温泉クンの旅日記

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奈良・桜井、長谷寺(4)

2023-12-03 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <奈良・桜井、長谷寺(4)>

 奈良県にかつてあった「榛原」と言う地名を「はいばら」と読み、現在でも駅名として残っている。この榛原の読みがなかなか覚えられない。しょうがない、「はいばら、はいばら、はいばら」と呪文のように唱えて脳に擦り込むしかないか。
 榛原の由来だが、かつて「榛の木(はんのき=カバノキ科の落葉樹)」がこの辺りに自生していたらしい。

 

 桜井市の「長谷寺駅」の隣駅である宇陀市の「榛原駅」に到着すると、計るように駅前で行儀よく待っていた送迎バスに吸い込まれるように乗りこんでしまい、あれよあれよという間に本日の宿「美榛苑(みはるえん)」に運ばれた。

 

 チェックイン手続きを済ませ、部屋の鍵をもらったとたん“ただの温泉バカ”の素に戻ってしまい、部屋に荷物を置き、電光石火で浴衣に着替えるとタオルを引っつかみいつもどおり大浴場に走った。

 駆け込んだ大浴場でちょっとした事件(?)があった。
「あ、(ヤバイ)すみません!」
 更衣室の入口で、出て来る女性と鉢合わせになり、慌てた。まずい、間違えたか。
「いえ、こちらがいけないのです。連れ合いが軽い『認知症』なものですから、更衣室まで付き添ったもので・・・」
 なんだ、そうか。ふぅ、良かった。
 浴場を覗くと、その先客である連れ合いサンは洗い場で洗髪の真っ最中である。浴槽には誰もいない。チャンスだ!

「ああ・・・極楽、ごくらく。なかなかの温泉じゃないか!」
 化粧水のようにしっとりした湯を腕に塗りこませながら、思わず呟いてしまう。

 

 浴槽に身を滑り込ませる前に、たっぷりの掛け湯を何杯も浴びたので、ある程度の予想はしていた。しっかり循環濾過している筈だが、濃いアルカリ分はたっぷり含まれていて「天然温泉 たまご肌美人の湯」を謳うだけのことはある湯である。
 古刹を続けて二ヶ所真摯に参拝した功徳、ご利益と受けとめてじっくりゆっくり堪能させてもらうとするか。源泉名を「美榛温泉」といい、泉質は「ナトリウム-炭酸水素塩泉」である。

 

 美榛苑は北海道ではよくあるタイプの、宿泊もできる公共の日帰り温泉施設だ。長谷寺からも近い。わたしは9千円ぽっきりの、安い朝食付き宿泊(B&B)に飛びついた。
 部屋は広い四人部屋の和室で文句なし。

 

 宿泊者特典というのがあって、ソフトドリンク飲み放題(時間制限あり)、ヤクルトとアイスキャンディとカップ麺が無料で受付にて配布してくれた。
 惜しむらくは、宿泊棟の外と玄関脇の二ヶ所以外は完全禁煙ということ。すべての部屋のドアにも「禁煙」の表示がこれみよがしに掲げてあった。
 しかも、わたしの左側の隣室にはたくさんの子ども連れ、右側の隣室は女子大生グループと、喫煙検知能力高めの軍団にガッチリ囲まれ、部屋でこっそりというのも憚られて、二ヶ所で凌ぐしかないとあきらめた。

 夕方六時ごろ、ドアがノックされ運ばれてきたミックスフライ弁当を受取った。
 夜の食事は榛原駅付近の居酒屋を予定していたのだが、長谷寺の往復でもう駅から坂道を登る気力が失せてしまった。配布されたカップ麺で凌ぐとしようかなと思っていたら、受付の女性が特製弁当も注文できるからゆっくり検討してみてくれと親切に勧めてくれ、三種類のうち一番安いヤツを選んだのだった。
 これが揚げたての熱々弁当で、思いのほか旨かった。あ、画像を撮ればよかったと思ったときには、もう半分くらい食べていたのだ。

 独り占めで使う朝風呂は、贅沢の極みだ。湯口から落ちる湯の音だけが浴場に響く。

 

 

 静かな宿のせいか、久しぶりにぐっすり安眠できた。夢もみずに朝を迎えたのは、この温泉が効いたのも絶対あると思う。
 さてと、7時になったら朝食を食べ、喫煙所で食後の一服をしたら、身支度して出発。榛原駅までテクテク歩くとするか。

 

 一時間に一本ある駅への送迎バスだが、朝の一番はチェックアウトタイムの10時なので、それまで待てない。今日は楽しい観光メインの一日なのだ。
 丘の上にあり路も下りだから、まあ25分くらいあれば楽勝で駅に着くだろう。



  →「奈良・桜井、長谷寺(1)」の記事はこちら
  →「奈良・桜井、長谷寺(2)」の記事はこちら
  →「奈良・桜井、長谷寺(3)」の記事はこちら



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