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ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

第9次支援活動<雄勝町・気仙沼>(その17…島田呉服店さん。。救世主です~)

2012-10-06 07:39:18 | 能楽の心と癒しプロジェクト
気仙沼での宿所が決まらず、ゲストの能楽師もいる以上野宿するわけにもいかず、最悪の場合は一関など近隣の町に投宿して、そこから気仙沼まで「通勤」して活動するはめになる事まで覚悟した。。現に14ヶ月前、ぬえが震災後にはじめて気仙沼を訪れた際も、民宿の1軒くらい見つかるだろう、と、災害の規模を軽視していたために、深夜近くに到着したのに宿が見つからず、はるか30km離れた登米市のラブホに1人で泊まった苦い思い出がよみがえりますが。。そんなことを考えていた時、これまた気仙沼の「うを座」の関係者がご自宅を提供してくださる提案をしてくださったのでした。

伺ったところ、たまたま東京の劇団「演劇倶楽部 座」の主宰者である壌晴彦さんが気仙沼で朗読のワークショップを開き、このとき ぬえたちの訪問のことが話題にあがったそうで、そこに参加していた呉服店の方が、それほど困っているならば、店舗部分でよければ宿所として提供しましょう、と言ってくださったのだそうです。ぬえたちプロジェクトの気仙沼での活動は、壌晴彦さんが定期的に気仙沼に通って「うを座」の子どもたちに指導をしていたところから、「うを座」さんのご協力を頂いて昨年末に開始することができましたが、今回も壌さんや「うを座」さんには窮地を救って頂くことになりました。

ぬえたちの宿所となった島田呉服店さんは、南町のすぐとなりの八日町にありました。上演会場までも徒歩で2~3分、と願ってもない好立地! まずはご挨拶に参上しましたが、ご主人は宝生流で謡の稽古をなさっておられるとのことで、そうしてこのお宅のお嬢さん。。今回受け入れのために ぬえと何度か電話でやりとりをした方ですが、お会いしてみて初めて ぬえの記憶がよみがえりました。このお嬢さんは昨年末に ぬえたちが「うを座」の子どもたち対象の能楽ワークショップを開いたときに参加しておられ、熱心に質問をした方でした。

お父さまの影響もあって能楽への関心をお持ちになり、ご自身も文化的な素養を豊かに持っておられるために、年末の能楽ワークショップにも参加されて ぬえたちとも知己になり、また今回の壌さんのワークショップにも参加されて ぬえたちの窮状を知ることになって、そうして宿所の提供を申し出てくださいました。こうして常に文化的なアンテナを張り巡らせている方があったために ぬえたちも窮地を脱することができたので、まことにありがたい事と思っております。

いま東京に帰ってからも、島田呉服店のお嬢さんとは いろいろとお電話でお話をしておりますが、直近の話題ではお父さまの宝生流の謡の先生も東京からの出稽古を復活させることが決まったそうです。ぬえが目指す「文化の復興」。同じ考えで能楽界の中でも着実に歩みを進めておられる方があるのは素晴らしい事と思います。