長篠落武者日記

長篠の落武者となった城オタクによるブログです。

シンデレラ城

2012年11月11日 | 落城戦記
浦安にある鼠の国へ少し前に行ってきました。
一応、これでも父親をやっておりまして、身内の攻撃にはやはり弱く、やむを得ず行く羽目に。

夢と魔法の国との話ですが、アニメのキャラクターに馴染みが無い身としては興味が全くない場所。
そして中学校の修学旅行で行ったとき、あまりの激込みぶりと並んでばかりの印象が強く残っており、今まで妻が行きたがっても拒否をし続けていた場所です。

しかし、妻だけでなく娘も行きたい、と、言い出すと旗色が悪い。
妻が全て金を出す、とも言う。

やむなく行くことになりました。

子ども連れで行く場所は、比較的空いており、自分は息子の世話をしているので並ぶことも無く、妻娘がアトラクションに行っている間に園内をうろついているだけです。

歴史の本などを座って読んでいたのですが、体調不良だったこともあり飽きてきました。

その時、ふと、シンデレラ城が目に入る。
「城、か・・・。」と、思う。

城、と名乗る以上、それなりの装備があるのだろうか。
そんな疑問が沸く。
丁度読んでいた本が「村人の城」という本だったこともあるのかもしれません。

さて、シンデレラ城とはこんな城。


堀(池?)が敵の侵入を拒んでおり、そこを石橋で結んでいる。

おお!
ここから見ると立派な城じゃないか。

塔が乱立することで矢弾の攻撃バリエーションも増えるだろう。
しかし、建物は不整形に池から離れる方向に曲がっており、石橋に対して横矢をかける部分が存在しない。

これでは正面からの攻撃しかできないことになる。
しかも、池の反対側は陸地続き。若干防御面に不安を抱えているとみた。
このあたり、流石に夢と魔法でなんとかカバーできると考えたのか?

まぁ、この城は天守のような「権威の象徴」としての機能面の方が強いのであろう。
だから見栄えの方が重視されているのかもしれない。
安土城のように。

では、城へ入ろう。


お分かりいただけるだろうか。
私は写真中央の塔が両側に立ち並ぶ間を入ってきたことになる。
城正面に侵入する前に塔から激しい攻撃を受けることになるのだ!しかも両サイドから!つ、強い!
しかも、広場から城へ入るには、左右に分かれた半円状のスロープを使わねばならない!

こ、これは!!!

敵は侵入の際、分散を余儀無くされることになる。
そして、スロープはならだらかに上昇しており、高低差が敵に対する優位性を確保することになる。
また、上記の写真をさらにスロープ中央から撮影するとこうなる。


広場は左右と正面の三方に開いているが、4つの塔が睨みを利かせている。
そして、この広場を見下ろしたとき、私は気が付いた。

「こ、これは、馬出機能と同じではないかぁぁぁぁっ!!!」

正面に虎口を開けているのは感心しないが、城兵は一旦この広場で集結をし、そして三方から出撃することが可能になる。うう、これは、二重馬出機能なのか?!武田もびっくりの築城術だ。

また、城内へ侵入した敵兵は4つの塔=櫓と正面の城から攻撃を受けることになる。
そう、敵からすると枡形虎口に侵入したのと一緒の状況になる。
塔にいる城兵はきっと捨て殺しの兵なのであろう。
しかし、それゆえ、死兵となって荒れ狂い敵を苦しめることが想像される。

「お、おお。す、すごい。」
思わず唸る。

城そのものの防御機能はともかく、ちゃんと敵兵が侵入するであろう園の出入り口方面に向かっての防御は塔との連携により確保されている。

驚いた。

城の内部はこんな感じで

一気に城内に侵入できないようになっている。
水の確保が気になるところだが、池が近いので、城内のどこかの部屋を掘ればきっと水が湧き出てくるに違いない。井戸部屋があるのではないかと確信している。

さて、高低差の無い広場の反対側はと言うと、

店が立ち並んでいるだけとなっている。

若干弱いか。
そう、感じた。

いや、そうではない。
城の前に立ち並ぶ店が形成している城下町を見てすぐに考え直した。

この台地の先端に作られたのであろうこの城は、台地との接続部分については、店を並べることで、いざという時に城方の兵を込め、攻撃をさせることで敵を減殺したのであろう。

徳川幕府を憚り、砦を作れなかった豊臣大名達は、城の進軍経路に寺を集約し、寺を館並の防御力を備えさせることで、いざと言うときに城兵を寺にこめて敵を妨げることを想定している。
加賀前田家の金沢市にある寺町などが、その例。

江戸幕府のお膝元。
きっと幕府を憚って寺町ならぬ店街を構成することで敵の侵入を防ごうとしたのであろう。
たしかに、城に対してまっすぐではなく、若干斜めに道が付いているのは、そうした目的だったんだな。うん。きっとそうだろう。

やるじゃないか。


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