蜘蛛の巣をとめたまわりの直線の光る夏日の婦人はどちらへ 釈 応帰
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婦人がどちらかへ出掛けようとしている。パラソルの下の顔は見えない。おめかししてあるようだ。いざ出陣か。動の傍に静がある。庭の木々の中間に丸い蜘蛛の巣がある。真ん中に蜘蛛の陣十郎がいる。巣をぴたりと静止するために直線の糸が幾本か渡してある。上の句575までは序詞。きらきら光るこの夏の日に彼女はさてどちらへか趣こうとしてともかく意を決したようだ。叙景で叙情が成り立つのか。止めてあっても止められないのがこころだ。直線が彼女のこれからを仄めかす。婦人の夏の日のお出かけ。それだけではロマンにならないか。
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