

2007年/ポーランド/122分
監督: アンジェイ・ワイダ
出演: マヤ・オスタシェフスカ/アルトゥル・ジミイェフスキ/マヤ・コモロフスカ/ヴワディスワフ・コヴァルスキ/アンジェイ・ヒラ
映画って二種類あると思う。
商業的成功を主目的にしたもの(もうけ主義映画)と、儲けは度外視しても映画作家たちが、作りたくて温めていた題材を、練りに練って作る作品である。
しかし映画作りなんて莫大なお金がかかるので、そうだれにもできるものではない。
その点 クリントイーストウッドなんか、儲けながら 言いたいことも言える映画を作れる唯一の監督だと思うけど、でもこの御年83才のワイダ監督。後者に入るだろうこの映画、これが最後の作品になるかもしれないとはいえ凄い。
<ストーリー>
1939年9月、ナチス・ドイツと密約を結んだソ連はポーランドへ侵攻し、ポーランドの将校たちを捕虜とする。アンナの夫アンジェイもまた捕らえられた将校のうちの1人だった。捕らえられた将校たちが移送のため駅にいると聞いたアンナは駅へ向かい、かろうじて移送前のアンジェイと会うことが出来る。アンナは家に戻ることをアンジェイに乞うものの、アンジェイは軍に忠誠を誓ったとして、他の将校たちと運命を共にすることを選ぶ。娘ヴェロニカを託されたアンナは、苦労するものの、なんとかアンジェイの実家にたどり着く。アンジェイの父親大学教授のヤンは捕らえられ、ザクセンハウゼン収容所に送られており、義母が1人で暮らしていた。ヤンの死亡通知が届く中、アンナは義母と娘と3人で、ひたすらアンジェイの帰りを待っていた。
第80回米アカデミー賞の外国語映画賞ノミネートされていたので、要チェックしていました。やはり、とてもいい映画でした。
というか、私はいつも言うように歴史に疎く、こんなことがあったなんて、知らないことばかり。この映画を見ると本当に悪いのはソ連だ、ナチスドイツより極悪非道だ、しかもソ連はそれをドイツのせいにしてたって言うんだから呆れる。そしてこの事件を正式に認めたのは1990年。ほんの一昔前なのです。
ナチスだけが絶対的な悪として取り上げられることが多いけど、劇中の台詞にもあったように「ソ連もドイツも同じ」なのですね。
しかし、ポーランドという国は本当には受難の国なのですね。
ドイツとソ連というはた迷惑な隣人にはさまれてるばかりに、その両方から蹂躙される運命に翻弄され、1939年ドイツとソ連は独ソ不可侵条約を結んで勝手にポーランドを分割してしまうのだ。
第二次世界大戦は、稀代の二人の殺戮者、ヒトラーとスターリンによって、未曾有の戦争になってしまったと思っている。そしてこの大戦の最大の被害者は紛れもなくポーランドだということも。それを知る最大の事件がこの「カティンの森事件」なのだ。
映画というツールを使って、世界中をこの民族の受難の「証人」に仕立て上げようという監督の狙い?「歴史の真実」は風化してはいけないという強い監督の思い。
凄いと思う。
ロシアではまだ商業上映に至っていないということだが、認めたのなら上映すべきだと思う。
お勧めの映画です。
晴れ 33℃ いつになったら涼しくなるのでしょうね。ため息ばかり・・・