器です。
今回のチェンバロ奏者は、チェンバロ奏者ではなく、pianistがチェンバロに挑戦したと聞きました。
勝手が違っても仕方ないし、余裕がないのもわかります。
でも、これだけ合わないのも珍しい。
あわせたくて、あわせたくて、彼女をとにかく見てるのに、彼女はチェンバロと格闘って感じでした。
音を合わせるのではなく、心を合わせたかった。
この曲を、観客に届ける上で、私たちに出来る最高のものを聞いていただこうという気持ちを彼女と一つにしたかった。
そうすれば、音があってくるような気がしたのです。
リハが始まるとき、
「日本語でね、音楽って音を楽しむって漢字で書くの。
すごいでしょ?
私たちが楽しまないと、お客さんを楽しませることなんてできないよ。
そう思わない?
表情で合図するから、私をチラッとでも見て。
呼吸をあわせよう。」
そう、彼女に話しました。
本番が格段よかったわけではないと思います。
でも、本番のときの彼女の表情はとても美しかったです。
そして、コンサートのあとのtea partyのとき、彼女は恥ずかしそうに、私にお礼を言いにきてくれたのです。
もっと練習できたらよかったねと、お互い別れを惜しみました。
合奏は難しいです、だから楽しいのですけれどね。