おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「精霊の守り人」 上橋菜穂子 

2009年09月07日 | あ行の作家
「精霊の守り人」 上橋菜穂子著 新潮社文庫 (09/09/05読了)

 スタジオジブリのアニメーションは世界に通用するファンタジーだと思う。上橋菜穂子は、活字の世界で世界に通用するファンタジーの書き手だと思う。ミヒャエル・エンデの「ネバー・エンディング・ストーリー」のような壮大さと、生きるとは何か、運命と向き合う勇気を持つとはどういうことなのか-を考えさせる深さがありました。
 
 帝の第二皇子・チャグムは、知らぬ間に精霊の卵を身体に宿してしまい、それが原因で、父親からたびたび命を狙われる。チャグムの命を救い、追っ手から逃れる旅に誘うのが女用心棒のバルサ。

 チャグムの成長譚であり、職業的闘士であるバルサが再び人間らしさを取り戻す物語でもありました。

普通、ヒーローと言えば若い男。そうでない場合でも、ナウシカのような強いけれど、強いだけではない、若く美しい女。この物語の真骨頂は、薄汚れた身なりで、肌はボロボロの、30歳過ぎの疲れたオバサンを主人公としたことだと思います。

あえて日本ではないどこでもない国を舞台とするために、国の名前、人の名前を初めとして耳慣れない響きのカタカナがたくさん出てくるのが、ちょっと、キツかった。



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