パパと呼ばないで

再婚した時、パパと呼ばないでくれと懇願した夫(←おとうさんと呼んで欲しい)を、娘(27)「おやじ」と呼ぶ。良かったのか?

傲慢と善良

2024年05月17日 | 本・マンガ・テレビ・映画
5月16日(木)晴れ

人間、まあまあの割合の人が恋愛をする。
今年還暦のワタクシも、小中ずっと同じヒーローに憧れ続け、高校で初めて彼氏ができたりと、まあ平均より少なめではあるが「人を好きになる」感情を抱いてきたし、「人から好きになられる」という事もまあまああって今に至る。
そして今はもう惚れた腫れたの第一線からは退いて、韓流ドラマやらにキュンキュンさせられたりはするものの、穏やかな好々爺ならぬ好々婆的立ち位置を自覚している。
それに伴い、見るドラマ観る映画読む本に変化も生じてきて、総じて穏やかで面白いものを好む傾向になっている。
いや、しかし、さすがに自分が好きな世界くらいはアンテナを少し高く掲げようではないか、とここんとこ話題になったりするものを手に取るようになった。
今までのワタクシだったら絶対手に取らなかったような本も読んで、あら、面白かったわと思うこともしばしば。
最近だと・・・
柚木麻子著「あいにくあんたのためじゃない」
垣谷美雨著「あなたのゼイ肉、落とします」
町田その子著「52ヘルツのクジラたち」
ドラマ化されたり映画化されたり、はたまた書評等で目にして手に取った結果、新しい世界を知った感あり。
で、調子に乗った。
「傲慢と善良」
確か、映画化されると聞いたわ。
辻村深月さんってミステリーの方よねえ。
この程度の知識で、図書館に予約し借りて読んでみた。
読み始めてすぐに、あらら、婚活世代の方たちにウケそうな話だったのねえ。
でも、それをミステリー仕上げにするって事よね、スタートもそうだったし、、、と読み続ける。
で、一気に読み上げたのだが・・・
久々の読後感の悪さである。
湊かなえさんとか天童荒太さんのものとはまた違う、でももっと身近に感じられる嫌悪感。
人間観察が絶妙というか、人の奥底に潜む心理までえぐるというか。
そしてそれを文章として表現するのがすごくお上手なので、ものすごく嫌な人たちだらけなのだ。
そしてリアリティがある。
恋愛結婚花盛りだった若い頃を思い出す。
結婚にまつわる親御さんたちの対応や、友人の結婚相手の事を酒のつまみしたりされたりの、そういう頃を。
懐かしいと思うより、苦い気持ちになる。

抽象的な感想なので、何が言いたいの?って感じですな。
ネタバレしますから、ここから先は気をつけてくださいよ、言いましたからね、ネタバレするって。
読もうと思ってたのにぃ〜って文句言わないでくださいよ。

まず、ストーカーに追われている真実(まみ)のシーンからスタートです。
婚活で知り合った彼氏架(かける)君に助けを求めて、それ以降彼の部屋で暮らし、結婚話が進みます。
架は、かっこいいしモテる男ではあったが、家の事情やら自分の結婚観やらがそれまでの彼女達と合わず、気づいたら40前になっていたと焦る。
婚活で真実と知り合いお付き合い始めるが、実は前の彼女の事をひきづっている。
真実のストーカー事件がきっかけで結婚する決意をするのだが、突如真実が失踪する。
ストーカーが絡んでいると、警察に相談したり探し回るうちに、自分の事、真実の事、周りの人達の事、知らなかったことが多いことに気づいていく。
人気者の架は、女友達も多く、中でも特に仲のいい美奈子が聞く。
「あの子と結婚したい気持ち何パーセント?」
架「70%くらいかな」
美奈子「今私、パーセントで聞いたけど、それはそのまま、架が真実ちゃんにつけた点数そのものだよ。架にとって、あの子は70点の彼女だって、そう言ったのと同じだよ」
き、厳しい。
でも、それは正解だし、そもそも婚活で知り合っておきながらズルズル一年半以上経過しているのも架の、そういう気持ちからくるものだろう。
薄々お気づきの方もおられましょうが、そうです、真実のストーカー事件は自作自演で、それがきっかけで結婚話が進んだのは思惑通りなんだけど、
架の女友達にはそれがバレバレで、さらには酔っ払った美奈子から「70点」の話も聞いてしまう真実。
で、失踪するも、行く場所がなく東北へ震災ボランティアに行く。
と、まあ架も真実も、それぞれ自分を、家族を、周りを知って成長していくという話なわけですが・・・
いやぁ〜人間のいやらしさというか、そう、まさに「傲慢」な所が痛いほど突き刺さる。
そして、一見良いものとされる「善良」な所までもが素直に読めない。
そして、それが、特に女性の登場人物達に対して手厳しい。
この世には幸せな人はいないのかと思わせられる天童荒太氏の世界観や、不幸な子供って実在するから目を逸らさないでと言われているような凪良ゆう氏のストーリー、ただただイヤな読後感の湊かなえ氏とはまた違う意味で、眉間にシワが寄る。
自分の通ってきた道にいたなあこういう人!とか、あゝ確かに自分も思ってたなあというような辛辣かつ失礼な恋愛観結婚観、そういうのが蘇るのだ。
ワタクシは「あの頃は若かったからねえ」で済ませるけど、今ちょうど恋愛結婚期真っ只中な人たちには刺さるかもねえ。
でも、それはそれでいいのかもね、少しは現実を見てちゃんとその人を見て自分を見て、というきっかけになるかも。
こんなに「はあ〜っ、読まなきゃ良かった」とぼやきつつ、映画が気になってるあたり、まんまと辻村ワールドにハマったのか???
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