おはよう。
春の空へ声をかける。
空は、ぼくの恋人を買って出る。
ぼくたちはたがいに恋をする。
恋をするからうつくしいのか、
うつくしいから恋をするのか、
それはもうどうでもいい。
ぼくはともかく仰ぐ。首が痛くなってしまうほど仰ぐ。見つめる。
見つめられている空が嬉しそうな顔をする。
それを見届けてぼくは森へ歩き出す。椎の若葉の森がそよぐ。
あなたが何処へ行っても、わたしはあなたといっしょよ、と声がする。
声のする方は見ない。わざと見ない。
森の中の静かな湖まで歩く。するとそこに春の空がうっすらと顔を映す。
ぼくはやっと手を振る。帽子もとって帽子も振る。
小鳥が鳴いて鳴いて、ここへやってきたふたりを祝福する。
祝福をされている気分はいいものだから、ぼくはノートにクレヨン画を描き出す。水彩。
空の水彩。
水なんかは一滴も汲んでこなかったのに、描き出すものがどれもこれも空の水に溶けてしまう。
空にとけてしまう。うっすら空の水彩。
春の空へ声をかける。
空は、ぼくの恋人を買って出る。
ぼくたちはたがいに恋をする。
恋をするからうつくしいのか、
うつくしいから恋をするのか、
それはもうどうでもいい。
ぼくはともかく仰ぐ。首が痛くなってしまうほど仰ぐ。見つめる。
見つめられている空が嬉しそうな顔をする。
それを見届けてぼくは森へ歩き出す。椎の若葉の森がそよぐ。
あなたが何処へ行っても、わたしはあなたといっしょよ、と声がする。
声のする方は見ない。わざと見ない。
森の中の静かな湖まで歩く。するとそこに春の空がうっすらと顔を映す。
ぼくはやっと手を振る。帽子もとって帽子も振る。
小鳥が鳴いて鳴いて、ここへやってきたふたりを祝福する。
祝福をされている気分はいいものだから、ぼくはノートにクレヨン画を描き出す。水彩。
空の水彩。
水なんかは一滴も汲んでこなかったのに、描き出すものがどれもこれも空の水に溶けてしまう。
空にとけてしまう。うっすら空の水彩。