<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

祝福

2008年05月04日 06時33分01秒 | Weblog
おはよう。

春の空へ声をかける。

空は、ぼくの恋人を買って出る。

ぼくたちはたがいに恋をする。

恋をするからうつくしいのか、
うつくしいから恋をするのか、
それはもうどうでもいい。

ぼくはともかく仰ぐ。首が痛くなってしまうほど仰ぐ。見つめる。

見つめられている空が嬉しそうな顔をする。

それを見届けてぼくは森へ歩き出す。椎の若葉の森がそよぐ。

あなたが何処へ行っても、わたしはあなたといっしょよ、と声がする。

声のする方は見ない。わざと見ない。

森の中の静かな湖まで歩く。するとそこに春の空がうっすらと顔を映す。

ぼくはやっと手を振る。帽子もとって帽子も振る。

小鳥が鳴いて鳴いて、ここへやってきたふたりを祝福する。

祝福をされている気分はいいものだから、ぼくはノートにクレヨン画を描き出す。水彩。

空の水彩。

水なんかは一滴も汲んでこなかったのに、描き出すものがどれもこれも空の水に溶けてしまう。

空にとけてしまう。うっすら空の水彩。

コメント
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