パパと呼ばないで

再婚した時、パパと呼ばないでくれと懇願した夫(←おとうさんと呼んで欲しい)を、娘(27)「おやじ」と呼ぶ。良かったのか?

街結君と太郎君23

2016年09月16日 | 野望
3年になった。
選択教科が重なったこともあり、オレと太郎はまた同じクラスだ。
亜美ちゃんとは、初めて同じクラスになった。
聞けば、亜美ちゃんも中央大学を受けるらしい。
亜美ちゃんも指定校推薦を狙ってるのかと思いきや、「推薦枠以上の希望者がいて、街結君が落とされでもしたら、あたしが中大に行く意味がなくなるから、あたしは一般入試で受けるわ。」と涼しい顔で言う。
てっきりオレたちが国立狙いだと思って、彼女必死で全科目勉強していたらしいが、中大だと聞いて拍子抜けしたらしい。
「3科目で良かったのね。
それなら楽勝だわ。
あたし、根っからの文系だから。
良かった良かった。」って、もう受かったような余裕の発言。
進路指導の福島先生からは「今年の3年は、よく努力している。
聞けば、みんなで勉強会みたいなのをやっているらしいな、おまえらが中心になって。
それはいいことだ。
全体的にみんな成績も上がっている。
特に女子の伸びは目を見張るものがある。
だが、なんでこんなに中大希望が多いんだ?
中大って、理系学科のキャンパスは都心ど真ん中にあるからそこそこ人気があるが、文系学科は多摩の山奥のキャンパスだから人気がなかったのに。
3年になってすぐの志望校調査で中大希望の多さに驚いたぞ。
国立受けろって、何人の調査票を突き返したことか。
おまえらが中大希望だからか?
新手の宗教団体かおまえら。
どんな勧誘しているんだ?
成績アップの功績は認めるが、プラマイゼロだ!」って言われる始末。

ありがたいのは、オレが評定ギリだってことをみんな知っていて、「大丈夫!あたし達一般入試で受けるから推薦は多分街結君だけだと思うよ。
大学に受かったら、亜美が街結君の写真集を自費出版するんだって!
そんでもって、それをあたしたちにはくれるっていうの。
でも、ひとつだけ条件があって、中大の推薦枠には希望しないっていう約束での写真集予約になるのよ。
福島先生が推薦枠の希望状況とか教えてくれればいいのに、「推薦枠」狙いで小さくまとまるな!なんて言っちゃって教えてくれないからさあ、じゃあ一般入試で受かるしかないよねえ。
やってやろうじゃん。
福島先生のねちねちした試験問題で鍛えられてるからねあたし達。
大丈夫。春にはみんなで中大の門で写真撮ろうね。」
太郎が前に言っていた「受験は団体戦」ってこういうことか。
って、ここで昔のオレだったら「オレは助けられてばっかりなのか。」って情けなく落ち込むんだろうけど、今のオレは違う。
情けないと言えば情けないが、今の実力じゃ絶対に一般入試では受からない自信がある。
模試の判定は最高でC判定だもんなあ。
だから、みんなの好意をありがたく受けて、最後の定期テストに臨むだけだ。
そして、この定期テストで評定値を上げて、絶対に推薦枠をゲットする。
入ってしまえばこっちのもんだ。
指定校推薦だろうが、一般入試だろうが、同じ教授で同じ質の講義が受けられるんだろ?
オレは文学部に入って、心理学を専攻したいと思い始めている。
人間の心を勉強するっておもしろそう。
今はその程度の浅はかなスタートだけど、『人間嫌い』だったオレが、人間の心を勉強したい、おもしろそうだ、なんて考えられるようになっているだけでも人間の心理っておもしろいよな。
太郎は太郎で福島からの『国立受けろ』攻撃がやまない。
「街結はともかく、なんでおまえが推薦なんだ?
法学部なら千葉大の法経学部も受けろ。
中大の法科に行っていいから受けるだけセンター試験も受けろ。
センター試験の結果を持って中大受験をするっていう手段もあるぞ。」
あの手この手の説得だが、太郎のことだから、なんだかんだ言って福島を説き伏せるだろう。
さあまた、今日から、期末テスト二週間前。
「街結君のいる喫茶店スマート」オープンだ。
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