僕に10月がやってきた。10月の方は僕にやってきたんじゃないよ、って言うかもしれないけど、まあ、いいじゃない、堅いこと言わなくとも、さ。僕に、そう、僕一人に10月がやってきてくれたんだ。と、思うことにする。僕でない人もそう思っていいんだから、邪念じゃないよね、こう思うのは。
十月がやってきた
十月が僕にやってきた
僕に
十月がやってきたから
僕は
その気になって
ホストをつとめなくちゃならない
十月の子分がぞろぞろついてきた
これもまた
鄭重にお迎えをするつもりだ
空の鰯雲
風の爽太郎
野原のコスモス
湿地の娘ツリフネソウ
僕は両手を挙げて
お迎えをする
十月がタラップを下りてくる
子分たちがそのあとを
ぞろぞろついてくる
みんなの手を取って
握手をして
そして僕らは抱き合う
これで親しさは一気に増す
「よく来てくれたね」
「待ってたさ」
「ほんとにやさしい目をしているね」
「長くいてくれるんだろう?」
「ゆっくりしていってね」
僕は声をかける
十月が笑っている
目尻を提げている
「きみに歓迎をしてもらって嬉しいよ」
十月がジャンプをする
これで僕は
彼がほんとうに嬉しいのだということがわかる
夜
十三夜(いざよい)の月がかかった
祇園山の山裾を上ってきて
しばらく山頂にとどまって
「九月とお別れしてきたことが哀しいんだ」
と言って彼女が同意をもとめてきた
「きみの気持ちはよおくわかるよ」
僕は大きく大きくうなずいた
十月がやってきた
十月が僕にやってきた
僕に
十月がやってきたから
僕は
その気になって
ホストをつとめなくちゃならない
十月の子分がぞろぞろついてきた
これもまた
鄭重にお迎えをするつもりだ
空の鰯雲
風の爽太郎
野原のコスモス
湿地の娘ツリフネソウ
僕は両手を挙げて
お迎えをする
十月がタラップを下りてくる
子分たちがそのあとを
ぞろぞろついてくる
みんなの手を取って
握手をして
そして僕らは抱き合う
これで親しさは一気に増す
「よく来てくれたね」
「待ってたさ」
「ほんとにやさしい目をしているね」
「長くいてくれるんだろう?」
「ゆっくりしていってね」
僕は声をかける
十月が笑っている
目尻を提げている
「きみに歓迎をしてもらって嬉しいよ」
十月がジャンプをする
これで僕は
彼がほんとうに嬉しいのだということがわかる
夜
十三夜(いざよい)の月がかかった
祇園山の山裾を上ってきて
しばらく山頂にとどまって
「九月とお別れしてきたことが哀しいんだ」
と言って彼女が同意をもとめてきた
「きみの気持ちはよおくわかるよ」
僕は大きく大きくうなずいた