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いもしない恋人が来る夜の蜘蛛

2020年12月27日 17時21分52秒 | Weblog

いもしない恋人が来る夜の蜘蛛    山鳩暮風

これは川柳。の、つもり。

わたしの言う「恋人」は、恋してもいい人。恋したい人。ぜひとも恋すべき人。

人は恋しているときには、こころがあたたかい。やわらかい。明るい。

でもそういう人は、いない。現実にはいない。

現実にいるのは蜘蛛。それも夜の部屋に忍び込む不気味な蜘蛛。

わたしでどうかしら? って顔をしてのそりのそり這って来る。

足下を見透かしたかな。

わたしはおかしくなって、ついには笑いが零れてしまう。

ないものねだりはするべきではない。そういう諦観に至り着く。

やれやれ一騒動。お粗末。

益にも害にもならない恋歌の歌謡曲でも歌って、恋する人がいる気分になって、だ、こころあたたまって、昼寝でもするか。

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