「誇」-URAWA REDS-
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千島徹。
ヤツが来る。
ヤツが試合に出るかも知れない。
仕事を切り上げ国立へ。
外苑前から秩父宮へ続く道は、球場へと向かう人々が列を成している。
“そっか、野球あるんだ”
僕には野球の試合より、名も知られぬJ2の試合の方が大切。
日本青年館あたりからめっきり人通りもなくなる。
いつもの千駄ヶ谷門も、僕らの「いつも」ではなく、ひっそりとしている。

アウェイ側に進入防止用の柵を作る「元王者」の運営。
この日の観衆は4,733人。
“いらないんじゃね、こんなの”
堕ちた緑色にも容赦ない言葉を浴びせる。
“だって、嫌いなものは嫌いなんだもん”

日曜日の夜、アウェイ。
四国からどれだけの人が「参戦」しているのだろう?
“ウチもこんな時代もあったよなぁ”
J2を観戦すると必ず思い出す、2000年の記憶。
“どんなコール、やるのかな?”
愛媛のスタイルに興味津々な僕。

少ない蜜柑色に散見する「赤」。
“レプリカ着るのは失礼じゃないのかなぁ”
もし逆の立場だったら、僕は嫌だな。
ところが、スタメンでもない千島のコールで応える愛媛サポーター。
“えっ、それでいいの?”
不可思議な歓迎モードにたじろぐ僕。

2分、6分、7分、20分、30分。
1-4、愛媛3点リード。
“面影ないな、ヴェルディ”
“平本以外知らないよね”
“ラモスが一番目立つってどうなの?”
早くも飽きてくる。
当事者じゃないと、つまらないものなんだね。
それはもしかして、座って観てたから??

“今日は出番ないかな・・・”
眠気まで僕を襲い始めた57分、32番が呼ばれている。
“トオル、トオルだ”
赤くない千島徹がピッチに姿を現している。
“早く、ボールを切ってくれ”

ポジションは右MFか。
速く力強いパスとトリッキーなドリブル。
その姿はまさに「千島徹」そのものだった。
“周りが応えきれてないのかなぁ”
ワンツーも壁パスも意図した通りに運ばない。
“トオル、頑張れよ!”
遠く離れた地でサッカーを続けるトオル。
“いいアピールしろよ、レギュラー獲れよな”
32番以外何も見えない。
例え「消えて」いても、だ。

勝利後の挨拶。
蜜柑色の千島が来る。
“トオル、頑張れよ!”
次に会えるのはいつの日だろうか。
少し薄暗い国立の照明を背に、
俺たちの千島徹が、小さくなっていった。


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だ、誰・・・?

ロナウジーニョ、ジダン、ヒデ・・・。
前の二人はいったい???

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