アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

ヤクザが読んだ「エンデの遺言」…

2012年06月09日 | Weblog
 私は堅気ですから、ヤクザとはおつきあいがないのですが…
 4本(左右の指)もエンコヅメしたヤクザと話をしたことがありました。不気味でした。エンコは、「縁故」とは何の関係もない。ヤクザの社会で使われている隠語で、「指」のこと。
 エンコヅメとは、自分の指を切断すること。その指を、親分やら相手方やらへ差し出す…(謝罪または服従の証として)。エンコヅメは、肉体的苦痛を強制するリンチです。ヤクザ社会の蛮行ですね。

 ヤクザについて知人が、「恐ろしかった」と述懐した話として…
 「遅刻しやがったなぁ!オレは、寿命を使ってオマエを待っていたんだ。オマエはオレの寿命を無駄にした。オマエの寿命もオレが無駄遣いしてやる」と、凄まれたという。
 「ぶっ殺す」と、いうことなのですが、「寿命を無駄に使われたから」というもっともらしい理由がついているわけで…殺すことが正当化されている。ヤクザどもはディベート力を鍛えているんじゃないか?

 時間を寿命に変換する…これって…ミヒャエル・エンデの「モモ」に似てませんか?
 ローマと思われる街に、「時間貯蓄銀行」と称する男たちが現れた。彼らは、人々から時間を盗んでいった。時間を盗まれた人々から、心の余裕がなくなっていった。そこへ登場したのが、モモという名前の女の子。モモは、貧しかったが、友人の話に耳を傾け、その人自身をとりもどさせてくれる不思議な力を持っていた。モモが、冒険のなかで奪われた時間を取り戻す…。
 星新一の作品かって?だから、ミヒャエル・エンデだって!同盟国ドイツの作家ですよ。

 モモが人々に読まれた頃、モモのテーマは、「余裕を忘れた現代人への警鐘」と捉えられておりました。
 しかし、「エンデの遺言(←著書のタイトル)」によりますと、モモのテーマは…
 「時間」を「お金」に変換し、利子が利子を生む現代の経済システムに疑問を抱かせることだった…。

 そうだったのかぁ!ヤクザは、「エンデの遺言」を読んで、ディベートの腕をみがいていたんだあ!