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パパと呼ばないで

再婚した時、パパと呼ばないでくれと懇願した夫(←おとうさんと呼んで欲しい)を、娘(27)「おやじ」と呼ぶ。良かったのか?

食堂かたつむり

2008年09月30日 | 本・マンガ・テレビ・映画
9月30日(火)雨
図書館に予約していた「食堂かたつむり」が入ったと連絡がある。
な~んとタイムリーに夫は熱海旅行。
家事そっちのけで一気に読み終える。
なぜこの本を予約までして借りたか。
それは、ワタクシのファッションリーダーならぬブックリーダー(?)であるpさんが絶賛していたから。
目の幅で涙が流れたとまでおっしゃっていた。
そして、ワタクシも、目の幅で涙した。
しかし、おそらくpさんの流した綺麗な涙と、ワタクシの流した涙は、質が違う。
もし、この本を読むつもりの方がいらしたら、この先はお読みにならないで下さい。
最後の最後の結末まで、ぶっちゃけますから。
後から文句を言われても困ります。
「24-シーズン1」で、最後に、ニーナがジャックバウワーの妻を殺すという衝撃の事実を、見る前にWikipediaで読んでしまったショックと腹立たしさは
今思い出しても手がわなわなするほどです。
Wikipediaに、もう少し思いやりが欲しかった。
「今、見てる人は読まない方がいいよ」という前置きが欲しかった。
で、私は言いましたからねっ。

この主人公倫子は、インド人の恋人に突然ふられ、家財道具から貯金から全て持ち逃げされ、
不本意ながら郷里に帰る。
郷里には、スナックをやっている母と、その飼い豚エルメスがいる。
倫子と母の関係は、倫子の出生も含め、複雑で、ぎくしゃくしたものである。
倫子は、母の物置小屋を借りて、念願だった食堂を開く。
エルメスの世話係が、実家にお世話になる条件であった。
母はエルメスを溺愛しており、倫子もまた、試行錯誤しながら手作り餌を与えて可愛がる。
エルメスの世話をしながら、一日一組限定の食堂をやっていく。
そこへくるお客さんと、料理を上手く絡めた、素敵なお話が続く。
「う~ん、これは、本よりも、映画とか、ドラマになりそう」と思いながら、
気持ちよく、時にじ~んとしながら読み進める。
そして後半にさしかかり、母の病気が発覚。
余命数ヶ月の宣告。
まあ、ありがちといえばありがちだが、これで、母娘の確執が溶けていくわけね。
ところが!母は、死を目前にして、初恋の人と結婚するのだが、
その式のプロデュースを倫子に頼む。
なんと!エルメスを食べるというのだ。
私は、大反対よっ!
こんなに可愛くなついているエルメスを食べるだなんて!
しかし、倫子は、母の願いを聞く。
から解体から、全てに目を背けず肉になったエルメスを心を込めて調理する・・・
この工程と、料理が、それはそれは丁寧に詳細に書かれている。
しかし、ワタクシは、もう涙で読めない。
おそらく、この小説の、一番言いたい事、ヤマ場、クライマックスだが、
ななめにざーーーっと読みとばす。
つらすぎる。
そして、ワタクシは今後二度とこの本を手にする事はないと思う。

このお話は、ぜ~ったい、ドラマ化や映画化は無理だと思う。
以前、どこかの小学校で、鶏かなんかを飼育していて、
最後は食べることまでが学習というのがあり、
賛否両論ものすごい論争になった。
菜食主義者でもない限りは、こういう事を言う資格はないと自覚している。
しかし・・・やはり、私は自分が育てた動物を食べることはできない。
今夜食べる豚肉と、エルメスの肉が、どう違うというのか!と言われると
何も言えない。
でも、私はエルメスを食べる事はできない。
もちろん調理も。
命をいただく事を重く受け止めながら、きちんと料理をして美味しくいただく。
そういう基本的かつ大事な事をちゃんと理解している人は、
静かに感動しながら読めるのだろう。
私みたいな、中途半端な人間が「食べるなんてかわいそぉ~っ」とギャーギャー騒ぐのだろう。
自己嫌悪に陥りながらも、ここ数日、命に感謝しているので、
ミョーに手の込んだ料理を作っているわかりやすいワタクシ・・・
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6 コメント

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うむむー深い。 (pot@mom)
2008-10-01 21:04:28
遅くなりました。
そんな照れるわ…などとくねくねしてる場合ではなく。

私もね エルメスを食べるところで結局涙したんですけど、
エルメスへの気持ちというより、
なくなっていくお母さんに対するやるせなさみたいなもので
涙が止まらなかったような気がする…。

なぜか 普通だったら 「食べちゃうんなんて」って言うだろうし、
最初にエルメスを食べる と聞いたときは
意外性を持った展開にせよ ひどいと思ったんですけどね。

この本読んでから少しの間 丁寧に料理をしたのはnさんと同じ。
恋の芽生えるスープも作ったし(誰が食す?)
スープをテーマにした小さなドラマまで書いてしまった…。
確かに 淡々としたドラマか映画にしたらいいなぁと思ったし、
おそらく 売れてるから映画化したい人たちはいっぱいいそうだけど、
セリフのない ト書きだらけのドラマになりそう(笑)
なんだか あえて モノローグとか使わないで欲しいし
だとしたら すごーくマニアックな作品になりそうだよね。

私は好きだと思うけど。

そういえば 妻夫木くんの主演で
「ブタがいた教室」というのが今度封切りになりますが
http://www.butaita.jp/
これなんかはどう思われるかな?

最近観たい映画がいっぱいあるので
ここまで手がまわらないかと思うけど
ちょっと食指が動いています。
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pot@momさんへ (n)
2008-10-02 15:58:14
スープをテーマにした小さなドラマ、それはどこにいけば読めますか?

「豚がいた教室」・・・ダメです。もう、いろんなことを想像し、妄想し、子供達の泣き顔まで浮かんでくるので、ホームページまでたどりつけません。
私って、本当に「死」が怖いんだなあ~と実感。
料理と「死」(というか「命」)は切り離せないものだけど、思いっきり切り離そうとしてます。
いっそベジタリアンになれ!と自分をののしりたいです。
でも、夏にはバーベキューを、秋にはサンマの塩焼きを、冬には骨付き鶏肉の水炊きを食べたい煩悩まみれのワタクシです。

「食堂かたつむり」は、速攻で返却しました。
ふと、血迷ってというか、怖いもの見たさで手に取ってしまい、広げた場所が場だったらどうしよう・・・と想像しただけで怖くて・・・
食堂と料理とお客さんの雰囲気は、「かもめ食堂」を見た感じに近い気がしました。
このまま、丁寧な料理とお客さんとのエピソードだけをゆるゆると読み続けていたかった・・・これが本音です。
返信する
Re: (pot@mom)
2008-10-02 21:13:18
速攻で返却でしたか…
うーんすみません、一時でも嫌な思いをさせてしまって…。
というか、私は料理における「生」に対する
感謝の念が足りないのではないか?と
nさんのコメントを読んで反省しました。

食堂の描写は「かもめ…」と全く同じで
同じ過ぎる(変な日本語ですが)。
飯島奈美さんのスタイリングで映画化!などと思ったのですが。

スープをテーマにしたドラマ…
とてもとてもひと様に読んでいただけるようなものではないので…非公開でございます。
返信する
pot@momさんへ (n)
2008-10-02 23:37:05
>同じ過ぎる・・・
わかります、わかります!すごく。
同じ過ぎたので、油断をしました。
衝撃の展開を予想出来なかった・・・
それで、すんごく動揺しました。
「嫌な思い」というのではなく、この本をきっかけにして噴出した自分の弱さを思い知ったと言うのか・・・
同じ本を読まれたpさんと語りたくて、でも、うまくそれを文章にできなくて、思いっきり感情をぶつけた形になってしまったのでした。

>飯島奈美さんの~
pさんの、こういうところが我が夫にとても似てる!
ワタクシは、せいぜい俳優声優をキャスティングするくらいですが、
我が夫は、アニメのクリーエーターまで選出いたします。
あ~、それにしても、pさん、我が夫、福岡の友人による座談会をセッティングしたい。
ぜ~ったい盛り上がるはず!
そして、ワタクシは3人の話をテーブルの一角でふむふむと聞いていたいっ!

返信する
Unknown (paru)
2008-10-08 13:47:28
この本は読んでいませんが「豚がいた教室」は別の人のサイトで映像をちょっと見ました。
ヨーロッパで昔ながらの生活をしている村のドキュメンタリーを見たことがありますが,そこではお祭りの日に豚を自分達でさばき,女性は血まで全部使って1年分のソーセージにしていました。
そのように自分達で特別な日に殺すのは貴重な最低限の栄養摂取なのだろうなと思いました。
メタボになってまで食べるものではないなぁと。
「豚がいた~」も結局と殺場へ連れていかれるところまでで先生達は何もしていないので,育ててきた子供たちと豚がかわいそうだなと思いました。
ブログではマクロビオティックで健康うんぬんと書いてますが,動物のことっていうのが結構大きいです^^;
魚はたまには食卓に登りますが,それも減りました。
味覚は変わります。
肉はあまりおいしいとは思わなくなったので我慢せずやっています。
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paruさんへ (n)
2008-10-08 14:10:03
ふだんは質素な食事をし、ハレの日に家畜を食す。
ヨーロッパでも、日本でも、昔は、どこでもそうだったのですよね。
ましてや日本の肉食文化の歴史は浅いというのに・・・
メタボな体質を作るために、豚は生まれて(産まされて?)きたのではないと叫びたいでしょうねえ。
と、自分の三段腹をつかんでため息・・・
『我慢せずに』
これが、paruさんの素晴らしいところだと思います。
少しずつ少しずつでも・・・と思ってます。
「野菜のごはん」ワタクシも買おうかしらん。
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