先日ある業界の会合で初老の男性と話しをする機会がありました。彼はいろいろなベンチャー企業の面倒を見てきたと言います。私も小さなIT会社の経営者であることを知って、話しが盛り上がります。
彼曰く、とにかくベンチャー企業は生き残るのは大変だ。10社以上見てるけど、生き残るのはほんの1社か2社だ。
そうなのです。起業の成功率とはそのぐらいの確率であると統計でも言われています。うちの会社も何度も倒産の危機に直面していました。もちろん今だって全然安泰ではありません。
ただ以前と違ってわかったことは、会社の売り上げと自分の謙虚さは比例しているということでした。これは私にとって本当に大きな発見でありました。その私自身の発見からうちの会社は変わったと言えます。
もちろんこれはどの会社でも当てはまるという法則ではないでしょう。それぞれの企業にはそれぞれの課題がありますから。しかしうちのように小さな会社は「社長の魂の課題解決度合い」=「会社の売り上げ伸び度合い」という相関があるように思います。
その初老の男性は尋ねます。まるぞう会社はどのくらいの売り上げ成長を目指しているのですか?
もちろんベンチャーの代表であれば、自社のビジネスモデルはこうこうこうです。ですから弊社の売り上げはこのような成長を遂げます。こうなります。そのように理路整然とうとうとうと説明できるはずです。彼は私にその説明を期待したようです。そういうのが好きそうな方でしたから。しかし私はうむ〜。と黙りこくってしまいました。
会社の売り上げが伸びるというのは、その会社の内なる因子の成熟度合いの結果であります。負の因子を昇華すること。正の因子を積むこと。その結果が自然と売り上げを呼び寄せる如きです。
しかしもし「売り上げ至上主義」をとってしまうと、短期的に負の因子を増やして売り上げも増やす危険性があります。これはサラ金に借金して一瞬だけ景気が良くなるようなものです。
ですから重要なことは、まず、会社の代表が負の因子を昇華し正の因子を蓄積すること。その次に組織として全員の負の因子を昇華し正の因子を蓄積すること。これが企業活動となります。
社員とは同じ因子を持った人達が引き合って集まるわけですから、代表がその因子を掃除することが、まず重要であります。代表の個人的な因子の掃除で、その組織全体の因子の大部分が掃除できてしまったりすることでしょう。似たものの縁ある人達の集団ですから。
では私には、会社の売り上げを大きく伸ばすためには、どれだけ昇華しなければならない因子があるのか。ふうむ。私は相当業が深いので、まだまだであるようです。たとえばそれは海の真砂(まさご)のようにも思えます。
毎日毎日、私が昇華解決しなければならない因子は、順番に列を成してやってきます。それは「厄介な問題」「面倒くさい問題」というお面を付けて私の前に現れます。ですからそれが私の課題であることを知ることは簡単です。「厄介な問題」「面倒くさい問題」というお面は簡単に見分けられますから。
たぶんきっとおそらく、負の因子の昇華の継続作業は誰にとっても忍耐のいる地道な作業であることでしょう。やってもやっても一向に自分の生活が好転しないように感じられる期間がずっと続きますから。
しかしそれはある一定の昇華量を閾値(しきいち)として、自分の生活に変化をもたらすという事象であります。水を一滴一滴貯めて、ある日突然コップから水がこぼれだすような事象であります。
ありがとうございます。
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