温泉クンの旅日記

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読んだ本 2021年7月

2021-08-08 | 雑読録
  <読んだ本 2021年7月>

 東海道線の車中で緊急にトイレにいきたくなったが、あいにく設備のない車両編成だったのでやむを得ず「島田駅」で途中下車することにした。

 

 

 せっかくなので、次の電車を遅らせて、「地球上でもっとも緑茶を愛する街」と初めて知った「島田」で邪道であるがコーヒーでも飲むことにする。

 

 夏になれば町のあちこちの生垣などで見かけた朝顔も、最近では、そうそうお目にかかれない風物詩のひとつになってしまった。
 どこにでもあった喫煙できる喫茶店も、いつのまにかみつけるのが困難になってきたのが悲しい。
 ローカルな函館駅前でさえ探し廻り、「ここならだいじょうぶだろう」と入った店がなんと大都会なみに全面禁煙で、注文だけして外にまで吸いにいったことを苦々しく思いだす。
 駅からすぐの信号を渡ったとこにあった、昭和34年創業という老舗喫茶店「いなば」。

 

(こんな、駅から一番近い店はまずダメだろうな・・・)
 窓からそれとなく覗くと、各テーブルの上に灰皿がみえた。ラッキー!
 店の入口を入り、窓際の卓に坐る。テーブルの上の灰皿には、脱臭効果のあるコーヒーの抽出カスが敷き詰められている。これって、ひと頃流行ったようだが最近はあまり見かけないな。
 煙草に火を点けると、コーヒーと、ついでにトーストも注文した。

 

 なんか今日はついていそうだな・・・こんな些細なことでも“喫煙者”にはけっこう嬉しいものである。

 ところで“飲酒者”にとって、コロナ禍での最近の居酒屋はまったく災難というよりなく、酒の提供時間や営業時間の規制があったりしてとにかく最悪なのに、「終日酒類提供禁止」にいたっては烏滸(おこ)の沙汰である。このままでは、まさかの「禁酒法施行」なんてえのがまったくの冗談でなくなるぞ。

 さて、7月に読んだ本ですが、まあまあとはいえない5冊、年間累計で33冊です。

 1. ○三匹のおっさん     有川浩 講談社文庫
 2. ◎京都スタアホテル   柏井壽 小学館文庫
 3. △一所懸命       岩井三四二 講談社文庫
 4. ◎阪急電車       有川浩 幻冬舎文庫
 5. ○湖底の光芒       松本清張 光文社文庫

「京都スタアホテル」がけっこう面白かった。続編が出たらいいな。

 鴨川食堂店主で父の流と喧嘩した娘のこいしが、やけ食いとばかり、ホテル地下一階の鮨カウンター「綾錦」でひとり、酒を呑み、鮨を食べまくり〆の巻きもんまで辿りつく。

 大将、〆の巻きもんは真打(握り)のあとの前座ではないと言う。

  『「たしかに鮨屋にとって握りは、晴れ舞台の主役みたいなもんですけど、細巻きの鮨は脇役に見えて、
  実は主役より難しい演技をしとるんです」』


 

   ちょっとやってみましょうか。大将がまな板に巻き簾を広げる。
  『「巻き簾はつるつるしてる側を表にして、編み糸の結び目を上にします。下のほうに半切りの
  海苔を広げて底に合わせます。量の加減を手ではかりながらシャリを広げます。このときにどんな具を
  どれぐらい入れるかを頭に入れとかんなりません。シャリの量が決まったら、具を載せて、
  ワサビを指で塗ります。そして具が真ん中にくるように場所を考えながら、手早ぅ巻いていきます。
  強すぎても口当たりが悪いし、弱いと食べるときに巻きが解けます。巻き終わったら、巻き簾を
  はずして切るんですけど、このときが一番神経を使います。一本を半分に切って、それをまた三つに切る。
  盛り板にこうして立てたときに、六つの高さがビシッと揃うてんとあきません。そうしないと
  美しくないんですわ。どうです? 細巻きは手間も掛かるし、神経を使いますやろ。これに比べたら
  握りは楽、て言うたらまた叱られるかもしれませんけど、途中である程度の修正が利きます。
  細巻きは、どっか一か所でも間違うたら取り返しができしません。みっともないもんになってしまいます」』

          第二話「綾錦」のひとり鮨 より

 居酒屋でも鉄火巻きとかカッパ巻きがあるとこへ入ると、わたしはつい注文して同行者たちに眉をひそめられてしまう。そのときに食べたいものを食べて、呑む。それにこしたことはないのだとわたしは思うのだ。
 カッパ巻きもよくよく心して食べましょう。
 ・・・カレーの頭(あたま)や目玉焼き、ところてんだのと、まったく酒呑みの「外道」を一直線で突っ走るのォ。
 なんて思わないでほしい。外道は否定しないが、飽くなき探求心の持ち合わせはない。単に、そのとき一番食べたいもので呑むのが好きなだけだ。

   →「読んだ本 2021年5月と6月」の記事はこちら


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