今日11時55分より、布施駅前のラインシネマにて済州島4・3事件を扱った映画「チスル」を観てきました。
「チスル」とは済州島の方言で「ジャガイモ」のことです。「チスル」が何回も登場します。
全編に流れる済州島の方言はとても心地の良い物でした。幼いころ祖父とはいつも済州島の方言で会話をしておりましたから・・・
息ができないほど苦しい映画でした。残虐なシーンが絶えず出てくるわけではありませんが、場面場面が想像を掻き立てます。
なぜ殺されるのかわからず死んでいった人々、なぜ殺すのかわからず殺した者、両方の視点で描かれたこの映画は私の胸にずっしり重いものを突き付けたようです。
人間が描かれていました。死の直前まで家族を思う、自分よりも相手を思う無償の愛が描かれておりました。
なぜそんな良い人々が3万人も無差別に殺されなければならなかったのでしょう。
涙を流すことさえ憚れました。でも時間が経てばたつほどオ・ミョル監督が描きたかったことが心の奥底に迫ってきました。映画は記録するだけのものではないこと、しっかり教えてくれました。
是非ご覧になってください。勿論フイクションですが済州島出身の監督だからこそ描ける映画だとも思いました。
オ・ミョル監督のお名前は漢字で「五滅」と書きます。勿論ペンネームです。
岸野令子さんの解説によれば
「「五滅」とは 「それは中国宋代の朱新仲という学者が書いた五計の中の死計(死ぬに際しての心構え)にある言葉である。
すなわち
減財 (人生に未練があるような財は最少にする)
減怨 (恨みを解いておく)
減債 (物質的精神的負債を精算しておく)
減情 (様ような執着をなくす)
減亡 (死んだ後も人々の中に生きる)
というようなことである。」(岸野令子)
物足りなかったと仰っていた友人の皆さん、是非もう一度ご覧ください。息ができないほど苦しいけど、ちゃんと見て下さい。きっと何かが見えるはずです。
誰がこんなにも悲しい事件を引き起こしたのか、その元凶を見抜いてください。
18日(金)まで1日2回上映です。
藤井幸之助さんが1回目の上演後トークに出演されました。15分ぐらいの短いお話でしたが、感じることが似ていたのには驚きでした。
又いつかじっくりお話を聞きたいと思いました。
皆さん、布施駅前のラインシネマ3階です。是非お運びください。