のすたる爺や

文明の果てなる地からのメッセージ

大志は一生

2009年10月16日 | 日記・エッセイ・コラム

 紀元前200年位前、万里の長城を作った秦の始皇帝が死ぬと中国各地に新しい国を作ろうという胎動が始まります。項羽と劉邦の時代の幕開けです。

 項羽の部下であったが、自分の価値を認められてくれないので後に劉邦につき、「その武勇においては韓信にはかなわない」と劉邦に言われた「またくぐりの韓信」と呼ばれる武人がいます。

 背中に佐々木小次郎もぶったまげるような長刀を背負い街を歩いていると、お定まりの町のチンピラに因縁を吹っかけられます。「お前さんずいぶん立派な刀を背負っているけど、使えるのかね。本当に使えるのならその長剣で俺を切ってみろ。できなければ俺の股をくぐれ。」

 武人韓信はそこまで言われて、黙っているわけ…と思いきや、あっさりとそのチンピラのまたの下をくぐって見物人たちのあざける中で「恥は一時 大志は一生」と臆せずに立ち去っていきます。

 天下を取ろうという大志があるのに、こんなところでくだらないチンピラと揉め事を起こし命を粗末にしたくない。と耐え忍ぶわけです。

 理不尽なアクシデントはつき物です。言いたいことは山ほどあるけれど、言わずに腹にしまっておくのも男の美学、それと言葉がわからないから。

 とは言え、いつの世もいろいろ気に触ることはあるのですが、いちいち腹を立てていたら胃に潰瘍ができます。耐えて何ぼの人生よ!

 またくぐりの韓信のごとく大志は一生と、つまらぬ言いがかりなどに振り回されないよう心がけてなければなりません。

 耐えつづけているうちに「ところで私の大志とは何だったのだろう?」とわけがわからなくなってきますが、ホント、どこにあるのだろう?

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