<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

老齢をいとしむ。

2023年12月21日 09時57分09秒 | Weblog

することがない。雪が舞っている。

誰もわたしがここにいることに気付かない。一人で居るしかない。

ほうほうと揚がる薬缶の蒸気にようにして、瞬間瞬間に消えている。

齢だけはとどまらない。日一日老いて行くが、それを拒む手段はない。というのに、今日することもない。

春暁や今はよはひをいとほしみ

中村汀女(1900~1988)高浜虚子の門人。

眠い目をこすりこすり起きて来たら、春の光が窓際いっぱいに溢れていた。苦しみ悲しみばかりの一生を過ごした来たというのに、ほっかり今ここの時間と空間が明るくなっている。映画館の古い映画のように、瞬間ストップしている。

「案外、いい一生を送ってきたんじゃないか、自分は」などとも思えるようになって居る。老齢がそうさせているかもしれない。皺皺の手を擦ってみる。皺すらも愛しめるようになって居る。

俳人中村汀女は時間を肯定している。老齢を迎えているのに、それでほんのり杏の花のようにしている。わたしとは天地の開きだ。

 

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