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ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

⑰「伽羅の橋」叶 紙器著(光文社)・・3/31日読了

2010年04月09日 | 本の事
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たまった、たまった、ブックレビューが・・
早く書かないと、というわけで今日は本の話です。

この本はなんでも、『第2回 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞』受賞作品らしい。

『現在では、昔の猫間川は、下水管にして地下に埋めて道路となり、
「源ケ橋」の姿はありませんが、生野本通商店街の入口にあたり、
源ケ橋交差点の付近です。
ここには、千年以前の昔から「猫間川」がありました。
南から流れてきた水が、北の旧淀川に合流していてのです。
さて、このあたりに、古い伝説があります。
200年も昔、江戸は、文化と言われる頃のことです。
「猫間川」の渡し守をしている「源」という悪党がいました。
通行人から暴力で金品をまきあげきあげて生活をしていたのです。
或る日、例のように、一人の旅人からみぐるみ剥いで殺してしまいました。
ところが、この人が、長年行方を捜していた、我が子だったのです。
さすがの悪党の「源」も深く悲しんで悔やみました。
思い悩んだ末、ついに罪滅ぼしをしようと決意します。
自分の身代をすべてなげうち、「猫間川」に橋を架けることにしたのです。
この橋は、すごい橋でした。それは香木に使われる「伽羅」で出来ていたのです。
この香り高い伽羅香木の橋は、源さんの悔いを表して、あまりあるものでした。
人々は、善人になった「源さん」に因んで、「源ケ橋」と名づけて呼んだのでした。 』

表紙をめくるとこの昔話が書いてある。

さて、面白かったのかというと、ううーん・・・正直サクサク読めたけど、内容的サスペンスとしては どんでん返しがあるわけではなし少し平凡かな。でも力作ではあったと思うが。

それというのも 今までの大好きな推理作家のデビュー作は どれもこれも、読むうちにすっかり入りこみ、感嘆とため息しか出なかった記憶、舌を巻くほどだったのに比べて、この作品は単純なのだ。
たとえば 水上勉の「海の牙」、松本清張「目の壁」、高木彬光「刺青殺人事件」、内田康夫「死者の木霊」・・・
ずーっと昔に読んだにもかかわらず覚えているほど素晴らしかったので。

介護保健施設の職員・四条典座(しじょうのりこ)は、
認知症の老人・安土(あど)マサヲと出会い、その凄惨な過去を知る。
昭和二十年八月十四日、大阪を最大の空襲が襲った終戦前日、マサヲは夫と子供二人を殺し、首を刎ねたという・・
穏やかそうなマサヲが何故そんなことをしたのか? 
典座は調査を進めるうちに彼女の無実を確信し、冤罪を晴らす決意をする。
死んだはずの夫からの大量の手紙、犯行時刻に別の場所でマサヲを目撃したという証言、大阪大空襲を描いた一編の不思議な詩……
様々な事実を積み重ね、典座にある推理が浮かんだそのとき、大阪の町を未曾有の災害・阪神大震災が襲う――!!

まず、名前が変わっている。
なにもそこまで変わった名前にしなくてもいいのにと、それに違和感を覚えた。
そして冤罪を晴らすために典座は仕事が終わってから、調査しキチンと立証していくのだ。
冤罪を晴らそうという正義感と情熱には脱帽するも、読み終えた最後、お疲れさん!といいたくなった。

雲りのち雨 15℃

⑯「マドンナ・ヴェルデ」海堂尊著(新潮社)・・3/26日読了

2010年03月30日 | 本の事
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 ←どんどん本が追いかけてくる。私が選んだ本ではない。
買っては売り、売っては買いを繰り返しているトンボさんから ちょいとお借りした本だから、贅沢は言えないが、ペースが早すぎる。あぁ~忙しい。頭がコンガラがる。

「別に読まなくてもいいんだよ、あんたに言わせりゃ 俺の読む本はくだらん本なんだろう?」
そうは言っても、本屋の店先に新刊書で並んでいる本を読むチャンスがあるのに 読まないなんてもったいない。
うん、確かにくだらない本もあるけれど、面白い本もある。
で、この本は面白い部類に入ると思う。

というわけで ねじり鉢巻きで、仕事もせず読みまくってます。暇だからいいようなものの。
この本も夜更かしして一日で読み終えた。でもその翌朝、すっかり寝過して大慌てで店に出勤。私はどうしてこんなによく寝るんだろう。自分でも信じられない。8時間はキッツチリと寝ている。

またもや枕が長くなったけど、医者である作者の 時代の流れに乗った新しい問題提起を含んだ作品なので 話題に挑戦しようとする心意気が感じられる内容だった。

物語は・・
「ママは余計なこと考えないで、無事に赤ちゃんを産んでくれればいいの」平凡な主婦みどりは、一人娘で産科医の曾根崎理恵から驚くべき話を告げられる。子宮を失う理恵のため、代理母として子どもを宿してほしいというのだ。五十歳代後半、三十三年ぶりの妊娠。お腹にいるのは、実の孫。奇妙な状況を受け入れたみどりの胸に、やがて疑念が芽生えはじめる。「今の社会のルールでは代理母が本当の母親で、それはこのあたし」<BOOKレビューより>

主人公みどりは、55歳で娘の代理母になることを選んだ女性。娘理恵の勝手な後だしじゃんけんのような方法で否応なしにだけど。
みどりが理恵から頼まれて代理母を引き受ける経緯や、理恵や理恵の夫である伸一郎への思い、また、みどり自身についてや、なぜ双子を別々に引き取ることになったのかなど、読み進むうち、わかるのだけど、ううーん、何と言ったらいいのか、私のような頭の悪い人間には理解できないような 一般人から見れば狂人寸前としか言いようがない極端人間ばかり。まぁみどりも普通人とは言えないとおもうけど ここまでハイレベルの人たちに人としての倫理と思いやりに基づき戦いを挑む姿は、なかなかのものかな?これが肉親だから余計に・・
よくわからないけど、常識などどこ吹く風とばかり代理母という問題を考えさせるという意味においては 素人にもよくわかるいい作品だと思う。

頗る晴天なれど風冷たい。 11℃

今日はすっきり晴れてるから、午後から近所散歩です。
明日 春の便りの写真をアップしますね。
明日もまた覗いてみてください。

⑮「終着駅」白川道著(新潮文庫)・・3/25日読了

2010年03月28日 | 本の事
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 白川道の小説を読むと、いつもながらその世界に入り込んでしまい、しばらくの間ポヤーンとした生活を強いられる私。
乾ききった私の心に砂漠に慈雨のごとく スーッと入り込んでいくセンチメンタリズム。
アラ還すぎて随分日が経つというのにいまだ、未練たらしくロマンと愛を追い求めているんだわ!
というわけで・・・
たまには自分で購入した本の紹介です。といってもブックオフで買った古本ですが・・

この物語はストイックでハードボイルドな男の究極のラブストーリー。

広域指定暴力団の幹部・岡部は49歳、欲がなくて会長のお気に入りなのだが、公園で見かけた盲目の女性・ひかるに心惹かれる。岡部のかつての恋人に似ていて、この恋人は岡部が無理にバイクに乗せて事故ったせいで死亡。更に父親が苫小牧に出稼ぎに行って現地の女性と心中してしまい、この二つの事件から自棄になってヤクザの世界に足を踏み入れたというのが岡部の設定。
ひかるが視力を失ったのはヤクザが仕掛けた爆弾事件の巻き添えになったせい、恋人の弟(弁護士)の妻子もチンピラによって殺されて、岡部は自分の稼業に疑問を抱きはじめ、足を洗う決意をする。ここにヤクザの跡目争いが絡んでくる。

結末は、白川道の本は絶対にいつもこうなんだ、彼女に出会ったときから、想像がついていた。
なにせ、岡部ははドンパチが当たり前の世界に身を置いているのだ。死と裏切りが身近にあって当たり前にの世界。
最後の数十ページを残すところまで読み進んだとき、「 お願い! 幸せにしてあげて!」と心のなかで叫んでいた。

けどその願いもむなし・・・・
やっぱり思った通りなんです。

しかし白川道の本はどうしてこうも男性が不器用な生き方しかできないのに、カッコいいのでしょうね。

大雨  11℃ 

⑭「スロープ」平山俊子著(講談社)・・3/18日読了

2010年03月26日 | 本の事
日記@BlogRankingいつもブレンド日記に訪問くださりありがとうございます。読む前にちょっとクリックお願いします。今日は貯まりにたまったブックレビューです。本嫌いの方もどうぞクリックだけでもよろしく!
 読み進むうち なーんか、川上弘美に似ているような文体だな そう思ったけど、この方の本も初めての出会いです。

 ひゆんひゆんひゆんで始まる踊るような出だし。
調べてみたら平田さんって、もともと詩人らしい。

<夫から追い出されるかたちで始まった別居の末に、いまは東京で一人暮らしをつづける「わたし」は、戦死した伯父を弔うために南太平洋のコロンバンガラ島へ向かう。伯父の故郷は、隠岐の島後(どうご)。「わたし」も、小学生時代をこの島で過ごした。隠岐には、後鳥羽院や後醍醐天皇など、流罪となった人々の歴史がある。この小説は、流される、という出来事にまつわる不安定な空気を細部にまで溶かしこみつつ、「わたし」の現在と過去を語っていく。>・・本のよみうり堂より。

淡々と書かれているけど、難しいストーリはなく、後半は主人公が伯父の戦死した島に供養に行く旅が中心になってはいる。
けどそういう出来事よりは「わたし」のたゆたう心象風景がテーマといえる小説。あるのは生きることのもの哀しさであり、死者への悼みなのだけれど、暗さは無くどこかとぼけたような明るい筆質の本なり。

この本が明るいと思えるのは、途中で落語が出てくるのだ。
堀の内、そして御慶。
御慶で甘汁屋という古着屋が出てくるとか、鍋屋横丁では、鍋屋というお茶屋だでてくるとか・・・
なんか楽しい。
それに島根の隠岐の島がたくさん出てくるところも楽しい。
あっという間にサクサクと読んでしまいました。

雲り後晴れ なんと雪が降る。 朝2℃、午後7℃ 寒い、寒い・・

⑫『たった独りの引き揚げ隊』・・石村博子著(角川書店)3/12読了 

2010年03月18日 | 本の事
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 次から次へと本が来る。
「なんか本に追っかけられる、夢を見る。もう今年になって12冊だよ。」そう言ったら愚かなトンボが「12冊? まだ少ないよ俺にいわせりゃ、俺なんか、もう読みすぎて知識があふれて時々水戸様から匂い付きであふれ出るよ、多少括約筋も衰えているから勢いはないけどね。」
いやだよね、品がない発言は・・。

とまぁ前置きはそのくらいにして、この本はドキュメンタリータッチの本で それもそのはず実話らしい。

1945年、ソ連が旧満州に侵攻した日、家族と離れ離れになった少年ビクトル。彼はコサックの母、日本人の父を持つわずか10歳の少年だった。
たどり着いたハルピンで父と再会するが、その後独りで日本へ帰還するため入れてもらった引き揚げ隊に、ロシアとの混血であることを理由に追い払われ、広野に独り取り残される。
満州1000キロをコサックの祖父や母から受け継いだ知恵で歩きとおしたビクトルは、成人した後スポーツを通して日本とソ連を結ぶ架け橋となった・・・。

恥ずかしながら私はこの本を読むまで、サンボというスポーツもコサックという民族もしらなかった。

そんなわけで調べてみましたよ。
近代格闘技史を知る上で決して欠かせない格闘家の一人。ビクトル古賀こと古賀正一は柔道、レスリング界に多大な影響を与えただけでなく、旧ソ連で生まれた格闘技、サンボの第一人者としてロシア人からも一目置かれてきた。そんな華々しい経歴を持ちながらも彼の功績や経歴は日本であまりにも知られていない。

とにかくこれまでの引揚者の物語は「悲惨な証言を風化させてはならない」「思い出したくないが、今記録しておかなければ」という、やむにやまれぬ気持からというのが多いから、戦争をいやがうえにも思い出させてくれるものばかり。
でもこの作者は。「俺が人生で輝いていたのは、10歳、11歳くらいまでだったんだよ。それに比べたら、あとの人生なんてとりたてて言うほどのことってないんだよ」と書いてるくらいだから、その独りで引き上げる道中が実に感心するというか、素晴らしいのだ。人がどんな環境に置いても 生きていける根幹をこの時すでに身に着けていたビクトル。
読みながら これから地球がおかしくなってもこのように冷静に 今おかれた立場を判断しさえすれば、何とか生きられるんじゃないかとさえ思わせてくれる。

後書きに寄ると聞き取りを始めてから4年かかったそうで、大半は、背景の歴史を調べ、証言の裏付け調査に費やしたようです。

なーるほど・・
それがこの本が、ただの聞き書きや、独り善がりの思い出でなく、良質のノンフィクションに仕上がっているのかな。

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雨 12℃ 寒い。

⑪「城は踊る」・・岩井三四二著(角川学芸出版)を読む・・3/9読領

2010年03月14日 | 本の事
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  トンボに見せてもらったのだけど、これ意外にヒットというか面白かった。

ただで評判の新刊書を見せてもらっているのに あれこれ言っていけないけど、私が読みかけのページに栞を挟んでカウンターに置いておくと ページを確かめながら「俺もそこまで話のわからん男じゃないけど、早よ、読みんさい。お客の相手はイリコに任せて、今晩中に目鼻をつけてもらわんにゃ、今が旬の本は売り時があるんだけえね。」とまるで江戸時代の吝嗇な悪徳高利貸しのような口調で脅す。

脅しに乗ったわけではないが、うん、これが意外に面白く、読み出したら止まらなくなり、あっという間に読み終えてしまった。

<迫り来るスピード感、二転三転するストーリー、究極の戦国エンターテイメント!「みな煩悩の炎に焼かれて踊っておるわ」 急な陣触れと、無理難題の主命、そして、敵方には貴族出の女城主。今度のいくさはどこかおかしい。 矢玉飛び交う戦場で、運と欲に翻弄される人びと。生き残りと恩賞をかけて、厄介な城攻めが始まった!>商品紹介より・・

安房里見氏に属する青山信濃守は、隣接する榎沼城主・武田左近将監が転戦先で討死したことを知る。手にはある人からの手紙が・・・その手紙を文箱に入れ、榎沼城の城攻めを決意する。
青山信濃守から67貫文を宛がわれている領主・神子田久四郎は城攻めに参加する。引き連れた足軽などのうち、一体何人が生きて帰れるのか、どう城を攻めるのか、この戦の目的は一体何なのか。次第に明らかになる主人公たちの過去。
最初からお終いまで、とにかく城攻めの内容なのだ。
神子田久四郎と、城方の城代、柿沢玄信の2つの視点で、双方の決して簡単ではないお家の事情や戦の内実が語られながら、ひたすら泥臭い、いわば等身大の城攻めが展開され、心理作戦が書かれている。なかなか面白かったのだけど、結局、ことの起こりは、一人の女性の身勝手から始まったとなれば、女というものは昔も今も怖いものなり。
女性を侮ってはいけませんぞ!

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晴れ 14℃

⑩「もいちどあなたにあいたいな」・・新井素子著(新潮社)を読む。3/1読了

2010年03月11日 | 本の事
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ここのところブックレビューが貯まっていまして、早く書かないと本当に忘れてしまう。
この本読んだかな?一度読んでも端から忘れるという私、これって病気かな?
というわけで、本に興味のない方は飛ばしてくださいね。

でこの本の物語は・・・
女子大生の澪湖(みずこ)、その母の陽湖(ようこ)、父の大介の視点で話が進む。
澪湖は、ごく近くに住む叔母の和(やまとばちゃん)が、娘の真帆を亡くしてから様子がおかしいことに気づく。まるで、よく知っている叔母とは別人であるような……。

新井素子を初めて知って、調べたら、SF作家であり、パラレルワールドの世界が広がる作家であると。そして7年ぶりの書き下ろしであるとのことだけど、ううーん、正直言って私は見せてくれたトンボさんには悪いけど、入り込めなかった。
ま、本などというものも当り外れはあるし、好き嫌いもあるから。でもトンボも面白くなかったけど、すぐ売れてよかったと言ってました。

ただ「やまとばちゃん」が娘を亡くしても悲しまない理由を様々に推理することで、逆説的になぜ女性は小さき者の死に涙しなければならないのかを問い、“母性”信仰に一石を投じているのではないかな。
この本がSFっぽいのは、「やまとばちゃん」が別のモノに入れ替わった可能性があるからではなく、実は家族は温かく安らげる場所であるとか、女性は子供を慈しむものであるとかいった“常識”や“神話”を破壊しているからなのだ。誰もが知っていながら、見て見ぬふりをしてきた題材に正面から取り組んだのは、偉そうですが評価できるのではないかと思う。

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雲り時々晴れ 12℃

⑨『北帰行』を読む。佐々木譲著(角川書店)・・2/28読了

2010年03月07日 | 本の事
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直木賞受賞後の第一作

最近のトンボさん、いつも2日間しか読む期間を与えてくれない。
訳は、なんでもアマゾンが今月いっぱいお客様感謝デーなるものをしていて、金額のいかんにかかわらず送料ただらしいのだ。それで、今のうちに読んで売りたいらしい。
それにしても、期日を決められると気が急く。どうしても斜め読みになる。

「それで不満なら読まなくてもいいんだよ。」と、馬の鼻先にニンジンぶら下げで、ここだけの話 ホント、いやな奴。
そんなわけで死に物狂いで斜め読みました。

斜め読みしてもいいような佐々木さんにしては軽い本かなぁ・・・

<日本に渡った妹が暴力団組長に殺されたターニャは、報復のためロシアンマフィアから日本に送り込まれる。外見はモデルと見間違えるような美しさだが、中身は完全主義の暗殺者。見事に報復を果たすが、暴力団組織から執拗に追われる。>

今回は警察物ではない。
いわゆるロードノベルだ。そして映画「ニキータ」みたい。

東京、新潟、そして稚内。1000km以上に及ぶ極限の逃亡劇の結末はどうなるか?
最初の殺人、六本木界隈で組長狙撃され二人、報復の撃ち合いで三人が、
手違いから肉親が一人、敵討ちでまた一人、そしてまた・・・ちょっと短期間に人が殺されすぎな感、まぁそれなりにストーリーには引き込まれたのだけど・・

カタギな旅行代理店を営んでいた卓也が、図らずも美人のロシア人ヒットマンと逃亡を共にし、やくざまで巻き込み しかし一緒に逃亡するうちに次第に愛が芽生えてくるというお話なのである。

サクサク読めるけど、直木賞受賞一作目にしては物足りないかな。

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⑧「きみ去りしのち」・・重松清著(文芸春秋社)・・2/22読了

2010年03月01日 | 本の事
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この本もトンボさんに見せてもらったのだけど、それが、「もう売れ先が決まっているから、2日で読めれば見せてあげる。」と渡された本。
オリンピックもあるし、月末でもあるし、でも読まずに返すのはもったいないしで、寝る間も惜しんで読みました。
けど、じんわりと心に染みいるようないい本でした。
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 どれだけ歩きつづければ、別れを受け容れられるのだろう。幼い息子を喪った父、“その日”を前にした母に寄り添う少女。─生と死がこだまする、ふたりの巡礼の旅。再生への祈りをこめて描かれた傑作長編小説。 <データーベースより>
第9章からなる旅物語なのだけど・・
各章ごとに舞台が変わり、それぞれで特徴的な情景が描かれているが、それでも静かな印象を受けた。それもそのはず 我が子を亡くした悲しみを忘れるためのある意味巡礼の旅なのだ。
第7章のところで琴ヶ浜、鳴き砂で島根の仁摩町が出てくる。
限界集落の過疎地のこの地で働く、Uターンの運転手さんの話には、親と一緒に暮らさなければならない苦悩と、出雲の神話イザナミとイザナギが絡み合って 読む者黄泉の国に誘ってくれて を静かな気持ちにさせてくれる。
デジタル時計ではなく、さらさらと落ちる砂で測る砂時計。
きっとこの本を書くにあたり、重松さんはここ、サウンドミュージアムに足を運んだのでしょうね。

明日香とセキネさん、親子でありながら訳け合って別々に住んでいる。
そしてある出来事をきっかけに、二人で旅をすることになるのだ。

誰も責めることができない、自分を責めても仕方がないことなのに自分を責めることしかできないこと。どこまでいっても許すことができないこと。そんな答えのない、でも答えを求め、すがりつくようなことを たんたんと静かに、でも確かに書いている。
私は読んでいないのだけど、トンボが「悼む人」に似ている。自分の心の中の苦悩を癒す旅物語だと。

思い出にすがることや忘れないことが正しいことなのだろうか。「時間が解決してくれる」の「時間」とは、ただ過ごしていれば訪れる「時間」なのか。
やはり「時」は癒しの薬になる。
なんて難しい、経験のないものには到底理解できないだろう事を、静かに真正面から書いている本だと思う。

というわけで 人の死に向き合った、重松清の最新刊です。
もう一度歩きだすための長い長い助走の旅を描いたと重松氏。

人は誰もが皆人生を旅しているのではないかと、この物語を読んで感じました。

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雲り時々雨 15℃

⑦「横道世之介」・・吉田修一著(毎日新聞社)を読む。2/5日読了

2010年02月07日 | 本の事
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 今年初めて見せてもらったトンボ文庫。

「俺もあと12年と8ケ月と13時間しか生きられんから、もう本は買わない。あんた読みたい本があれば自分で調達しんさい。」
「そのわけのわからん数字は何?で、本読まずにどうするの?暇な時間はどう過ごすの?」
なんでも男性の平均寿命を遡るとそうなるらしい。
残り少ない人生、お金をためて有料老人ホームに入るんだって。

そう言いながら禁断症状が出たらしく、ついに購入した。それで回してもらった一冊です。

結論から言うと面白かったです。
『楽しい。涙があふれる。本年最高の傑作感動長編!「王様のブランチ」「朝日新聞」ほか多数メディアで激賞。
横道世之介。長崎の港町生まれ。その由来は『好色一代男』と思い切ってはみたものの、限りなく埼玉な東京に住む上京したての18歳。嫌みのない図々しさが人を呼び、呼ばれた人の頼みは断れないお人好し。とりたててなんにもないけれど、なんだかいろいろあったような気がしている「ザ・大学生」。どこにでもいそうで、でもサンバを踊るからなかなかいないかもしれない。なんだか、いい奴。――世之介が呼び覚ます、愛しい日々の、記憶のかけら。名手・吉田修一が放つ、究極の青春小説!』
と内容紹介にあった。

なになに究極の青春小説?
そう思いながら読み進む。やはり若者向きの小説だと思う、平成の「三四郎」版かな?

地方都市から東京の大学に進学した横道世之介(井原西鶴「好色一代男」の主人公と同じ名前というのがうり)の大学1年の生活と彼を取り巻く友人,恋人の20年後が交互に描かれている。そして地方都市から都会に進学した青年が体験するであろう世界がそこに描かれている。私にはそういう経験がないけど、なんだかよくわかる気がする。

主人公の世之介は大学の一年間で何かに一生懸命に打ち込んだわけではない、頼りないというかマヌケっぽい、というか、今風の普通の男の子 でも何だかいい人なんですよ。今の世の中そういう人がありふれてるのかもしれないし、そうでもないのかもしれない、別にどうでもいいような、そんな大きな起伏のない一年を書いた物語なのだけど。

が…真ん中辺りまで読んで、え…最後どうなるの?って思ってしまう。

またぺらぺら書くとネタばれになり顰蹙を買うのでここらあたりで止めておきますが、そういうことなのです。どういうこと?
それは読んでください。

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晴れ 9℃