おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「長屋の富」  立川談四楼

2011年06月10日 | た行の作家

「長屋の富」 立川談四楼著 筑摩書房 2011/6/9読了 

 

 美しい日本語の響きに酔いしれた。

 「よっ! 名調子!」と声を掛けたくなるような気持ち良いリズムが活字から聞こえてくる。

 

 長屋噺を下敷きにした、町人時代小説。

 

貧乏長屋で暮らす次郎兵衛は博打で儲けた金で富くじを1枚買う。 博打のあぶく銭はすっかり使い果たし、再び、借金漬けの極貧生活に逆戻りしたところで、すっかり忘れていた富くじの一番札が当たり、1000両を手にすることになる。

 

 今でいう「年末ジャンボの1等が当たっちゃった♪」という設定だ。お気楽次郎兵衛は、周囲の心配をよそに、1000両を当てたことを町内で触れ回り、長屋の住人たちには大盤振る舞い。鉄火場に入り浸り、散々貧乏して苦労もしてきたくせに、次郎兵衛は世間しらず。まんまと騙されてどんどんたかられていく。お金をめぐる人間悲喜劇は、今の時代にもそのまま通じることだろうなぁ。人間はかくもユウワクに弱く、そして、人間はかくも誰かを喜ばせたくて仕方のない存在である―という談四楼師の温かな思いがストーリー全体に行き渡っている。

 

 それにしても、国権の最高機関では、毎日のように聞くに堪えない美しくない日本語(内容も含めて!)が飛び交っている。永田町の戯言は国民の心には響かず、むしろ、政治から心が離れるばかり。政治家の皆さんもたまには談四楼先生の本を読んで、心にすっと沁み込んでいくような日本語をお勉強して下さい!

 

 今日の教訓! 私は、もしもBIG6億円当たっても、動揺せず、誰にも言わず、平静を保ちたい。

 



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