休憩所の日向に手袋干しならべ除染の人らしばし昼寝す 福島県 菊池イネ
お題「人」。歌会始の儀の入選作。起こって欲しくないことが起こってしまった福島。大震災と津波と東京電力原子力発電所の倒壊。チェルノブイリ事件の恐怖を上回った。核に汚染された大地と海。住民は閉め出されて無人になっている。ここに身の危険を冒して除染の作業に邁進している人たちがいる。脅威はまだ消えてはいない。日夜の作業で疲労困憊に達しているであろう。休憩所が一棟備えてある。そこにしばし昼寝をして疲れを癒している人たち。除染に使う手袋が無造作に日向に干されている。現代が抱え込んだ危機を救う代表者として献身される人たちをねぎらいたいが、埒外に身を置いた者としては言葉にならない。彼女はそれを歌にして歌った。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます