昔むかし、毛野の国(現在の栃木県付近)に、毛野川という川が流れていました。普段は優しい川でありましたが、一度氾濫すると怒涛のように村を押し流してしまうことから、人々は鬼が怒る川と書いて、鬼怒川とも呼んでおりました。
この鬼怒川と村との間には小さな山(現在の若宮戸山)がありました。この山には十一面観音様が祭られておりましたので、人々は十一面山と呼んでおりました。
この山が自然の堤となって鬼怒川の氾濫から村を守っておりましたから、村人たちはこの十一面山を大切にし、普段から村人総出で掃除を行ったり、植林をしたりしておりました。
しかしある日、ソーラー業者と名乗る人物がこの村にやって来、十一面山を削り始めました。村人はこの山が大切な堤防であることを業者に訴えましたが、自分の土地だからこちらの勝手だ。あまりしつこく言うとこの村に住めなくなるぞ。と逆に脅すのでした。
村人たちはお役人に訴えましたが、お役人も現状の法律では対応ができないと村人の訴えが取下げられました。
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常総市議会会議録
常総市:平成26年5月定例会議(第2回会議)
◯都市建設部長(飯田昭典君) それでは、風野議員の御質問にお答えいたします。
鬼怒川左岸の若宮戸地区につきましては、堤防が築かれていない無堤部が約1キロメートルにわたり存在しておりますが、通称十一面山の丘陵部が自然の堤防の役目を果たしておりました。御指摘の若宮戸地先におきましては、ことし3月下旬に若宮戸地区の住民の方より丘陵部の一部が掘削されているとの通報があり、現地を直ちに確認し、鬼怒川を管理している国土交通省関東地方整備局下館河川事務所へ報告したところでございます。当該地区は民有地であったため、民間事業者の太陽光発電事業により丘陵部が延長約150メートル、高さ2メートル程度掘削されたものでありました。
◯道路課長(柴田 稔君) ちょっと今のところ、実際には全体を把握しておりませんが、常総市内においては若宮戸地区、先ほど申し上げましたように1キロ弱程度ですか、この地域が無堤地帯となっておりまして、一番危険な区域と判断しております。
◯道路課長(柴田 稔君) このような実態が発覚しまして、それが3月下旬だったんですが、それ以降は河川事務所、あと太陽光ソーラーの設置事業者、そちらと三者で今まで3回ほど接触をして交渉をしてまいりました。そういう中で、河川事務所のほうでは大型土のうをそこに設置するということで、太陽光の事業者のほうの御理解を得て借地するということでほぼ合意に達しているところでございます。(略)河川区域といいながら、あのところにつきましては、道路以外は全部民有地になってございます。ですから、河川事務所でも堤防を築くことになりましても、ほとんどが民有地ですから、その民有地の土地の所有者の方の協力を得られないと堤防をつくることができないというような状況ですので、今回は応急対策、間もなく台風のシーズンとかがこれから迫ってくるところでございますので、差し当たって応急対策として大型土のうを今ソーラー設置している事業者の土地、もとあった堤防上のところですか、あそこに設置させてもらうということで内諾を得ている状況でございます。
◯道路課長(柴田 稔君) 鬼怒川の国の計画としての水位なんですが、それは百年に一遍達っするであろう水位、それをもとに河川計画を立ててございます。現在までは、今回削り取られた丘陵部なんですが、そこで約百年に一遍に来るであろう高さ、それを食いとめていた状態なんですが、今回削り取られたことによってそれを下回りましたので、今回は百年に一遍の水位、その辺まで土のうを積むということで河川事務所は考えているようでございます。
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こうしてソーラー業者は十一面山を削り、形ばかりの土のうを積み上げ、パネルを設置しました。
「この山が氾濫を守るだと。馬鹿らしい。川が氾濫するわけないじゃないか。ははは。」
ソーラー業者はそう一人でほくそ笑んでおりました。しかしまもなく空からポツリポツリと降ってきた雨は、たちまちのうちに大雨となり、それが何日も何日も続きました。
この雨によって、鬼怒川の水かさはどんどん増え、業者が十一面山を削った若宮戸地先から越水が発生したと思うまもなく、溢れた水は村ごとパネルを流し去って行きました。
とっぴんぱらりのぷう。
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