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ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

⑥「町長選挙」を読む。奥田英朗著・・(文芸春秋)・・1/31日読了

2010年02月05日 | 本の事
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 さても、さても すっかりはまりこんだ とんでもない医師伊良部シリーズ第三弾。
とても面白く読んだ。
このトンデモナイ医師こと伊良部はこの本によると、外見は太った色白の中年男。精神年齢は五歳。欲望の赴くままに行動し、患者が注射を打たれる姿に異常に興奮する性癖の持ち主。なんでこんな男が医者に、という素朴な疑問を持つことさえ忘れさせてくれる強烈なキャラクターだが、彼が働くのは父親が院長を務める伊良部総合病院という設定になっているので、どうぞご安心を(?)。ハチャメチャな治療法で患者を翻弄しつつも、最後にはきっちりと患者の病気を治してしまうので、彼は、実は名医なのかもしれない……。ということなのです。

 さて。
今回も4作からなる短編集なのだけど、え?こんなこと書いていいの?フィクションなの?そう思うくらい 読んでいてモデルがはっきりわかるのだ。

「オーナー」
新聞社の代表取締役かつ野球球団のオーナーである田辺満雄(ナベマン)がパニック障害に陥る話。モデルはもちろんあの人ですよね。

「アンポンマン」
某IT社長(元)がモデルで、ひらがながわからなくなってしまうという症状に陥ります。今となっては彼がモデルというのはちょっと痛々しい。

「カリスマ稼業」
宝塚歌劇団出身の44歳の女優さんがモデル。あの体型を維持するために、本当にこんな努力をしているのかな。でもこの話が本当だったら、芸能人も特別じゃないのね、とちょっと安心したりして。
なにしろ 最近のテレビは女優の顔に皺まで逃さないから、同年齢の女優と比べて、安心したり、落ち込んだりすることが多いからね。

「町長選挙」
標題の町長選挙、こういうのありうる、妙に納得してとても面白かった。

私が奥田作品に引かれるのは、“人生に勝ちも負けもない”という奥田作品に一貫して流れる、奥田さんの人生観。とくに、格差社会の問題が取り沙汰されるようになってきた昨今、その人生観がより強く作品に反映されているように感じられるので、つい自分の人生観と重なり応援したくなるのだと思う。

東京から数時間かけて船を乗り継いでやっとたどり着く離島、千寿島。ここでは小倉と八木という農業と土建屋という二者が有力者であり、日々熾烈な戦いが繰り広げられている。その千寿島に東京都の職員として就職した宮崎は離島研修ということで赴任してきた。
千寿島では町長選挙の真っ只中であり、役場でもその話題で持ちきりである。この島では小倉か八木かどちらについているかによってその後の待遇も変わってくる。宮崎もその例に洩れず、両陣営からどちらにつくのかはっきりしろと言われ困惑気味である。
そこに、父の意向と見栄により2ヶ月間千寿島に赴任することになった伊良部と日給3万円で離島赴任を受け入れることになった、マユミちゃんがやってくる。小倉、八木両派は伊良部の父が医学会での重鎮であることを知り、賄賂攻撃に走る。
宮崎も両陣営から賄賂を掴まされ、悩んでいたが、貰えるものは貰っちゃえという伊良部の発言に少なからず心が揺れる。
マユミちゃんのキャラがいい。この本はマユミちゃんで持っているようなもの。
マユミちゃんはお金貯めてるよ、だって注射打つのにも一本いくらと手当がついているんだもの。

伊良部が呟く一言。
民主国家がなんのその、デモクラシーなんて最善じゃない。
一万人以下なら、昔の藩主みたいな存在が治めた方が却って栄えるんぢゃない?
本当にこんなことを云ってのける政治家がいたら大問題になるだろうけど、実際正しいような気もする。

我が町江津も7月に市長選挙があるけれど、きっとまた無投票だと思う。
でる人がいないのだ。戦う気のある人がいない。
私は全国に向けて応募してやる気のある人を募集したらいいと思う。
『七人の侍』のように、この限界集落の死んだような街をすくってくれる人を雇うのだ。

それがだめならあっさり、各地の自治会長が当番で市長をしたらいいと思う。
その方が住民も一生懸命になる。
たとえなにもしてくれなくても、ま、ボランティアでやってくれてるんだから我慢しよう、そんな気になるはず。
市民感覚から外れた高給をもらっているから腹が立つし、それなりの仕事をしてもらいたいと思うのだ。

また話がそれてしまいました。
どうぞお許しを・・・

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雲り、時々粉雪舞う 5℃ 寒ーい。

⑤「ガール」奥田英朗著(講談社)・・1/24日読了

2010年02月01日 | 本の事
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奥田英朗にはまっていて、この後も「町長選挙」を読み終えた。早くブックレビュー書かなくちゃ、忘れてと言うかこんがらがってしまいそう・・

で、今回はこれです。→
この作者は短編も得意みたいです。時々自然に笑ってしまう。

この「ガール」は働く女性必読。いやぁ・・ホロっとして 笑って スカッーとした。

ただ、この本を読んでいて「これって本当に男性が書いたんだろうか?もしかして奥田さんって女性ファッション誌の編集部にいたんだろうか?」そう思った。それというのも登場する女性のファッションが完璧なのだ。

<ヒロくん>
大手不動産会社に勤める武田聖子35歳、大学卒業後総合職として14年目に課長職を拝命した。三つ年上の、男性社員が問題だった。仕事はできるはずなの男なのだが、。男って、ホントに・・。でも、聖子には給料が聖子より少なくても全然気にしない最愛の旦那様ヒロくんがついている。

★ヒロくんは聖子と同級生なんだけど、ヒロくんのような旦那さんだったら働く女性はきっと頑張れると思う。

<マンション>
大手生保会社の広報課に勤める石原ゆかり34歳、男性社員が事なかれ主義で社内を向いて仕事をしているなか、ひとり好き勝手に振舞っているお蔭で「広報の石原都知事」なんて言われるほど。役員に媚を売るばかりでスケジュールの調整もできない秘書室の女性を相手に、孤軍奮闘。そんなゆかりだが、同じ独身の親友めぐみがマンションを購入すると聞き、ちょっと焦る。

★親友に先を越されると焦る気持ちすごくよくわかる。どこであきらめるか、平常心を保つのは難しいと思うが・・・

<ガール>
大手広告代理店に勤めて10年、32歳になる滝川由紀子は、そろそろ自分が若い女の子と違うことを意識せずにはいられなくなってきた。若い女の子に対する扱いと、やはり変わってきている。会社の六つ先輩の光山晴子は、いまだに人の眼も気にせずガールを謳歌しているが・・・。光山とともに企画を提出した先の百貨店の担当、安西博子は由紀子と同じ年齢ながら地味なスーツをまとう堅物だった。その仕事でアクシデントが起きた、モデルがひとり来れなくなった、急遽代役が必要になり・・

★このお光がすごくかわいいのだ。38歳にもなってまるで少女のよう。いくつになってもガールを楽しんでいる。

<ワーキング・マザー>
自動車メーカーの総合職、今年36歳になる平井孝子が営業部へ復帰したのは三年ぶりのことだった。32で離婚、29で産んだ息子は六歳になる。異動は、学童とホームヘルパーに息子を預けても心配のない自信がついてからの自らの希望だった。残業を家に持ち帰り、仕事を家庭を両立させる孝子。息子のために、部下に鉄棒やキャッチボールの仕方を教わったり。育児を錦の御旗にしない孝子に周囲も協力してくれた。
そんな彼女が営業部で立ち上げようとした企画が奪い取られそうになる。相手は販売部の同年代の女性社員、斉藤里佳子。育児を錦の御旗にしないつもりだったのだが、会議でつい話してしまった孝子であった。同じ社内でも販売部にまで孝子の境遇は知られてなかった・・。お互いの立場がわかれば理解しあえる。

★6歳の息子が いい息子で親のことすごく理解していて、すごくしっかり者。

<ひと回り>
34歳の小阪容子が勤める老舗文具メーカーでは、入社十年以上の社員が新人の個人指導にあたる「指導社員制度」が古くからあった。今年、容子は指導社員を命じられた。そこにやってきたのは、長身でハンサム、そして摺れてない初々しい好青年、和田慎太郎。ひとまわり下だと分っていながらも、心ときめき、気持ち華やぐ容子。慎太郎は社内外の女性にも評判がよく、慎太郎に取り入ろうとする女性たちに、容子は気が気でない。そんななか容子は、同年代より少し年上の男性たちと合コンをした。合コンさきのシティホテルを出たとき、慎太郎と会社の若い女の子の姿を見かけた容子は・・。

★小坂もやっとヤングを卒業した。年下の男性とは やはりどこかに無理がある。

この小説の主人公の女性たちはすべて「男前」なのだ。
カッコいい生き方ができる女性。うらやましいし、見習わなくちゃそうしみじみと思う。

♪私の人生あと少し~それならかっこよく生きましょう・・・
わかっているんですけどね。

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雲り 9℃

④「空中ブランコ」・・奥田英朗著(文春文庫)・・1/20日読了

2010年01月25日 | 本の事
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週明けからどんより。なんか鬱陶しい。
この時間になっても薄暗い(午前9時)冬の山陰地方は重たく暗い・・

さて、今週は本嫌いな方はごめんなさい。ブックレビューが貯まってしまって。
関連記事が多くなりそうな予感。

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 『いらっしやーい』ええっ!!ここは伊良部病院ですか?
違います。ようこそ!この場末の薄汚いブレンド日記へ!!

ここんところ すっかりはまってしまった奥田英朗ワールドです。

伊良部総合病院の地下一階…。
「経営者一族なんだから、もっと日当たりのいい部屋にしろよ」と、言われてしまうほど、薄暗い倉庫のような場所に掲げられた「神経科」のプレート。
おそるおそるドアを開けると「いらっしゃーい」という場違いな伊良部の明るい声。
「イン・ザ・プール」の続編。でお気に入りの奥田英朗の直木賞受賞作品。

標題の
「空中ブランコ」・・・フライヤーの男は、キャッチャーを信用できず、不眠症に悩まされる
「ハリネズミ」・・・夜ーさんの男は、サンマの頭さえ恐れおののく先端恐怖症
「義父のヅラ」・・・伊良部の学友の男は、いつか義父のかつらを掴み取ってしまいそうな衝動に駆られていた、強迫神経症
「ホットコーナー」・・・人気者のルーキーの出現が面白くない野球選手は、思うところに返球できないことに悩んでいたイップス
「女流作家」・・・渾身の作が思うように売れず、嘔吐症に悩まされていた。
以上の5篇からなる、精神科医伊良部とその患者とを中心に繰り広げられる短編集。

いやぁ 面白かった。
寝る前に読むと最高、クスクス笑ってしまう。

ちょっとこまった病気になった患者が、毎回、精神科医である伊良部のもとを訪れる。が、どちらかというと、伊良部の方が患者より、もっと困った人で、患者はそれに振り回されるのだ。
しかし、伊良部は困った人というよりも、子供のままの人なのだ。
それというのも、研修医の時から医学部の厄災と呼ばれた伊良部。
子供の相手ならできるだろうと小児科にまわされたが、子供と同じレベルで喧嘩をするめ、神経科に転科した伊良部。「義父のヅラ」に書いてあった。

そして今回も、患者たちは伊良部のとんでもない荒療治によって癒されていく…。
看護婦のマユミさん、
美人だけど愛想なくて、何考えているか分らない変人なのに、今回は「あ!マユミさんのキャラも患者の治療に役立っているんだ。」そう思った。
小説が書けなくなってしまった女流作家に 追いかけてまで言った一言。
「言葉は宝物だ」と。
いいひとだったんだなぁ・・これが収穫。

次は「ガール」です。

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雲り時々雨 9℃

③「最悪」奥田英朗著(講談社)・・1/12日読了

2010年01月19日 | 本の事
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 最近お気に入りの奥田英朗の本。
昨年から(一人旅の時から)読み始めてやっと読むことができた。
そして、この本も期待通り ずっしりとした満足感で読み終えた。
最悪というタイトル通り、ドツボの人たちの物語なのだ。

奥田さんお得意の 主人公3人の物語を平行して描いていく物語で、小さな鉄鋼所の社長・川谷は、長引く不況にあえいでいた。下請けの下請けという立場は、どんなに無理な仕事でも断る事はできない。後から引っ越してきた近隣のマンションの住人は、残業を騒音公害だといって騒ぐ。

銀行員のみどりは、社内での上司のセクハラに悩んでいた。味方になってくれそうだった人たちは、その上司にかつて派閥抗争で負けた人たちで、みどりを利用しようとしているだけ。彼らにセクハラの事実を知られた事で、みどりは更なる窮地に追い込まれていく

パチンコとかつあげで生計をたてる野村和也。トルエンをめぐるちょっとした誤解が元で、やくざに弱みを握られる。

一見 全然無関係の3人が、偶然みどりの勤める銀行の窓口で出会ってしまうのだ。しかも、3人が3人とも二進も三進も行かなくなっており、現実から逃避しようという切実な思いを胸に抱いている。結局は、野村が川谷の預金を強奪しようとするが川谷が阻止し、替わりにと言って川谷が銀行の500万円を野村に渡して一緒に逃げようとする。その野村が連れていた彼女がみどりの不良妹で、妹を助け出そうとしてみどりも一緒に逃走用の車に乗り込んでしまうのだ。川谷は世間や取引先から、野村はヤクザから、みどりは銀行から、それぞれの激情の赴くままに走り去ってしまうのだ。

私は個人的だけど、川谷社長に同情してしまった。
小さな鉄工所の町工場を苦労して立ち上げ、製作から営業、搬入搬出、経理まで全部ひとりでやっている。しかも、鉄工所があることがわかってながら 後で入居してきたマンション住民による騒音阻止運動にも立ち向かわねばならないし、取引先からは無理矢理に大型機械を押し付けられてしまうのだ。陰気で無口で社会不適応の若者と外国人労働者という役に立たない従業員に、短大へ行きたいとダダをこねる娘。騒音問題を気にしていては納期に間に合わないばかりか死活問題になる。よくここまで切れずに頑張ったよ、ガンバレ川谷!と思わず叫んでしまった。
世の中には こういう悪いことしているわけではないのに 自分ひとりの力ではどうにもできない事ってあるんですよね。政治の光が当たらない盲点が・・・
 
さぁ 今度は「空中ブランコ」です。楽しみ・・・

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晴れ 朝霜で真っ白だった。 13℃

②「インザ・プール」奥田英朗著(文春文庫)を読む。1/9読了

2010年01月12日 | 本の事
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 ここにきて 奥田英朗にはまっている。

なんて偉そうに言っても「オリンピックの身代金」と「無理」しか読んでないのだけど。
たまたま古本屋で見つけて読んでみたこの「インザプール」いやはや面白い。時々噴き出してしまう。
トンボが「空中ブランコ」も読んだら?と言ったので、さっそくアマゾンで注文。
到着がとても楽しみ。

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 「いらっしゃーい」。とまるで桂三枝のような掛け声で迎えれくれる。
伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。 〔裏表紙より〕

そんなわけで、何が面白いかって、この伊良部という精神科医が、名医なのかそれともヤブ医者なのか、まともなのか、それとも狂っているのかさっぱり分からない。読み終わった今もやはり判らない。

でも患者は通院するうちなんとなく心が安らぎ、病気も治癒しているからいいのだろうが・・。
というよりそもそも心の病とは、きっと医者は治すというより、患者本人が治ろうとすることを手助けすることしかできないような気がするので、たぶんこういう医者も治療も「あり」のような気がするし、伊良部の一切束縛なしに(?)生きる姿は羨ましくすらある。ただこの医者、カバのようでメタボで首がなくて、マザコンで・・どうしようもない医者みたいに描かれている。

標題の「インザプール」はプール依存症のサラリーマンの物語なのだけど、
健康のために水泳をはじめたという軽い動機から水泳がやめられなくなる。目的と手段が入れ替わるということか。
大森和雄はよせばいいのに伊良部総合病院の扉を叩く。カルテを見て伊良部はつまらなそうに「不定愁訴か、つまらん」。病気に面白いも面白くないもないのだが。大森の話しを聞き、伊良部自身もプールに通うようになる。伊良部も泳ぐことが楽しくなり一見ミイラ取りがミイラになるよーな予感なのだが、伊良部のはまり具合を客観的に見ることにより、症状が回復する。

「勃ちっぱなし」は陰茎強直症、「コンパニオン」は強迫観念、「フレンズ」は携帯依存症、「いてもたっても」は確認行為の習慣化」

読み進むうち、うん似てる、私にもそういうところある、と思うところが多々あることに気づく。
たとえば活字依存症、文字のない世界に行ったらどうしようという、恐怖観念。
パソコン依存症(ブログ依存症?)
これだって立派な患者じやない?
伊良部病院に行ってみようかな・・・

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雲り 6℃

①「罪火」・・大門剛明著(角川文庫)を読む・・1/2日読了

2010年01月05日 | 本の事
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 「お正月の休みに読む?」といってトンボが見せてくれた本。
「今年の目標は倹約で行く、あんた本読みたければ自分で買いんさいよ。」
「私はそんなに読みたい本があるわけではないよ。ただ手元にあるのと、暇だから読んであげてるだけ。」そう言っていたけど、甘納豆食べたさに貸してくれた本。

そうそう、甘党と言えば、先日お客様から「くまたぱん』という、お菓子を頂いた。これが甘いのなんのって、砂糖のうえに砂糖をまぶしたような、半端な甘さじゃなくて、一人で一個食べるのは至難の業のようなお菓子。
これをトンボ殿はぺろりと平らげ、「若い時なら1箱くらいは食べれたろう。」
そういってのけるとは、相当に甘党なんだと改めて確認したのでした。

ごめんなさい、余談でした。
話は本に戻ります。

物語は娘を殺された校長先生が、教え子である犯人を追い詰めていくという ただそれだけのものなのだけど、最初から犯人がわかっているから、犯人探しの面白さはないかもしれないが、お互いの心理作戦。終盤のどんでん返しには なーるほどと感心してしまった。

犯人若宮忍は、かって殺人を犯し少年院に入れられたほどの悪で、何をしても根気がなくうまくいかない。人生に失望し殺伐といした感情で生きている。派遣会社でもいざこざを起こし、ついに上司を殴って辞めていく。
しかし、男前で一見インテリに見えるところから、モテモテなのだ。
私はこういう軽い男が気に入らないけど、しかしこういう人物作りの面白さが 作家の醍醐味なのでしょうね。

娘を殺された校長はもともと更生委員をしていて、若宮の少年院のころの面倒を見ていた。校長は疑いながらもきっと構成してくれてると思う気持ちも捨てがたく、また若宮は若宮で、殺人の罪や良心の呵責に苦しむのだけど・・・

犯人が分かりながらも決して一筋縄では終わらない。終盤のどんでん返しは圧巻。 それこそ一字に至るまで非常に緻密につくりこまれている。
一字違いで文章はまったく違った文章になっていく。
これがヒントのミステリーです。

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雲り 時々雪 6℃

「ニサッタ、ニサッタ」・・乃南アサ著(講談社)・・12/20日読了

2009年12月23日 | 本の事
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 もう今年は本はないな、そう思っていたが、「これ読む?」とトンボが見せてくれたのがこの本。
とても読みやすく、あれよあれよという間に二、三日で読んでしまいました。

返却後・・・
「どうもありがとう、今年もたくさん見せてもらったけど、これで当分甘いもん買わんで済むね。やれやれ・・」といったら・・
「あんたいつから容姿ともに そんなに嫌な女になったん?これは損得勘定で測れるものではないでしょう。まず俺の買った本を一番にあんたに見せてあげるという その思いやる気持ちを考えたら、そんな冷たい事は言えんはず。」とぶつくさ言ってましたが やはりなんの関係もないけど、しいて言えば『あーいえばこーゆう(交友)』関係のトンボとは、金銭勘定(損得勘定かな?)だけははっきりしておかないと、後々わずらわしい事になるやもしれんからね。

ただ、一言だけ持ち上げていえば、趣味の同感は共通の感性を持った者と、議論して初めて喜びも楽しみも増すものだと思っているので、そういう意味ではトンボに感謝です。映画のことも、本のことも、落語のことも、すべて共通の趣味だし、いま私の周りにこいう話をひざ詰めてできる相手はトンボしかいないから、大事にしなくちゃとは、心では思っているのですが、そんなことおくびにも出せない。こっちが下でに出ると図に乗るからね。

ほらほら 書いている先から、クレームをつけるトンボ。
「もう あんたのブログに俺のあることない事書くのは今年で最後にしてくれん?うっちゃっとてよね。しかしあんたとの腐れ縁関係は、男女を超越した関係、いってみれば同性関係、裏を返せば それだけあんたが異性としての魅力に欠けてるということ 恫喝されっぱなしだからね。」まったく言わせておけばいいたい放題。

冗談はさておき、そうは言っても、本屋の店先に積んである本を横目で見ると、これも読んだ、これも読んだぞ、そういうタイトルが多いのがうれしい今日この頃です。

というわけで、私にとって本というのは、暇つぶしと ついでに自分の知らない世界で、自分がヒーローになったような気にさせてくれる空間なのだ。
よく眠りに落ちる瞬間というのがあるが、本も読み始めるとストンとその世界に落ちてしまうことがある。この本もそういう意味でストンと落ちてしまった。

前置きが長くなったが、物語は…
人生いろいろ 仕事もいろいろ・・・
大学を卒業したものの何をしてもうまくいかない主人公片貝耕平は、最初に勤めた会社は上司が気に入らなくて辞め、次に勤めた会社は5ヶ月後に倒産、その後やむなく派遣会社に登録したものの、自分に合った仕事が見つからず、何度も職を変えることの繰り返し。
それもこれも自分が悪いのじゃない、やる気はあるの世間が、理解してくれなかったにすぎない。
だが、主人公の気持ちとは裏腹に、現実に信用を失い、働き口もなくなり、ついにネットカフェでの暮らしまでして、そして消費者金融に手を出し、気がつくと借金が膨らんでいた。

 ネットで乃南さんのこの本のサイトを開いてみると、
「けっこうあせっているんだけれど、プライドも高い。一言でいえば、幼稚というか(笑い)。でも、屈折しているわけではないと思うのですね」
心優しくて、他人への誠意もあるし、正義感だって持ち合わせている。ただ、エネルギー不足で、甘えていて、へなちょこな主人公なのだ。
「そういう人に頑張れとは言えません。でも、とりあえず死なないで、生きていようよというメッセージを出したかった」とのこと。

しかし 簡単に そりゃ主人公の考えが甘い、大学まで出たんだから もう少し世の中をしっかり見なくちゃと思うところもあるけれど、一方でこんなにも簡単にちょっとしたはずみでわけなく人生が転落していく現代社会の過酷さも わからないわけではない。

その後耕平はとにかく寝泊まりできる所でということで、新聞販売店従業員となり働くのだけど、そこは様々な人生模様がうかがえる場所なのだ。ここで同じように働く女性杏奈と出会う、決して男性の目を引くような女性ではなく口数も少ない女性だけど、彼女の存在が耕平の人生にやがて大きな変化を与える。

今日を生きることで、明日が見える。(ニサッタはアイヌ語で明日という意味らしい。)
この小説の中で、「アメラジアン」という言葉を初めて知った。
今政府が抱えている沖縄の諸問題は こういうことも含まれているのだと思った。

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雲り 時々雨 15℃

2009読破本のベスト10

2009年12月11日 | 本の事
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 気がつば今年もあとわずか・・。
年末という実感が全然わかないまま 日々をのんべんだらりと過ごしている私です。
それでもこの時期になると今年の何でも「ベスト10」が特集される。
週刊文春はミステリーベスト10だ。→

今年はトンボ様(こういうときだけ”様”という自分が恐ろしい。)のおかげでたくさん読ませていただいた。この件に関しては、御礼申し上げます。横取り読みしなければこんなに読まなかっただろうし、時間制限されなければこんなに多く読めなかったと思うから・・・(随分せかされたけど)
私は洋画は好きだけど、洋書はほとんど読まないなぁ昔から・・
ですから来年も 日本の本でよろしくです。

 さて。
週刊文春の件に戻るけど、

① 新参者…東野圭吾

② ダブルジョーカー…柳広司

③ 鷺と雪…北村薫

④ ANOTHER…綾辻行人

⑤ 追想五断章…米澤穂信

⑥ 無理…奥田英朗

⑦ 粘膜蜥蜴…飴村行 

⑧ オリンピックの身代金…奥田英朗

⑨ 龍神の雨…道尾秀介

⑩ 同期…今村敏

私は①と、⑥と、⑧を読ませていただいた。

ここからは私の今年読んだ本のベストテン、私が選んだ本でないのと、横取りしたのを手当たり次第読んだものなので、あくまでも独断と偏見で選びました。
それでも 本を閉じるのが惜しいようなのが何冊かあり、まるで自分がその物語のヒーローになったような気分になり、年食っているのも忘れて感情移入してしまいました。

というわけで・・・
「IQ84」かなぁ、「最も遠い銀河」かなぁ、ううむ、迷う。ううむ、でもやはり私はこれだ!老いても、しわくちゃでもやはり、ロマンを追いかける気持ちは人一倍だもんね。

① 最も遠い銀河…白川道

② IQ84…村上春樹

③ オリンピックの身代金…奥田英朗

④ 無理…奥田英朗

⑤ 図地半転…曽根圭介

⑥ 鉄の骨…池井戸潤

⑦ 骸骨ビルの庭…宮本輝

⑧ 新参者…東野圭吾

⑨ 永遠の0…百田尚樹

⑩ 骨の記憶…楡周平

切り羽へも、チームパチスタの栄光もとても面白かったのですが、今年発売の新刊で選んでみました。


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雨 時々曇り 18℃

「ハッピー・リタイアメント」浅田次郎著(幻冬舎)を読む・・12/5日読了

2009年12月09日 | 本の事
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 今年最後のトンボ文庫レンタル本です。
久々の浅田次郎の新刊ということで、わくわくしながらページを開きましたが、期待通りの浅田次郎なりにユーモアで世相を切り 痛烈に揶揄している。うん、とても気持ち良かったです。

定年を四年後に控えた、しがない財務官僚・樋口慎太郎と愚直だけが取り柄の自衛官・大友勉。二人が突如再就職先として斡旋されたJAMS(全国中小企業振興会)は、元財務官僚の理事・矢島が牛耳る業務実体のない天下り組織。その体質に今イチ馴染めない樋口と大友は、教育係となった秘書兼庶務係の立花葵から、ある日、秘密のミッションを言い渡される…。
<BOOKデーターベースより。>

それで、このお話は、浅田さんのところに実際に、こういう資金回収に来た人たちがいたところから思いついた小説だそうで、プロローグはここから始まる。

愚直で憎めないけど、どこか寂しい昭和の遺産っぽい、おじさんを書かせたらほんとに上手い浅田さん。それにからむ少々、トウがたってはいるが可愛い女性、葵のシニカルだけど乙女チックな部分とかも魅力的。浅田さんって粋でいなせな女性を書かせたら天下逸品ですよね。私は浅田さんの本を読むといつも「あぁ あんな女性になりたかった。」と思う。けど、気がつくのが遅い、いまさら長年の自分の生きていた歴史により作られた人間性を変えられない。

そんなわけで 最後はやはり、いつもの浅田節で矢島をぎゃふんと言わせてくれます。
その彼らを牛耳る悪代官っぽい理事、矢島(加齢臭ぷんぷんの)の俗物ぶりとあわせて、見事な人物配置なり。一番面白いのは、ふたりがあちこちに借金を回収に行くシーン。お金を借りた時はどん底だった人たちが今は違う人生を得ている姿、そのころのことを忘れようとする者、悔やんでる者、振り返らないと決めた者などそれぞれの反応が人間くさくて、私ならどうするシチュエーションになってしまった。
時効を盾に、無視するか、それともそのお陰で今があるのなら、無理してでも払うか?
さてさて、どちらでしょうね。
そんなこと思いながら本を閉じました。

流石!浅田次郎、そんな小説でした。

ここを読んでください。↓本も面白いけど、どうしてこの本を書いたか書いてあり、私は笑ってしまいました。

http://goethe.nikkei.co.jp/human/091126/

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雲り 13℃ 

「SOSの猿」(中央公論社)を読む。・・伊坂幸太郎著・・11/2日読了

2009年12月06日 | 本の事
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  今年もぼちぼち恒例の週刊誌による「本年度のブックベスト10」が掲載される。
私も今年は 読書家のトンボさんのおかげで随分読ませていただいたが、私の読んだ本も そのベスト10に数冊入っている。そのうちに書きたいと思いますが、あと二冊です。お借りしてるのは。
その中の一冊。

<物語>
家電量販店の店員・遠藤二郎は、イタリアで修行した「エクソシスト」というもう一つの顔を持つ。遠藤は他人の発する「SOS」を見過ごせない性格だった。ある日、知り合いの「辺見のお姉さん」にひきこもりの息子・眞人の悪魔祓いを依頼され、辺見家に赴く。
 一方、桑原システムの社員・五十嵐真は、20分間で300億円の損失を出した菩薩証券の株誤発注事故の調査を命じられる。 菩薩証券は、ミスの原因をシステムのせいにしたがっているという。聞き取り調査を始めた五十嵐は、なぜか奇怪な幻想に翻弄されていく。
 眞人の部屋で「西遊記」を発見する遠藤。そして五十嵐の前には異形の猿が......。これは現実か妄想か。二つの物語のゆくえはいかに。 (書籍データーより)

知人の息子が引きこもりで…。そのSOSに取り組む二郎の「私の話」と交互に語られる「猿の話」。証券会社で起きた誤発注の原因を探る生真面目な男と、男が出会う奇妙な因果関係が語られる。
二つの物語がパラレルで進行して、最後に一つにまとまるという、よくある手法。

悪魔払いを副業とするイタリア帰りの男と、株の誤発注の原因を究明する男。
この二人を中心とした二つのお話に、孫悟空が首を突っ込む。
因果関係を一つのテーマに据えて、本当に悪い者は何なのかを掘り下げていく物語。
ファンタジーと思いきや、意外と現実的だったりするのだけど。

そして二つの話に絡みつくように出てくる西遊記。いろんなところに現れては消える孫悟空がかき回すかき回す。何が本当で何が幻覚なのか?そもそも、そんなところに意味はあることか…?

というわけで、悪魔祓いとエクソシストと。
こういう物語はやはり賛否両論あるのでしょうね。私はう~ん、ちょっと・・・

私はなかなか入り込めなくて、何度も同じところを行ったり来たり、とうとう最後まで 物語に感情移入できなかった。

というわけで次は最後の一冊「ハッピー・リタイアメント」です。
久々の浅田次郎。
楽しみ・・・