佐和山城

2014年02月17日 | 滋賀百城

 




 

彦根市の北東、特別史跡彦根城跡から東に約2㎞離れ
た位置に台形を
なす佐和山がそびえる。佐和山の標高
は232.9 m、もともとは鈴
鹿山系と連続していた尾根
が沖積作用によって埋め残されたチャートを
中心とす
る層で構成されており、風化して層状に剥離しやすい
山。
江戸時代以前の佐和山の周辺景観を描いた絵図と
して、「彦根古図」
がある。中央に彦根城築城以前に
彦根寺が鎮座した彦根山を描き、
芹川が分流して琵琶
湖に直接注ぐ流れと北東の松原内湖に注ぐ流れが描

れている。彦根山の南西から北東にかけては「淵」や
「池」などの
描写が見られ、芹川によって三角州が形
成されて、湿地が広がっていた
様子が観察できる。こ
ういった周辺環境は、江戸時代に井伊家が彦根
に入封
し、大規模な城下町を建設する際に埋め立てられ、現
在の景観に
変化した。周辺の環境としてもう1つの特
徴は交通網の存在
。東山麓に東山道が南北に走り、西
山麓は松原内湖に面し、港が置
かれていた。このよう
に佐和山城は、陸上交通の上でも、湖上交通
の上でも
非常に重要な位置に存在していた。この佐和山の山頂
部分の
本丸を中心に佐和山城は築城され、発達してい
きた。

さて、佐和山城は古くから「佐和山を制するものは近
江を制する」などと言われてきた。「三
成に過ぎたる
城」と俗謡にも謡われ、佐和山城と言えば石田三成の
城というイメージが強いのだが、その城史は鎌倉時代
にまで遡ることができる。『近江本間覆』(おうみこ
まざらえ)には「佐々木氏十代定綱の六男佐保六郎時
綱元祖也」と記され、建久年間に佐保時綱が佐和山の
麓に屋敷を構えたことが始まりとされる。その後、近
江では江南の六角氏、江北の京極氏が対立抗争を繰り
返し、南北の境目となった佐和山城は常に争奪の的と
なった。江北では京極氏に代わり浅井氏が台頭してく
ると、時代は織田信長という寵児をもってこの佐和山
城を歴史の舞台に押し出してくる。浅井方磯野員昌は、
信長の回二里四方に砦を築き」という四方固めの佐和
山攻めに八ケ月という長期の篭城戦を展開した。結果
的に信長に降伏し、城を明け渡すことになるのだが、
信長をもってしても簡単には落ち
なかった城であること
をこの戦いが証明してくれる。



こうして、佐和山城を手中に収め、近江を制した信長
は、佐和山城を近江での最初の本拠地とし、安土城築
城に取り掛かる。『信長公記』に記されている多くの
佐和山城での伍長の日々は、この地がどれはどの要衝
あったかを語ってくれる。信長が本能寺で討たれ、
天下が
豊臣秀吉に移ると佐和山城も秀吉配下の城とな
る。そして、
この佐和山城が短期間でありながらも歴
史上に一番名前を
登場させることになる石田三成が城
主の時代を迎える。三成は城主になるとすぐにも「佐
和山惣構」の普請に取り掛かっている。関ケ原合戦後、
佐和山城に入部した井伊家の七代藩主・直惟の時代(
1714~1734)になってようやく行われた佐和山城とそ
周辺の聞き取り調査(『古城御山往昔咄聞集書』に
ると、「石田治郎少輔殿城郭天守普請」「本丸之上石
垣壱丈五尺其上二五重之天守」等の記載があり、三成

の時代の佐和山城は石垣造りで五重の天守があったこ
とを示唆している。それを裏付けるための遺構が近年
確認されている。昭和52年に発見されている本丸東隅
の二股の算木積みの石に対し、本丸南斜面に新たに石

垣が確認された。また、本丸付近で採取された桐紋の
鬼瓦の部分片は、天守に葺かれていたものと推察され、
佐和山城が石田三成という豊臣政権下筆頭奉行に値す
る城であることの物的証明にもなり得る。

出典:

   


【エピソード】 


 
 

 

【脚注およびリンク】
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  1. 佐和山城、Wikipedia
  2. 佐和山城遺跡地元説明会資料
  3. 佐和山城遺跡の発掘調査成果、滋賀県教育委員会 
  4. 佐和山城遺跡現地説明会フォトレポート - ひこね街
    の駅 武櫓倶
  5. 彦根市埋蔵文化財調査報告書第44集、2011.02.11
  6. 佐和山城跡など県内8遺跡 発掘調査報告書を刊行
    2012.12.28、滋賀報知新聞
  7. 佐和山城跡-その歴史と山に残されたもの、2012.
    10.23、滋賀県教育委員会
  8. 佐和山城の遺跡(湖東)、滋賀県、2010.01.14
  9. 佐和山城の遺跡(その2)滋賀県、2011.02.09

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