さて、宿は取った。しばらく時間がある。何もしない時間をもて余す。ふっと寂しくなって来る。宿に来る途中の山道で、畑仕事の農夫から柿をもらった。甘柿のようだ。ポケットから1個を出してがぶりと噛みついてみる。
宿とりて寂しき宵や柿を食ふ 正岡子規
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子規ほどの文人なら、一人ではなかっただろうに。弟子衆に取り巻かれていただろうに。
子規は柿が好物だったらしい。柿を食ったら寂しくなくなるらしい。
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人間は人間を生きている。寂しい人間を生きている。なんとかしないと行けない。俳句を作って、それらしく取り繕ってみる。それでほどよいバランスがとれたような気分になってみる。
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