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もんく [マレーシアで働いて13年→2022猫を連れて日本]

徹底的に歩かないマレーシア人

工場からほんの数十mのところにマレー食堂がある。

ほとんど毎日そこで食べるのは、近いから。近いも近い、うちの猫たちの散歩コースと同じ程度の近さ。往復するのに10分もかからない。食堂に行くには工場の門を出て左に歩く。お昼の時間は太陽が真上にあってちょっと暑い。でも距離が短いから苦になると言うこともない。

ここに最近よくインドネシア人のユンボ(パワーショベル)の作業員が来るようになった。去年火事になった隣の工場の再建工事をやっている関係で今雇われて来ている。その人がやはり同じ時間にお昼を食べに来るのだけれど、いつもそのユンボに乗ってくる。ユンボだからノロノロ走る。ノロノロ走って、食堂の駐車場に入って、右側の空いたところに停めて、ユンボの高い運転台から下りてきて10mほど歩いて食堂の屋根の下に入る。帰りはその反対だ。

見ていると、歩いた方がよほど短時間に済みそうだ。彼の現在の職場は自分の工場の、食堂側にあるので自分が歩く距離よりそのユンボが走る距離はさらに30m以上短い。単純に彼は歩かないと脳みそのどこかで決めているのだと思う。


ずっと以前、インドネシアにいた時、やはり同じような光景があった。

その頃は車を持っている人はそれほど多くなかったけれど、多くの人が借金して(ローンで)カブを買っていた。今でもマレーシアで売っているホンダのEX5と言うモデルだった。彼らは家から出てほんの20mほどしか離れていない屋台やお店に行くにもカブに乗って出かけていた。

ジーンズを履いて、ヘルメットはかぶっていない。胸のポケットには男なら必ずタバコの箱が入っていた。近所の友達の家に行くにも必ずカブに乗って出かけた。遠くじゃなくて隣とかそのまた隣位でもそうだった。つまり、徹底的に歩かないのだった。


それと同じ事が、やっぱりマレーシアにもある。さて前記の食堂にはうちの工場の人間の10人とか20人ほども食べに行く。工場の労働者は1回のご飯にRM5(150円位)ほど出すのは高いので、それ以上のレベルの人が食べに行く。テクニシャンとか、リーダークラスやスタッフもいる。

バスで送迎されていて工場に車が無い人は歩くしかないにしても、車やカブがある人は100%それに乗ってそこまで行っていて、歩かない。工場の中を端から端まで歩くのとそう変らない距離だけれど、絶対に歩かない。その徹底振りには驚く。

もちろんこっちが勝手に驚いているだけで、彼らはそれを普通と思っている。


これは大げさに言っているんじゃなくて、たぶんほとんどのマレーシア人が普通と思っているんじゃないかな、と思う。街の造りが車で移動する事しか想定していないのはその証拠じゃないだろうか。

幹線道路とか高速道路からしか入れないお店があったり、びっくりするような山の中に平気で大きな住宅街を作ってしまったり、車道はきれいなのに歩道はガタガタで穴だらけ段差だらけだったり、歩道なんてあればまだ良い方で、隣町に行くのに高速道路でしか行かれないとか、そう言う状態なのだ。


そんな街に住んでいると、自分もあまり歩かなくなってくる。だって、歩くところがショッピングモールしか無いのだから。でも、できれば少しは歩きたい。せめて食堂に行く位は。なぜかと言うと、歩いているといろいろな事を思いつく。このブログのつまらない文章を毎日書けるのはこのちょっとの歩きがあるからなのだ。
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