笑う門には福きたらん

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　杏です。
桃や　桜や　杏や、これらの花は花だけ見たら　さっぱり区別がつかない。
ただ　青空に映えて、そして寒さに閉ざされた心を　開いてくれることだけはみな同じ。

　　

和木のIさんの管理地にあるアンズ、「もうそろそろよ、咲き始めたよ。」と連絡を受けて早速出向いてみた。
どれどれ・・三分か四分咲きかな？
まーるい花びらが枝のあちこち　ひと固まりになって咲きかけている。
つぼみはふっくらと、愛らしく、どことなしに恥ずかしげ。
よくよくみると、まるで作り物のような杏の花　かわいい・・

まだまだ、つぼみは固いから、などと思っていると、明日にはぷっくり膨らんでいる。これだからこの時期の花たちは、油断がならない。

　　

高い木なので首を持ち上げて写真を撮っていたら、どこからか　メジロが、花の蜜を吸っているのか、枝から枝へと咲いている花の間を飛び交っている。
しばらくしてもう一羽、最初の一羽が呼びかけるように囀っていたら、どこからかやってきた、これはきっとつがいか　恋人だと思う。それからずっと一緒だったもの。
春は恋の季節。ルンルン・・・

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　このところ　暇な木馬で雑談していると、話題はいつの間にか「老い」の問題になだれ込む。
年金だけじゃ暮らせないとか、核家族で、今更子供たちのところにはいけないとか、ごく自然にそういう話に落ち着いてしまう。やはり前期高齢者の我々ばかりでなく、まだまだ若い人達も、今までのどの時代より、この問題について真剣に考えているんだろうと思う。

　さてもさても・・
いつもの朝　いつもの席で新聞見ながら愚かなトンボがつぶやいた。
「いいねぇ　ここはいつものことながら　静かな時が流れていて、それより俺は　老後はえっちゃんに下の世話してもらいながら　のんびりと暮したい。それが夢よ。」

「誰が下の世話するん？奥さんがいるでしょうが、愛妻が。」

「それがね、『今日はボランティアで一人暮らしのお年寄りのお弁当を作る日だから　お昼は自分で弁当でも買って食べんさい。』俺が夜勤から帰ってきたらそういうんよ。ありゃ俺の世話はしてくれん。人の弁当作るんなら俺のもつくりゃええと思わん？えっちゃんなら旦那のも作るだろう？」

「そりゃ作るけど、でもいつもトンボは言うじゃん、『あんまりあんたが　至れり尽くせり世話するけぇ　旦那が早死にするんよ』、だけぇ　うちと一緒に暮らしたら早死にするよ。」

「俺は　早死にしたいんよ、十分この世を堪能した、だけ世話してほしいんよ。」

「そんなこと言うもんに限って中々くたばらんのよ、そんで呆けたら余計に助べぇ根性は磨きがかかるしね。でもね、この年になり　好き放題金使って　遊び放題させてもらって　トンボが私の旦那ならとうの昔に三行半よ、奥さんに感謝せんにゃ、どこ探してもおらんよ、あんな肝っ玉の太い奥さん。」

「それがね、肝っ玉は太いが最近痩せたんよ、１０キロも　でも俺が死んでも墓に行って泣くんじゃないよ、俺は墓にはおらん、千の風になって、全国津々浦々に散らばっている水子の供養しにいく、盆にしか帰れん」

「盆にゃ帰るん？帰らんでいいけぇ　ずーっと未来永劫に偏西風に乗り飛んどったら？風船おじさんみたいに・・」

「俺も盆ぐらい帰らしてぇよ、どこか帰るとこがなきゃ　なんぼ魂だけでも疲れるで。」

「そのために連日　うん万円もかけて　体作りしとるんでしょうが？」

このばかげたいつもの会話を聞いていた、年のころなら私と同じくらいか、こちらに住んでおられる親御さんの顔を時々見に　関西方面から帰ってこられる、月岡夢路似（古い私）の奥さんが、突然吹き出された。「アハハ・・アハハ・・いいですねぇ　いつもここは別世界みたいに楽しくて、どうぞ長生きしてくださいね。」

一緒に大笑いしました。笑う門には福来る、というけれど全然来ない、ということはやはりここは別世界なのかな？

晴れ　14℃