温泉クンの旅日記

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さくらんぼ東根温泉 山形・東根

2016-05-29 | 温泉エッセイ
  <さくらんぼ東根温泉>

 山形新幹線のさくらんぼ東根駅の北東に、二十軒ほどの宿の温泉街がある。



 温泉の開湯は明治四十三年(1910年)だから百年を超える。
 干ばつの対策で農業用水の井戸を掘ったときに発見されたそうだ。山形新幹線が開通したときに駅名が「さくらんぼ東根駅」となったのにあわせて、宣伝で用いる名称も「さくらんぼ東根温泉」の表記に変更したそうだ。



 温泉街に入ってすぐに右側に今夜の宿である「さくら湯」の看板をみつけ、慌ててウィンカーを出して宿の玄関の駐車場に車を滑りこませた。

「ここの温泉はとても熱いのでご注意してください。熱かったら水でうめてからお入りになってくださいね」



 部屋に案内してくれる途中、浴室の前で仲居さんがいった。続けて「あと、お上がりになるときは水道の栓は必ず締めてくださるようお願いします」と釘をさされる。



 さっきフロントで迎えてくれた女将からもまったく同じセリフを聞いたから、よほど熱いのだろう。東根温泉には前にも宿泊しているので熱いのはなんとなく覚えている。

 浴衣に着替えると、さっそくその熱い温泉を確かめにいった。
「むぅ・・・、これは本当に熱い!」



 足先にちょっと掛け湯して飛びあがる。先客がまったく居なかったのだろう。五十度以上はたっぷりありそうだ。外気で冷ませる露天があればいいのだが内湯だけなので如何ともしがたい。
 水道の栓を全開にして、何度も湯かき棒でかき混ぜる。
 やがて、水道あたりの湯温がなんとか入れるようになったので、ゆっくり身体を沈めていく。首まで沈めると、熱さが溜まった疲れを一気に絞りだしてくれるようだ。
 身体が慣れてきたので水道の栓を締める。



 琥珀色で滑らかな肌触りである。泉質はナトリウム塩化物泉で泉温は約六十度、とにかく身体が温まる温泉だ。

 部屋に戻り冷たい水をゴクゴク飲む。
「さくらんぼ狩りをしたいが、この時期ではまだ高いからなあ・・・」
 東根はさくらんぼの生産量が日本一である。あのさくらんぼの王様「佐藤錦」の発祥の地でもある。
 さくらんぼ狩りだが四月下旬くらいから温室さくらんぼが、最盛期の六月からは露地物さくらんぼが七月上旬まで楽しめる。
 ただ料金だが四月下旬から六月初めころまでが大人四千円と高いのだが、六月下旬から七月上旬までが千六百円とガクッとさがってお手ごろ料金になる。家族連れなら六月からが狙い目である。

 食事は気楽な食事処であった。
 ここは一泊二食で約一万円ポッキリの嬉しい良心的低料金、ゴールデンウィークなのに、である。温泉メインのわたしには文句なしの夕食だ。



 到着した日に三回、早朝に一回と温泉にいったがいつも熱湯風呂だった。つまり他の泊まり客といっさい逢わなかった。食事会場で他に泊まり客がいっぱいいるのは確認済みである。みんなあまりの熱湯で温泉をあきらめたのだろうか。

 朝食も、もちろん満足した。



 朝食後に食休みしてから最後の温泉にいったときだが、時間をかけて適温の状態にした直後に客がやってきやがった。くそっ、オレは露払いか。先に来てろよ。



「おはようございます。いまチョードいい温度になっていますから(まったくあんたはチョー運がいいね)」
 どうしてもひと言いわずにはいられなかった。

 待てよ。まさか毎回わたしが入ったあとのタイミングを、他の泊まり客連中が結託して見計らっていた、とかだったりして・・・。


  →「天童、東根で立ち寄り湯」の記事はこちら
  →「さくらんぼ狩り」の記事はこちら

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