<快癒祈願(2)>
「ええー、成田にいったことないのですかあ!」
正月明け、成田に初詣にいったという同僚に言われて、ちょっとへこんだ。
全国を旅しているのだが、いままで成田にはまったく縁がなかったのだ。
旅というには成田は近すぎるし、新勝寺以外にはこれという観光の目玉も聞かない。飛行機嫌いだから成田空港も使わない。
わざわざここまで参拝に来たのには訳がある。
飼い猫の具合がよろしくないのだ。
この四、五日というものまったく食べない。好物のハーゲンダッツもだめ。水も飲まない状態で、げっそり痩せてしまった。
医者いわく、「生きる気力をなくしている」・・・ひでぇこといいやがる、そんなことまでわかるのかよ。
でも、つっぷしてたまに眼があっても、いつもの生彩がぜんぜんない。
いわく「覚悟してください」・・・そこまで言うか。
たしかに歩いてもよろけているのをみるとかなり深刻な状況なのだ。
もうこうなれば神仏にすがるしかない。
ご利益がありそうな寺社はどこか。できれば行ったことがないほうがいい。そうだ、成田に行こう。臼杵の記事を書いたとき、不動明王は大日如来の化身だと知った。成田山の本尊は弘法大師自らが彫った不動明王像である。いかにもご利益がありそうだ。
成田には一度いってみたい呑み屋があったこと(不純な動機)もついでに思いだし、即決したのだ。
だから今回、初めての参詣となる。
総檜造りの山門(総門)をはいってまっすぐ進む。
手水舎で手と口を清めて、仁王門の急傾斜の石段をあがる。
階段をあがりきると正面に大本堂。
右手には三重塔があった。仁王門と同じく江戸時代の建築だ。
香炉の煙で身体を清める。
大本堂の階段をあがり、賽銭を放り込むと、猫の快癒を真剣に祈願した。ついでに、いいことがいっぱいありますように、とちゃっかり祈願する。
ミッションはこれでクリア、煙草が吸いたいし腹も減った。すこし冷えたので熱燗も呑みたい。
参道を駅方向にぶらぶら店を物色しながら戻る。
昼どきは禁煙の店が多そうだ。
道が二股に分かれた薬師堂前にある蕎麦の「ふじや」。
店を覗くとテーブルの上には灰皿らしきものがない。最近の蕎麦屋は煙草が吸えない店が多い。
「この店って、煙草吸えますかね」
店から岡持を持って出てきて、出前のオートバイに乗り込んだ店のひとに声をかけた。
「もちろん、だいじょうぶですよ」
この返事で決まり。
テーブル席に座り、まずは灰皿を注文。
メニューを見ると地酒の「長命泉」がある。快癒祈願にきたのであるから、なんとなく縁起がよさそうだ。
板わさと熱燗を一本頼む。あとで調べると長命泉の蔵元が経営しているそば店だという。
辛口で、わたしの好みの酒である。板わさも、丁寧に飾り切りが施されている。
酒を頼むと自動的に漬物がひと皿つくようで、さらに一本追加して、「カレー蕎麦」を注文し見計らって持ってきてくれと頼む。
粉からひいてつくるカレー蕎麦、カレーうどんが人気メニューなのだ。
うどんも蕎麦も自家製麺で、初代店主が上野の名店「蓮玉庵」で蕎麦を修行して、その技を当代に受け継がれているらしい。
なんとも、まろやかなカレー蕎麦で温まった。
そうだ、海(うみ=猫の名前)は甘いものが好きだから、途中にあった米屋の羊羹でも買って帰ろう。
後日談だが、飼い猫は、この翌日から徐々に持ち直しはじめいまも闘病(猫?)生活をおくっている。
無病息災とは言わない、「一病息災」で、できるだけ長生きしてほしい。
頑張れ、海。
→「成田山初参詣(1)」の記事はこちら
→「臼杵の石仏」の記事はこちら
「ええー、成田にいったことないのですかあ!」
正月明け、成田に初詣にいったという同僚に言われて、ちょっとへこんだ。
全国を旅しているのだが、いままで成田にはまったく縁がなかったのだ。
旅というには成田は近すぎるし、新勝寺以外にはこれという観光の目玉も聞かない。飛行機嫌いだから成田空港も使わない。
わざわざここまで参拝に来たのには訳がある。
飼い猫の具合がよろしくないのだ。
この四、五日というものまったく食べない。好物のハーゲンダッツもだめ。水も飲まない状態で、げっそり痩せてしまった。
医者いわく、「生きる気力をなくしている」・・・ひでぇこといいやがる、そんなことまでわかるのかよ。
でも、つっぷしてたまに眼があっても、いつもの生彩がぜんぜんない。
いわく「覚悟してください」・・・そこまで言うか。
たしかに歩いてもよろけているのをみるとかなり深刻な状況なのだ。
もうこうなれば神仏にすがるしかない。
ご利益がありそうな寺社はどこか。できれば行ったことがないほうがいい。そうだ、成田に行こう。臼杵の記事を書いたとき、不動明王は大日如来の化身だと知った。成田山の本尊は弘法大師自らが彫った不動明王像である。いかにもご利益がありそうだ。
成田には一度いってみたい呑み屋があったこと(不純な動機)もついでに思いだし、即決したのだ。
だから今回、初めての参詣となる。
総檜造りの山門(総門)をはいってまっすぐ進む。
手水舎で手と口を清めて、仁王門の急傾斜の石段をあがる。
階段をあがりきると正面に大本堂。
右手には三重塔があった。仁王門と同じく江戸時代の建築だ。
香炉の煙で身体を清める。
大本堂の階段をあがり、賽銭を放り込むと、猫の快癒を真剣に祈願した。ついでに、いいことがいっぱいありますように、とちゃっかり祈願する。
ミッションはこれでクリア、煙草が吸いたいし腹も減った。すこし冷えたので熱燗も呑みたい。
参道を駅方向にぶらぶら店を物色しながら戻る。
昼どきは禁煙の店が多そうだ。
道が二股に分かれた薬師堂前にある蕎麦の「ふじや」。
店を覗くとテーブルの上には灰皿らしきものがない。最近の蕎麦屋は煙草が吸えない店が多い。
「この店って、煙草吸えますかね」
店から岡持を持って出てきて、出前のオートバイに乗り込んだ店のひとに声をかけた。
「もちろん、だいじょうぶですよ」
この返事で決まり。
テーブル席に座り、まずは灰皿を注文。
メニューを見ると地酒の「長命泉」がある。快癒祈願にきたのであるから、なんとなく縁起がよさそうだ。
板わさと熱燗を一本頼む。あとで調べると長命泉の蔵元が経営しているそば店だという。
辛口で、わたしの好みの酒である。板わさも、丁寧に飾り切りが施されている。
酒を頼むと自動的に漬物がひと皿つくようで、さらに一本追加して、「カレー蕎麦」を注文し見計らって持ってきてくれと頼む。
粉からひいてつくるカレー蕎麦、カレーうどんが人気メニューなのだ。
うどんも蕎麦も自家製麺で、初代店主が上野の名店「蓮玉庵」で蕎麦を修行して、その技を当代に受け継がれているらしい。
なんとも、まろやかなカレー蕎麦で温まった。
そうだ、海(うみ=猫の名前)は甘いものが好きだから、途中にあった米屋の羊羹でも買って帰ろう。
後日談だが、飼い猫は、この翌日から徐々に持ち直しはじめいまも闘病(猫?)生活をおくっている。
無病息災とは言わない、「一病息災」で、できるだけ長生きしてほしい。
頑張れ、海。
→「成田山初参詣(1)」の記事はこちら
→「臼杵の石仏」の記事はこちら
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