「心星ひとつ」 高田郁著 2011/09/29 読了
「料理こそが仕合わせの道」と心に決めた上方出身の女料理人・澪の江戸での奮闘ぶりを描いた「みをつくし料理帖シリーズ」最新刊。このシリーズ、三歩進んで二歩下がるどころか、三歩進んで三歩下がってしまうぐらいの遅々とした展開で「最近、なんかマンネリ化しているかも」と思っていたのですが、久々に物語に動きアリ。主人公の澪が決断を迫られる出来事がいくつかあって、「それで、それで、どうなっちゃうの???」というページをめくる楽しみがありました。
とはいえ、予想通り、それぞれの決断の場面では、読者が「澪なら、こうするハズだ」「きっと、それが澪の生き方なんだ」と思う通りの選択を澪はするわけです。そして真っ正直で、料理一筋の澪が、いかにも澪らしい決断をすることにホッとする半面、なんでそんな不器用なの? もうちょっと自分がトクするように、もっと自分の幸せを優先させてもいいじゃない…と、もどかしい思いになる。
タイトルの「心星ひとつ」の心星とは北極星のこと。澪がただひたすらに自分の信じる道を行くということを暗示している。10年前の私なら澪の心意気に拍手を送るけれど、でも、今は頑張り過ぎる澪がちょっと切ない。
ストーリーの中に出てきた「大根の油焼き」、お手軽なのに美味しそう。マネして作ってみたくなる一品。