温泉クンの旅日記

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南紀勝浦温泉、忘帰洞の宿(1)

2022-01-16 | 温泉エッセイ
  <南紀勝浦温泉、忘帰洞の宿(1)>

(とにかくでかいし天井も高い、これは・・・凄い温泉だ!)
 よく“聞きしに勝る“とか“百聞は一見に如かず”というが、本当に実感した。大洞窟風呂の迫力に思わず息を呑んでしまう。

 

 

 気がつけば、たちこめる硫黄の匂いと白濁する湯が溢れる浴槽の中にいた。いつものルーティンの掛け湯もすっかり忘れてしまうほど舞いあがっていたのだ。
 ひと目みた瞬間から感じていたのだが、この湯は二度訪れたことのある秋田・乳頭温泉郷「鶴の湯」の露天に似ていると思う。
 泉質とロケーションの違いはさておき、匂い、色合い、湯の肌触り、風呂の広さもそっくり。ただし、鶴の湯は下が風情ある砂利敷きで嬉しい反面、がっかりするほど意外と浅い。
 ふむぅ・・・たしかに、「帰るのを忘れさせるほど」と名付けられた名湯「忘帰洞(ぼうきどう)」である。来てよかったとつくづく思う。

 紀伊勝浦駅には、昼ちょっと過ぎに着いた。

 

 まずは腹ごしらえでもしようと、町中をぶらついてみた。見覚えのある店もあるのだが、入った記憶がない。歩いているうちに港に出てしまったので、ベンチで煙草に火を点けた。

 右手に見える、あの建物はなんだろう。煙草を消して携帯灰皿にいれると、荷物を担いで立ちあがる。
 ふーむ、「勝浦漁港にぎわい市場」とある。

 

 手ごろな飲食店もあるかもしれないと思い、中へ入ってみる。マグロの販売やマグロを食べられる飲食店、和歌山ラーメンなどがある。お得な千円のマグロ丼の店をみつけ、今日の昼メシはこれで手を打つことにした。

 

 

 しかし、タッチパネルで食券を購入する煩わしいシステムでこれがどうにもシチ面倒であった。ほどなく丼を受取り、建物内の席で食べる。テラス席もあるのだが残念ながら煙草は吸えないのである。

 

 このマグロ丼、なかなかの上モノであった。これで“千円札一枚”は貴重である。下戸なのに毎晩マグロを食べていた父親の血を引いているらしく、わたしもマグロにうるさいのだ。もう一杯いけそうだが、ぐっと押しとどめた。

 

 また先ほどのベンチに戻り、宿に電話をかけた。送迎の船が出る、三時ごろまで呑めて時間を潰せる手ごろな店がなかったからだ。できれば素面で忘帰洞に入りたい。でも、まだ二時間弱ある。
 すると、この時間帯には、港の左手方向にある「万清楼」という系列旅館の辺から送迎バスがあり、次はあと五分くらいだという。
 あわてて万清楼に駆けつけて送迎バスに乗り込み、「ホテル浦島」へ到着しチェックイン手続きをすると、部屋の用意ができるまで先に入浴はいかがでしょうか、とまことに温泉好きを泣いて喜ばせる運びとなったのである。渡りに舟とはこのことだ。(渡らずにマイクロバスだったけど)

 

 

 間口25メートル、奥行50メートル、そして高さ15メートルの海蝕洞。スケールの大きさに、いままで入った洞窟温泉の記憶のあれこれが吹き飛ぶよう消えてしまう。

 

 

 洞窟内には大きな浴槽が二つ、それに浴場入口の右手に小さめなのが一つ。洞窟出口の海側にもある。

 

 この忘帰洞だけでも相当気が狂いそうなのに、この宿にはまだ他にも洞窟風呂や内湯もあるというのだ。なんてこったい。
 ここは一番“正気”で回らねば。
 さてさて、忙しくなったわい。


   ― 続く ―


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2 コメント

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Unknown (花岡章夫)
2022-01-18 01:45:18
ホテル浦島は
平成3年頃から年に数回お世話になっていますが
2021年12月中旬頃に行った時に
温泉の匂いが少し焦げ臭く変わっているような気がして
何かの前兆?
少し気になりました
杞憂であることを (温泉クン)
2022-01-18 15:50:59
Unknown(花岡様)
コメントいただきありがとうございます。
なにしろわたしは初めてという新参者ですので、匂いの違いなどまったく気づきませんでした。

前に、こういうことを経験して記事に書いたことがあります。

「十和田湖畔のホテルで朝食を食べていたとき、岩手・宮城内陸地震、最大震度6強の地震が襲った。
予兆はあった。自然とはどこか不思議である。
その二日前に宮城の秋保温泉で見たこともない夕焼けをみて、次に岩手の網張温泉に泊まった翌日の朝、豊富な源泉の出が突然悪くなった。フロントのひとが言うにはこんなことは初めてだという。」

杞憂であることを願ってやみません。

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