傍観者の独り言

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与謝野論文:財政健全化を焦点にすれば良かったのに・・・新党結成など政局音痴!

2010-03-12 06:14:18 | 新党・政界再編

与謝野薫議員が「文藝春秋」(2010.04)へ寄稿した『新党結成へ腹はくくった』(日本経済を救う「捨て石」になる)を購読しましたが、鳩山首相の「政治とカネ」問題や自民党の谷垣総裁批判より、鳩山政権の「六つ大罪」を焦点にし、財政健全化を最優先の課題(国益・救国)の論調にすれば良かったが、新党結成という政局絡みになり、与謝野議員の政治家としてのセンスの悪さを感じますね。

与謝野論文について、佐藤孝弘様がブログ『「新党結成へ腹はくくった」与謝野馨(「文藝春秋」2010年4月号)』でも、論評しております。
与謝野論文は序盤の鳩山首相の偽装脱税疑惑を追及し、中盤は鳩山政権の「六つ大罪」、終盤は谷垣執行部批判し、新党結成をも覚悟で結んでいます。

佐藤孝弘様は、与謝野議員が問題提起した「六つ大罪」で指摘している
.長期的な財政の展望を示していない
.「恒久財源」という意識が欠落している
.日本経済の成長戦略が欠如している
.菅副総理の政策対応なしの「デフレ宣言」
.マニフェストの不実行
.日米関係の急速な悪化
は、妥当な指摘で、是非、鳩山首相に説明を指摘してもらいたいと書いています。

そして、与謝野議員は谷垣執行部が変らないのであれば、「捨て石」になり新党結成を示唆し、「新党」の六つの基本政策として、
.消費税を含む税制抜本改革、社会保障改革、成長戦略を総合化した「復活五カ年プラン」を策定し、速やかに断行する。」
.超党派の政策プロフェッショナルを結集して、安心社会実現のための円卓会議を作る。
.社会保障分野とそれ以外の分野を区分経理し、安心強化と無駄撲滅を同時に実行する。
.財政責任法で債務残高のGDP比を「発散」させないための中長期計画を立てて、世界標準での財政再建を行う。
.保育や医療、介護等で新たな雇用を生み出すために、補助金・規制改革・人材育成の三位一体型の総合対策を行う。人材育成・雇用拡大を最重視して地方分権と交付税改革を同時に実施する。
.まずは日米同盟関係を正常化させ、さらに深化させる。同時に、アジアでは、経済面での連携を深め、「アジア共通市場」を実現する。
を、佐藤孝弘様は、これらは基本政策ではなく、単なる目標であり、手段で提起されておらず、絶句したと論評しています。

与謝野議員の論文は、自民党内部でも批判がでていると、読売新聞が『「与謝野論文」に自民内で批判相次ぐ』で、自民党の与謝野馨・元財務相が月刊誌の論文で谷垣総裁ら執行部の辞任を要求したことを受け、11日の自民党各派閥の会合で党内の結束を求める声が相次いだと報道していますね。

当方は、与謝野議員の論文を読み、与謝野議員の政治家としての資質の限界を垣間見した思いですね。
与謝野議員は、「70歳を越え、閣僚や党の役職も数多くこなしてきて、いまさら党利党略もない。本当のことを、勇気を持って語るのが政治家であるという信念をもっているからだ。」と所信を述べ、
”「私はいま、救国のために、党派の枠を越えて英知を結集すべきだ、という思いを強くしている。私の言う「救国」とは、煎じ詰めれば、日本経済を復活させ、国家財政を健全化する。そして、日本を国民が安心して生活できる国にする、ということだ」”
と私心が無い憂国の心情を語っています。

与謝野議員には、財政健全化が国の根幹という政治信念の持ち主という印象をもっており、当方も家計でも企業でも自治体でも国でも、財政健全化は根幹にあるべきという考えで、財務面からの牽制機能を重要視しています。
(マアー、現実は、経理・財務部門は邪魔に思え、営業の障害になると思いながら仕事していましたが)

与謝野議員は、政策通といわれ、政権与党で要職を歴任し、財政破綻の危機感を持ち、財政健全化が国益・救国になるという思いがあり、鳩山政権の「六つ大罪」を提起したのでしょうね。
当方も、鳩山政権の財政と政策のバランスには懸念を持っていますが、老化体質・自閉気質の硬直化社会には、「破壊と創造」しかなく政権交代を待望し、「公平な共生社会」を期待しました。
与謝野議員の指摘した「六つ大罪」は、鳩山政権の「六つ課題」になり、特に、財政健全化は安定社会のバックボーンですね。

この「六つ大罪」提起だけであれば、私心のない憂国の心情を開陳したとなったのでしょうが、野党の心得を過去に秘書でお世話になった中曽根元総理に野党の心構えとして、「自民党は戦う野党に脱皮して、政権を倒すしかないだろう」という教示があり、鳩山首相を「平成の脱税王」と糾弾し、自民党を鼓舞したとあり、私心のない憂国の心情は奇麗事のお題目であり、私心を開示したということですね。

与謝野議員は「救国」と奇麗事を言っているが、自身はオリエント貿易の迂回献金疑惑があり、鳩山首相を「平成の脱税王」と糾弾したが、ネタ元の鳩山邦夫議員は「平成の脱税兄弟」であり、心服している中曽根元総理はリクルート疑惑を保身工作しており、それ以上に、「救国」の言葉を言わざるを得ないほど「国家危機」にしたのは積年の自民党主導の政治の結果であり、政権与党の要職の就いた人間も責任を問われるべきで、与謝野議員も該当者です。

与謝野議員が指摘した「六つの大罪」は自民党政治の負の遺産への鳩山政権の「六つの課題」なのです。
与謝野議員は、「六つ大罪」と指摘するのであれば、自民党政治の「六つ結果責任」の総括をすべきでしょうね。
総括もせずに、私心が無いがごとく、新党結成をも示唆するのは、政治家としてのセンスのなさを感じますね。
与謝野議員では政権という最大のパワーゲームに、勝てないでしょうね。

与謝野議員は、論文の結語に、麻生政権下で「安心社会実現会議」を取り上げ、
”「そしていま、私は安心社会実現会議が目指したものを改めて示し、新たな旗の下で、与野党の心ある議員を結集したいと考えている」”
と結んでいます。

当方は、「安心社会実現会議」について、本ブログ『麻生首相の「安心社会の実現」は、自民党政治の反省の弁!』、『麻生首相の命名の「安心社会実現選挙」は、「不安社会」を醸成した責任回避・転嫁!』で、現在は「不安社会」ということで、「不安社会」を醸成したのは自民党政治の結果であり、「安心社会実現会議」は責任回避・転嫁に過ぎないと書きました。

与謝野議員が今頃「安心社会実現会議」を持ち出すのは、政治家として資質を疑いますね。
政策通なら政策面の「六つ大罪」だけを焦点にしとけば良かったに、下手に「新党結成」を言葉にするなど、政局音痴としか思えないですね。

新党結成は旗となる政策も必要であるが、「資金」も不可欠で、それ以上に、政財界に影響を与える強烈な政治力が必要であり、良くも悪くも政治力があるのは小沢一郎しか居ないのです。




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