「誇」-URAWA REDS-
共に…
 



仕事を片付け一路、味スタへ。
キックオフ1時間前、いつもより多い観衆。
「いよいよ」感が漂うスタジアム。
“そんなにテンパるなよな”
今まで、余計な力が入るとロクなことがなかった。
“いつも通りやろうよ”
周囲のボルテージが上がるほど、僕は冷静になっていく。

GK山岸
DF内舘・闘莉王・ネネ
MF平川・啓太・長谷部・アレックス・暢久・ポンテ
FWワシントン
リザーブ都築・細貝・相馬・伸二・永井・達也・岡野
前節と全く同じメンバー。
“勝ってるから弄らない、ギドらしいよね”

東京の右が活発に動く。
“18番?石川直宏だ・・・”
固いディフェンスとサイド攻撃に、全くリズムが掴めない浦和。
“アレ、下がりすぎじゃない?”
暢久、ロビーからシトンへ。
もう1枚がいない。
“ちょっと薄いなぁ”
浮き足立つように、テンポアップするコール。
“みんな、落ち着けよ”
跳ねていても合わなくなるリズム。
“何なんだ?慌てるなって”
逸る気持ちが焦りに変わらないように、
焦る気持ちが選手に伝わらないように、
そればかりが気になりだす。
“硬くなってるよね、ウチの選手”
慎重に、確実にボールを繋ぐ。
ウチらしい速さが消えている。

10分過ぎ、PA内でギシが相手選手と交錯。
“アフターだろ、今の!”
起き上がれない山岸。
頭にテーピングを施しピッチに戻る。
“出血してたのか!?”
“ギシ、しっかり!”
強い当たりに選手が倒れていく。
チャージを受けた平川が転倒、ノーファール。
“止めろよ、審判!”
主審は扇谷氏。

“厳しいな、やっぱり”
セットプレーから訪れる好機も思うようにならない。
激しさを増す相手のマーク。
中央付近で選手が傷んでいる。
“・・・、またヒラがやられてる・・・”
楔のボールが入らない苦しい展開。
“シトンに渡らないな、なかなか”
今野のミドル、ルーカスのシュート。
主導権を握った東京の波状攻撃。
“ギシッ!”
守護神がゴールを死守する。
“ロスタイムは2分、か・・・”
啓太の低い弾道は惜しくも枠の外。

前半終了、0-0。

今度は左から攻めてくる東京。
内舘が必死に守る。
“厳しいな・・・”
鋭い攻撃に翻弄される浦和。
“何とか、しなきゃ”
今日、決めたい。
早く、楽になりたい。
“このノド、このアシ、くれてやる”
周りの動向なんて、気にならなくなっていた。
“勝ちたい、勝って決めたい”
暢久が左から突破、GKを交わす。
“ノブヒサっ、決めろ!”
“こんなチャンス、もう来ないかも知れないのに・・・”
右から平川のクロス、シトンに合わず。
中央からロビーへ、これもダメ。
長谷部のシュートはGKキャッチ。
“動き、まだ固いよね”
いつものウチらしくない時間がここまで続いている。
“俺たちも、落ち着かなきゃ”

70分暢久out伸二in。
“暢久交代かぁ”
“伸二入れるならもっと早く入れてくれればいいのに”
“伸二、(流れを)変えてくれ!”
少しずつ少しずつ、リズムが生まれる浦和。
“ルーズボール、拾えてる”
“これなら、何とかなるよ”
80分、執拗に付き纏われた今野に警告。
“いいぞ、その調子だ”
闘莉王が前線に上がる。
“今だ、今が勝負どころだ”
84分アレックスout相馬in。
“・・・?達也じゃないんだ”
“ガンバ、負けてるのか!?”
引いてカウンター狙い、攻め込まれるとクリアで逃げる。
“このまま行けばOK、ってこと!?”
いつもより高く、強く跳ねながら横目でベンチの動きを追う。
“どうなの?どっちなの!?”

「勝って決めたい」
そんな贅沢な気持ちは消えていた。
サンドバックのようにされる山岸。
“負けだけは勘弁だ、堪えてくれギシ”
ロスタイム3分。
“お預けなのか? どうなってるんだ?”
セーフィティなプレーに終始する浦和イレブン。
“引き分けでもいいってこと!?”
“勝ちたいよ、本当はさ”

挨拶に来る選手たち。
ベンチから姿を消す控え選手たち。
“持ち越しだったんだ、よね!?”
親切に他会場の結果を知られるアナウンス。
“そっか、そうなんだ・・・”
足腰に疲れが襲う。
“そっか、そうか・・・”

もう一度、あと一度頑張らなきゃ。
最後まで、戦うんだ。
浦和らしく、最後まで。 



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