ことしも1月17日がやってきました。阪神淡路大震災の朝のことを今でもわすれることができません。何がおきているのかわからない不安感で、おろおろしていたときの電話第一報は仙台からのものでした。放送局に勤めている親戚が知らせてくれたのです。
災害は忘れた頃にやってくる、という言葉があるけれど、さらに大きな震災が去年やってきました。忘れないうちにやってきたのです。
この2つの震災に遭遇したものの責任として、私たちはしっかりと次の世代へ語り継がなければならない。
さらに1・17も、3・11も決して忘れないでいることを当事者の方々に伝えなければならないと思っています。
そのために何ができるかを考えている方も多いでしょう。
私たちは1月17日に照準を合わせて映画会を企画しました。
「エクレール お菓子放浪記」という映画会です。
このお話は戦後の混乱期の話で、震災に直接関係のある話ではありません。しかし、時代を隔てて、大切なものは何かということを語りかけてくれます。
それがおなかを満たすだけではない、「エクレール』に象徴されるような夢や憧れであったり、私たちが無意識に心に織り込んである「風景」だったりします。
今回の震災で故郷の風景をなくしてしまった喪失感は、おそらく1月17日の震災にもあったであろうと思います。関西へ今も帰りたいと願っている人たちの報道をよむにつけ、これからの東北の復興への道のりの長さを思わずにはいられません。
しかし私たちは現地の人々と心を同じにすることはできません。だったらせめて、遠くからでも、忘れていないよ、というメッセージを形にして送り続けることだと思っています。
1月17日、一日中、4回の上映会を行います。どうぞおひとりでも多くの方が、映画を見て心を重ねていただきますようよろしくお願いいたします。