しめ鯖

食欲の秋ですね。ダイエットには敵の季節です。何でも美味しい美味しいと食べないようにほどほどにいたしましょう。またクリックお願い致します。

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　基本的に食べ物に好き嫌いはないと思っているが、やはり自分で作るより人様に作ってもらったほうが　断然美味しい。これは思いうけて食べるからだと、向田邦子のエッセイに書いてあったが、これは本当だと思う。

　でも　しめ鯖だけは、自分で言うのもなんだけど私のは美味しい。（人が誉めてくれないから自分で誉めるのだが・・）

　人は不思議なもので美味しいものに出会うと目がランランとして口数が少なくなる。イリコさんが私が作ったしめさばを食べると、目をランランと輝かせてしみじみ言う「そのちゃんのしめさばは　美味しい、ホント美味しい、口の中でとろける。最高！」と・・

うれしい事言ってくれるけど、これもいつも美味しく出来るわけではない。様々な条件をクリアして始めて、イリコさんのほっぺが落ちそうなしめ鯖が出来るのだ。

　先だってAコープで「お刺身になります。」と表示してあった鯖を見つけた。
目がキーンとしていて、胴回りは私の両手の人差し指と親指で輪を作ったくらいある。色はすき通るような青味がかった銀色　指で押さたら跳ね返るくらい硬い。

　でもでも値段が・・きっと高いんだろうなぁ。贅沢は敵、いつも清貧の食卓に挺身している私としては、特売でないと買えない。そうでないといくら美味しそうでも買わない。
横目でチラッと見た、本日の特売と書いてある。わぁお・・！
鯖がしめ鯖にして！と訴えていた。「舌の欲望」がむくむくとわきあがる。
こういうときは美味しいしめ鯖が出来ること請け合い。

というわけで買って来ました、作りました。作り方はいたって簡単。
私はコーヒーをたてるのに手に生臭さが残るので、イリコさんに三枚に下してもらう。綺麗に冷水で汚れを洗い水気をふき取る。それをざるに乗せて、両面に30センチくらいの高さから荒塩をザ、ザ、ザ、とふる。思いっきりたくさんふる。まるで初雪がうっすらと積ったように。
それを４～５時間くらい、身が引き締まるまで冷蔵庫に入れて置く。

待ち遠しいけど、焦ってはだめ、だめ。ちゃーんと時間通りにね。
さて、その引き締まった鯖の切り身をおもむろに出してきたら、たっぷりついた塩を　お酢で綺麗にあらってふき取る。昆布を引いたバットに並べて三杯酢に漬ける。時々昆布をひっくり返して身のほうに漬けたり、皮のほうにひっつけたりして、半日くらい漬ける。

出来ました、出来ました、まだ赤みの残った、とろけるようなしめ鯖が・・・
皮の方を下にしてまな板の上に置き、尻尾の方から包丁で引くようにして薄皮を剥いだら、中骨を毛抜きで一本一本抜き取る。
間に切り込みをいれて６～７ミリくらいの厚さに切り、あとは食べるだけ。

あたしもちょっと一口。わさびをのせたしめ鯖の端っこを　お醤油の入ったお小皿に付ける。お醤油の表面は、鯖のアブラがぱーっと広がりキラリと光る。
「う～ん、なんて美味しいんだ、私は料理の天才だぁ！・・」

さぁさ　皆さんもどうぞ召し上がれ！