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ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

(27)小暮写真館・・宮部みゆき著(講談社)・・6/26日読了

2010年06月28日 | 本の事
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 なんとも分厚い小説。
700ページにも及ぶ。
勿論 私が選んだ本ではない。トンボの本のまた借りなのだけど・・

もう会えないなんて言うなよ。あなたは思い出す。
どれだけ小説を求めていたか。ようこそ、小暮写眞館へ。
3年ぶり現代エンターテインメント。(「BOOK」データベースより)

この本のタイトルを始めて新聞で見たとき、「えー?宮部みゆきって写真もやってるんだぁ」と思った。写真集かと思ったのだ。
そして何ともノスタルジーを感じさせる装丁、サスペンスなの?それとも旅日記?・・

けど、違ってました。

英一(花ちゃん)と両親、それに小学生の弟の四人家族が、念願のマイホームを手に入れ、ある町に引っ越してきたところから話がはじまる。寂れた商店街のど真ん中にある築三十三年という店舗兼住居。両親は、敢えて外装も店舗部分も直さずに住むことにする。
そんなわけだから、看板もそのままだ。緑青の浮いた合金の板に「小暮写眞館」の文字。

そして話は花菱一家を軸に始まる。
主人公の花ちゃんと、ちょっと変わった両親、生意気な弟、そんな花菱一家を面白がる親友の店子力(通称テンコ)コゲパンなどが一気に紹介されていく。
四章にわたって物語は進んでいくのだけど、各章とも小暮写眞館を舞台に、いわくつきな「写真」を軸に展開していく。ときに、それは謎の心霊写真めいたり、ミステリーめいたり。
三章までは物語がゆっくりなので、途中何度も眠たくなったけど、でも。怒涛の四章は流石というか、このあたりから目が離せなくなってしまった。

ネタばれにならないように書くと、写真を軸とした各話とは別に、いくつかのサイドストーリーが全編を貫く。一つは、小暮写眞館の店主だった故小暮泰治郎にまつわる挿話。写眞館には、小暮老人の幽霊が出ると噂されているのだ。二つ目は、花ちゃんのすぐ下に生まれ、四歳で亡くなった風子のこと。そして、もう一つ、不動産屋の若い事務員の垣本順子。愛想もなにもなく、「バッカみたい」が口癖の彼女にも、なにか、いろいろと訳がありそうで、花ちゃんには気になる存在になる。

読み終えた後、この本は児童文学書でもいい、高校生の夏休みの感想文課題小説としてもいい。そんな思いになった。
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雨 29℃

(26)「死ねばいいのに」京極夏彦著(講談社)・・6/18日読了

2010年06月20日 | 本の事
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 『死んだ女のことを教えてくれないかー。無礼な男が突然現われ、私に尋ねる。私は一体、彼女の何を知っていたというのだろう。問いかけられた言葉に、暴かれる嘘、晒け出される業、浮かび上がる剥き出しの真実…。人は何のために生きるのか。この世に不思議なことなど何もない。ただ一つあるとすれば、それはー。』

 この本は・・・新聞によると。
講談社は20日、15日に発売された京極夏彦さんの小説「死ねばいいのに」を電子書籍化し、米アップルの新型携帯端末「iPad(アイパッド)」など向けに6月上旬から配信すると発表した。同社によると、大手出版社が文芸書の新作を電子配信するのは初めて。
価格は単行本1785円に対し、アイパッド版は900円(発売開始2週間は700円)。アップルの多機能電話「アイフォーン」版やパソコン版も同価格で、携帯電話向けは1章105円(全6章、第1章は無料)。

私は本は絶対に紙でなければ嫌だなと危惧していたので、この本をトンボから見せてもらった時、「え??これってアイパッドの本でしょう?面白いん?」「嫌なら読まなくてもいいんだよ。でもこの本 意外に評判がいいのよ。」という。
それなら私は連日本当に忙しいけど、サッカー観戦の合間に読むか、そんな気持ちで読み始めたのですが・・。

京極物は初めてで、それでも多少なりと作風はわかっていたのだけど、京極夏彦の書くものとしては、あまりにも安易だし底が浅くはないか?
仕事の合間にサクサク読めるじゃないか?
そう思い始めた辺りから、謎の訪問者の正体というか、彼が何者であるのかは大体見当がついたのだけど。
けれども、本当に本当のラストになって初めてようやく明かされた事柄は・・・
いやはや、安易ではなかったです。
ゴメンナサイ、サスペンスの新刊はネタばれは絶対にタブーだそうですから、これ以上書けませんが、お許しください。

軽く読めて、それでいて考えさせられる。これが京極夏彦文学なのか?
今後 もう少し別の本も読んでみたくなりました。

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雲り 29℃ 夜中雨

(25)「花の図鑑」阿刀田高著(日本経済新聞社)・・5/25日読了

2010年05月30日 | 本の事
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 初めて読む作家。短編や週刊誌に連載されていたエッセイは読んだ事あるど・・
たまたま 古本屋で本の陳列台を見ていたら目に付いた。
「お!花の図鑑なんて、色々な花のエピソードでも書いてあるのかな。」そう思い購入した上・下のハード本だ。

タイトルに騙されてはいかん、なんとこれは大人の上質な恋物語なのだった。何でも何年か前 日経新聞に連載されていたんだとか・・(そういえば失楽園も日経新聞連載だった。)

物語は
啓一郎は法子や薫との関係を続けながらも、麻美にますますひかれていった。麻美は遊びでは恋愛できないと、啓一郎との関係に距離をおこうとする。が、ついに麻美を沖縄旅行に連れ出すことに成功した。一方、何か啓一郎の変化を感じた法子は、自分から去っていった。また薫との仲も清算した。本気で結婚を考え始めた啓一郎だったが、麻美からの意外な申し出を聞かされる。求めるものは知か美か性か。三人の女たちの間で彷徨う男の恋愛模様を描く。(ブックレビューより)

花の図鑑というだけあって、花の章で始まる。
それぞれの章は、三人の女性にまつわる花のエピソードで進んでいく。こじつけのようなところもあるけど流石に巧みな文章で楽しめる。
巧みな文章ばかりではなく、石垣島の光景や自然描写、それぞれ花にまつわる物語になぞられながら、生きることはこういうことなのだと言うことを思わせてくれる。
愛とは何ぞや、恋とは、欲望とは、すべて大人のタッチで描かれている。
男女間の心理と葛藤を描くその筆到は、流石というか、執拗かつ怜悧。
そしてその終焉も、また変に納得のいくもので、成るべくしてそうなったと思わせる。

「人生はすべて次の二つで成り立っている。やりたいけど、できない。できるけど、やりたくない。」
作中に出てくる言葉で、なーる程と思えるところはたくさんあったけど、この文章は反省の意味も込めて心に刻みたいと思った。

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晴れ 20℃

(24)「真夜中のマーチ」奥田英朗著(集英社)・・5/11読了

2010年05月13日 | 本の事
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 最近私のお気に入り作家の一人、奥田英朗の一冊。
先日古本屋で見つけた100円の本なり。
いやぁ もの凄く得した気分、面白かったので。
この作家、これも私の大好きな遠藤周作を彷彿させるから好きなのだ。

『自称青年実業家のヨコケンこと横山健司は、仕込んだパーティーで三田総一郎と出会う。
財閥の御曹司かと思いきや、単なる商社のダメ社員だったミタゾウとヨコケンは、わけありの現金強奪をもくろむが、謎の美女クロチェに邪魔されてしまう。それぞれの思惑を抱えて手を組んだ3人は、美術詐欺のアガリ、10億円をターゲットに完全犯罪を目指す!が…!?』

とてつもない巨額(10億円)が絡んだ強奪計画の割には軽いノリで、あくまでもお気楽ムードの犯罪小説なのがいい。
物語は、真っ当ではない人たちばかりが出てきて、スピーディーに二転三転と意外な展開を見せてなかなか楽しめる。

「最悪」や「無理」を書いた人とは思えない。とはいっても「東京物語」や「ガール」、やあまりに有名になってしまった直木賞の「空中ブランコ」「インザプール」の流れといえば理解できるのだけど。

で、ラストの終わらせかたも、すごくいい。 あたしはクロチェみたいなカッコいい女にはほど遠いけど、でも、こんな感じで粋がって、強気だけど根はやさしい彼女がとても好感が持てる。そしてミタゾウの、「僕も好きだけどひとりじめできないから、他の誰かのものにもなってほしくない」っていう、情けないんだけど素直なとこ、共感!

とても面白かったです。
村上春樹も好きだけど奥田英朗もだーいすき。

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晴れ 19℃

(23)「天地明察」沖方丁著・・(角川書店)5/8日読了

2010年05月09日 | 本の事
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江戸時代、前代未聞のベンチャー事業に生涯を賭けた男がいた。ミッションは「日本独自の暦」を作ること―。碁打ちにして数学者・渋川春海の二十年にわたる奮闘・挫折・喜び、そして恋!早くも読書界沸騰!俊英にして鬼才がおくる新潮流歴史ロマン。(「BOOK」データベースより)

 随分長く手元に置いた本。
連休と重なり、中々忙しくて じっくり読む時間が取れなかったから。
でもこの本は本年度2010年本屋大賞に選ばれたらしくて、読まなくちゃ損する。その思いだけでやっと読み終えた。

私は日本史の時間に居眠りをしていたのか、まったく無知。自分でもあきれるほど・・
そして数学は大の苦手、だからこの本の主人公の渋川春海なんて恥ずかしながら 全然名前も知らなかった。

最初 本に入り込めず、読み始めるとすぐに睡魔に襲われていたのが、どうしたことか、どこのあたりからか、面白くて、ぐんぐん入り込んでしまった。

又詳しく書くと、おしかりを受けるので(トンボさんはまだ読んでないから・・)簡単に書くと、
幕府の碁打ちながらにして数学者という渋川春海。
しかし、碁には本因坊道策、数学には関孝和という天才が同時期に存在していた。
2人のライバルに打ちのめされつつも、春海に目を掛ける男たちがいた。
老中、酒井忠清、水戸家の水戸光国に目を掛けられ、最後の黒幕にして大物、会津藩主の保科正之に声をかけられる。
ゆがみが大きくなっていた暦を武家の力で改暦することだ、と。

実のところ暦の歴史なんて全然知らなかった。中国から渡って来たんだろうかな?そう思っていた。
今の世の中ならコンピューターで簡単に計算できるのでしょうが、その昔、天体観測をしながら算術を利用して作った暦、大変な作業だったと思う。私などカレンダーなんてなければ困るから、生活の不便を改善するための事業として「暦」というのはつくられるものだと思っていたのだけど、この『天地明察』を読むと、どうしてどうして「改暦」が「経済的な効果をもたらす大事業」だったのですね。だからこそ、幕府もこれを援助し、すすめようとしたのか……

「こと」と「えん」春海さんの奥さまですが、(先妻と後妻)優しくて思いやりのある春海との関係、本当にほのぼのとします。

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雲りのち晴れ 22℃

(22)「志賀越みち」伊集院静著(光文社)・・4/26読了

2010年04月28日 | 本の事
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 ”1Q84”の余韻が抜けきらないうちにいつものように「ハヨ読め、ソレ読め、」と渡された本。

『あの人のうつくしい瞳が浮かんだ。僕はなんどもその歌を口ずさんだ。
大津から比叡を越えて京に入る古道、志賀越みち。昭和38年、初夏の風の中ひとりの青年がその道で峠を越えて京都にやってきた。行き先は祇園。大学の友人の実家があるのだった。
しかし青年・津田雅彦は祇園がどんな「町」か、芸妓・舞妓とはなにかを知らなかった。お茶屋を営む友人の家ではじめて見聞きすることにとまどうばかりの雅彦。そんな雅彦が建仁寺で一心不乱に祈る美しい少女を見かけた。いままで見たことがないほどの優雅さを持つその姿に動けなくなった雅彦に、彼女は微かにほほえんだ。切ない恋の始まりだった。
昭和30年代の京都の、うつくしい四季のうつろいと祇園に生きる女たちの姿を背景に、青年と舞妓の瑞々しい恋と青春を端正な文章で描く、恋愛小説の傑作。』

読み進むうちこの舞妓は、亡くなった伊集院さんの奥様、夏目雅子そっくりの描写。
それもそのはず、「構想してから20年。人生における恋愛の意味を問い、80年代に3年間暮らしたことのある京都への思いを吐露した力作だ。」と新聞評に書いてある。

時代は東京オリンピックの一年前。
高度成長時代の走り、でもこの物語の京都は、まったく関係なく、昔のまま、じっとそこにあり続けている。
京都の祇園のしきたり、薄くしい光景、すべて素晴らしい描写で手に取るように読む者にわかる、まるで写真のように。
とても自然描写が映像的でありながら、これはやっぱり文章でしか表現出来ないのではないか、そう思わせる綺麗な物語でした。

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晴れ 17℃

(21)「1Q84」BOOK3 村上春樹著(新潮社)・・4/22読了

2010年04月23日 | 本の事
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  読み終わりました。やっと・・・5日もかかりました。(尤も600ページ、普通の2冊分です。)
思った通り、大変満足でした。いまだ心は違う世界を漂っています。まるで時差ボケのように・・(といっても海外に行ったことはないけど。)
村上春樹に限らないけど、好きな本は読み始めると、すとーんと眠りに落ちるようにその世界に嵌り込んでしまう。現実と空想の世界を行ったり来たりする。
これが楽しみであり読書の醍醐味なのだけど。
この本もそうだった。仕事の合間に読んでいると、すーっとこのパラレルワールドに堕ちてしまい、お客さんとの会話も、うわの空でちぐはぐ。
ハッツと我に返り「聞いてるん?」「何の話?」こんな塩梅

で、物語は?
青豆と天吾は1984の世界に、猫の町にと・・・

はいはい わかっています。
まだこれから読む人がたくさんのミリオンセラー本。ネタばれは顰蹙をかいますから書きません。

村上春樹はこの本を出版する少し前に、いつだか新聞にインタビュー記事が掲載されていた。うろ覚えなのだけど、物語について書いてあった。
そして「今長編を書いている、ものすごく長いのを、毎日5・6時間机に向かっている。
どんな長さになるのか自分でもわからないが、この物語の軸になっているのは、「恐怖」だ」と書いてあった。
あの今ノーベル文学賞に一番近いと言われている村上春樹が、練りに練って時間をかけて書き下ろした本。
楽しみに待っていたのがこの本なのだ。

いつも思うのだけど、村上作品はとても易しい言葉でさらりと書いてあるのだけれど、きちんと景色や人々の顔が見えてくる。人物描写もさることながら自然描写もすごい、読みながら登場人物がしっかり想像できて、例えば町で出会っても「あ!牛河だ!」とわかるほど。また、畳針を胸に刺したような痛みとか、レタスを冷凍して解凍したような頭の中身とか、すごくリアルに想像できる。
おまけに読みながら風や空気を感じられる。時々肩をすぼめたり腕をさすったりしている自分がいるもの。
しかも、その中に、「情報」もちゃんと織り込まれているのだ。
新興宗教がどうした、イスラエルが、テロが、と言っているけれど、みんな作者の術中に嵌っているではないか。
それらが自然に溶け合っているから、読んでいてつっかえることがない。頭で考えることなく、するするとからだの中に入ってくるのだと思う。

でも少しだけ私の感想。
すっきりの終わり方だった。こんな終わり方もあるんだ、そして随分長く様々な事件があったように感じただけど、1,2,3巻でたった8ヶ月の出来ごとなのだ。
最終巻は、今までの折り返し地点の復路かな、前巻までの物語を丁寧に書き改めている。今までのを読まなくてもちゃんと理解はできる仕組みになっている。けどやはり読んでからこれを読んだ方がさらに面白いと思うけど。
これくらいにしておきます。

『時は直線として考える。でも実際には時間は直線じゃない。どんなかっこうもしていない。それはあらゆる意味において形をもたないものだ。でも僕らは形のないものを頭に思い浮かべられないから、便宜的にそれを直線として認識する。そういう観念の置き換えが出来るのは今のところ人間だけだ。』

この一節に なーる程とうなってしまった。
そう、村上作品は観念を置き換えて読めば、すんなり理解できる。

ちょっと長くなりますが、先日の朝日新聞にこんなことが書いてあった。
”村上春樹の小説は、読み終えた後、何がしか語らずにはいられなくなる性質を持っている。「あの挿話はどう思う?」「こっちのこれはどういう意味なの?」等々・・
反対に太宰治は「私だけが彼の心の内を知っている。」と錯覚させる作家だが、村上春樹は「私だけが、彼の謎めいた小説世界を理解できる。」と思わせる作家なのだ。”

そう言えば、昨日ジンちゃんとこの物語について話した。
自然にこの話になったのだけど。

ジンちゃんは、「青豆には自殺した大塚環という親友がいたが、猫の町の天吾の父親が入院していた病院の看護婦安達クミ は 大塚環の生まれ変わり」だといった。
私は「え??」といったけど、読み進むうち「ありえる」と思えてきた。
そして 「必ず”BOOK4”もある」という。私は「これが完結だよ。」と言ったが、ネットで村上春樹を調べていたら

この小説は「青豆」の章と「天吾」の章が交互にでてくる形で構成されている。青豆が「さきがけ」の教祖を殺す話と、天吾がふかえりの小説を改作する話が交互に進行していく。Book 1 と book 2 がともに24章という構成はバッハの「平均率クラヴィーア曲集」第1巻と第2巻にならったのであろう。ちゃんと本文にある。「『平均率クラヴィーア曲集』は数学者にとって、まさに天上の音楽である。十二音階すべてを均等に使って、長調と短調でそれぞれに前奏曲とフーガが作られている。全部で二十四曲。第一巻と第二巻をあわせて四十八曲。完全なサイクルがそこに形成される。」 青豆と天吾で前奏曲とフーガを構成する。

と書いてあった。ということはいま前編で48章、後半BOOK3で24章ということは残りがあるということなのか・・

流石に村上研究しているジンちゃん、案外的を得てるかも・・

雲り 12℃ 

⑳「存在という名のダンス」大崎善生著(角川書店)・・4/17日読了

2010年04月20日 | 本の事
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 何ともいえぬ不思議な読後感。
標題を見て村上春樹のようなパラレルワールドっぽいのかな、そう思ったけど、違ってました。

舞台は北海道。
厳しいルールに縛られ世間から隔離された梟の森・・で暮らしていた少年宗太は危篤の父親に会うために脱走。
大まかには ただそれだけなのだけど、「ファンタジー」であり、主人公の少年の旅を追っているので一応「ロードノベル」であり「ホラー」と思わせるところもある。

宗太は岩見沢の施設を脱走して、函館の病院で瀕死の床につく父に会いに徒歩で函館をめざす。追っ手との息詰まる攻防。宗太が学んでいた岩見沢の施設は 戦後の問題が凝縮された歴史があり、創立者の過酷な体験と教育への思いがある。

そいう話を織り交ぜながら、宗太は旅先で様々な出会いを経て 成長していく物語かと早ガッテンしたけど、違っていました。

いまその施設は時空を超えてやってきたゲルミナンド・ヘステと名のる悪魔に乗っ取られているのだ。悪魔は人間の弱さに取り憑き、江戸時代には長崎に現れてキリシタンを弾圧、ドイツではナチスのホロコースト、そしてあまり知られてはいないが第2次大戦末期の樺太での虐殺などを操ってきたという悪魔なのだ。
宗太は周囲のサポートを受け、自分の出生と同時に組み込まれた秘密と使命を知り、悪魔の封じ込めに成功する。

宗太が戦うべき敵は?そして、戦士であるヨムロウとは・・・
次第に謎が解けていきます。
ルビーという小鳥ちゃんや美和という病弱な少女。
このルビーが可愛くてしっかりしている、こんな小鳥なら飼ってもいいなぁ。
というわで やはりファンタジー色の強い物語でした。

雨 17℃

⑲「乱心タウン」山田宗樹著(幻冬舎)・・4/10日読了

2010年04月18日 | 本の事
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 最近トンボさんが私の読後の酷評を気にして「これ 面白くないかもしれんよ、くだらん本だと思うけど、読む?」と言って渡してくれた。「どれどれ・・」

読んでみるとそんなことないよ、世の中の暮らしの悲喜こもごもというか、お金ばかりじゃ幸せになれない、生きていく上には人の情というものも必要だよ、とわからせてくれる本だった。

物語は・・・
万全のセキュリティを誇る富裕層だけの街で発見された死体。それが住民の見栄、欲望、不満、鬱憤、妄想など、あらゆる感情を暴走させていく…。人間の本性を赤裸々に、コミカルに描きながら、「本当に大事なもの」を問う。

不気味といえば不気味、なんといっても奇人変人ばかり住んでいる、高さ3mの壁で囲まれている「マナトキオ」という高級住宅街を舞台に、アナワナ(熱帯魚)を恋人のように思っている女社長、妄想癖の主婦、精力絶倫バイアグラエロジジイ、夫を殺したい妻など・・・
かなり変わった住人達の生活を描いていて、なんだか不気味。
その中だけのルールがあり、きまりごとがあり、違反したら反則切符を切られる。
世間的にはお金もち それも億万長者の町として 羨ましがられているが、お金さえあればと思っている人に、いいえお金がすべてゃありませんよと教えてくれる内容なのだ。
ま、我々貧乏人にはお金が腐るほどあっても 心が満たされないなんて、理解できないのだけど。

内容自体は次々と変な事件が起きるので、飽きさせないで最後まであれよあれよという間に読んでしまうけど、なんじゃこれ起承転結なんてあるのか?と思っていたら最後に、ちゃーんとどんでん返しが用意してありました。

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<追記>

 村上春樹の1Q84「BOOK3」が16日発売された。
はからずもトンボさんがアマゾンで購入したのが手元にある。
嬉しい、読ませれもらえる幸せ。こんなに待ち通しかったった本は、今まで生きてきて、初めてだ。うん?いやまてよ、「明日のジョー」以来だ。
村上春樹の小説は、読み終えた後、何かしら語らずにはいられなくなる性質を持っていると17日の朝日新聞に書いてあった。うん、確かに・・
「1Q84」の上下巻を一気に読んだ後、当分誰彼となくこの本読んだ人と話したくなった記憶。
しかしこの本は「新潮社」も売り方がうまいと思う。村上春樹を初めて読む人でも飛びつきたくなりそうな、売り込み方なのだ。
青豆がどうなったのか、天吾と会えるのか、「空気さなぎ」は・・ううーん 楽しみ。
来週はきっとパラレルワールドにはまりこんで、気もそぞろでしょう。
さあさ、読み始めます。

⑱「インパラの朝」中村安希著(集英社)・・4/4日読了

2010年04月12日 | 本の事
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 昨日からシトシト雨が降り止まない。
そんな週初め。

またブックレビューが貯まってしまった。
早く書かないとドンドン貯まってしまい、どれがどれだか、訳わからなくなる。
少し前に読んだ本も、あれ?どんな内容だったっけ?てな塩梅なんです。
と言うわけで、今日もブックレビューです。 

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 子供のころから冒険ものとか、好きで、好きで。そんなわけだから今も好き。
自分は行ったことがなくても、本を読んでその気になれるというのもその理由。
子供のころは「少年ケニア」「十五少年漂流記」「白鯨」・・大好きで何度も読んだ。

だからこの本が、が第七回開高健ノンフェクション賞を受賞した本だと知り、楽しみに読み始めた。といっても私が選んだ本ではない。いつものようにトンボさんに見せていただいた一冊。
それにしてもこの作者の中村さん、すごく綺麗。こんな綺麗な人がユーラシア大陸独り旅?
私としては、こんな綺麗で理知的な顔をしている女性が どんな冒険をしたのかとても興味がありわくわくしながらページを開いた。

内容は・・・
26歳のとき、思い立ってユーラシア・アフリカ大陸へ、単身旅立った。目的は「その地域に生きる人たちの小さな声に耳を傾けること」。
180万円の予算で二年間、世界を貧乏旅行した若い女性のエッセイ。
47カ国渡り歩いて300ページ足らずということで、簡単に書いてあり、一気に読んでしまった。身近なエピソードを通して各国のお国柄が伝わってくるというもの。

読み進むうち、国ごとに異なる文化や習慣を知るだけではなく、 人間の生き方、お金の価値、途上国への支援のあり方、ボランティア、環境問題などいろいろな視点について考えさせられる。
そして、「豊かさとは?」「貧しさと?」「幸せとは?」 ううーむ、それぞれ人それぞれ、国それぞれ・・
そうではあるのだけど、それにしても人としての根本的な生き方について深く考えさせられる。

たまたまジンバエブのところを読んでいたら、ジンバブエが外貨持っている人にとっては楽園と書いてあったけど、その日の新聞で
『アフリカ南部ジンバブエは先月末、08年3月末の大統領選を巡る混乱から2年を迎えた。与野党による連立政権は樹立されたものの、各党の確執は依然として続いており、政権は安定していない。欧米の制裁が解除される見通しもなく、約200万人が食糧援助を必要とする経済的苦境は続いている。(毎日新聞)』と書いてあるのを読み、なんか行ったこともないのに身近に感じてしまった。

知りたい国のこともエピソードが短いので、淡々と読める冒険エッセイかな?

雨 15℃