死者たちは自慢をし合ったりはしない。

死者たちは自慢をし合ったりはしない。しないように思う。しないですむんじゃないかと思う。反対の自己卑下もしないように思う。しないですむのじゃないかと思う。

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あれはどちらとも慢心の慢なんだから。慢心の表と裏なんだから。

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死者たちは死後、肉体の自己を離れる。意識の自己だけになる。こころの自己意識だけになる。

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その自己意識の自己も消えてしまって、全体意識になる。宇宙意識の合一される。

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すると、なあんだ、になる。

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自慢なんかしなくてよかったんだ、になる。自己卑下に苦しむこともなかったんだ、になる。

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そこを通り越して来た、という感慨に耽る。超越を味わう。

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おれは美しい地球に生まれて此処で美しい人生を過ごすことが出来た、このよろこびだけになってしまう。自己称賛だけになってしまう。