浮きを見ている。それだけで半日が暮れた。クリークにときおり魚が水面に出てきて、「おまえの釣り針になんかかかってやるもんか、ばあかめ」と茶目っ気たっぷりのへら鮒が跳ねた。
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でも6匹も釣り上げたぞ。30cmの大きさのは手応えがあった。ビギナーズラックだった。釣り針につかまって指先に何度も怪我をした。浮きを見ている。それだけでいい。生きているなんていっても、ただそれだけでいいのではないか。そんな風にも思ってしまった。
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わずらわしいわずらわしい人生だ。そこをはずれる。空は秋だ。鱗雲だ。稲が実っている頃というのに、雲雀さえ鳴いている。おれはちっとも偉くない、偉くない。それでいい。いいではないか。太公望の釣り哲学が偲ばれる。
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でも6匹も釣り上げたぞ。30cmの大きさのは手応えがあった。ビギナーズラックだった。釣り針につかまって指先に何度も怪我をした。浮きを見ている。それだけでいい。生きているなんていっても、ただそれだけでいいのではないか。そんな風にも思ってしまった。
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わずらわしいわずらわしい人生だ。そこをはずれる。空は秋だ。鱗雲だ。稲が実っている頃というのに、雲雀さえ鳴いている。おれはちっとも偉くない、偉くない。それでいい。いいではないか。太公望の釣り哲学が偲ばれる。