佐和山城

2015年06月12日 | 滋賀百城

 



朝日デジタル 2015.05.29

■ 佐和山城跡から侍屋敷遺構

彦根市教委は関ケ原の戦い(1600年)で敗れた戦
国武将、石田三成の居城だった佐和山城(彦根市佐和
山町)の大手口(正門)と伝えられる一角で16世紀
後半に内堀と土塁があったことを確認し、侍屋敷を区
画する溝が見つかったと発表した。5月30日に現地説
明会を開いた。

佐和山城は1590年から三成が城主を務め、関ケ原
の戦い後、井伊氏が彦根城を築いて廃城にした。大手
口は江戸時代末期の井伊家文書「佐和山城絵図」で城
の東側の東山道(中山道)に面して描かれており、内
堀に沿って「土居」(土塁)、山上の城との間のふも
とに「侍屋敷」があったと記述がある。現在も土塁や
内堀跡の水路が残っているが、考古学的な調査はされ
ていなかった。



市は2011年度から国の史跡指定を目指して城跡の
総合調査に取り組み、今回は3カ所で遺構の範囲を確
認する発掘を実施。内堀は幅約24メートル、深さ1・
7メートル以上と確認。土塁は下幅約11・2メート
ル、上幅約6・4メートルの台形で、内堀底からの高
さは4・5メートル以上とわかった(毎日新聞 2015
年05月31日)。
 

本丸を正面に望む中心地の谷に位置し、専門家は「三
の重臣級の屋敷跡ではないか」とみている。旧彦根
藩主・
井伊家伝来の佐和山城絵図には、本丸や大手口、
侍屋敷
内堀などの位置が示されている。しかし、廃城
から200年
以上後の江戸時代後期に描かれたもので、
城があった当
時の状況は、城下町を含めて不明な点が
多い。

教委は絵図を基に、昨年11月から侍屋敷、内堀、土
居(土塁)があったとされる本丸東730~780メー
トルで発掘調査を行い、それぞれ遺構を確認した。出
土した土器や陶磁器の破片から、遺構はいずれも16
世紀後半とみられ、三成が城主だった時期が含まれる。



侍屋敷跡では直交する2本の溝が見つかった。絵図に
はなく、東西方向の溝は幅1・2メートル。実際には
3~4メートル、深さは60センチ程度と推定され、
石積みで補強された箇所もあった。南北方向の溝は幅
60~80センチで、石組みが部分的に残っており、
橋台の可能性もあるという。屋敷地を区画するととも
に、谷からの湧水を排水するために掘られたとみてい
る。

 

このほか屋敷地では、礎石を据え付けた跡と掘っ立て
柱の
穴も複数見つかったが、建物の規模や築かれた時
期は不明という。

尾根を隔てた北側にある「奥ノ谷」では2009年、
県教委の調査で武家屋敷を囲む溝や堀が見つかってい
る。今回の屋敷地は、より広大な「殿町谷」にあり、
土塁の内側で、大手口と本丸を結ぶ直線上に位置する。

中井均・県立大教授(日本城郭史)は「一等地で、奥ノ谷の
屋敷地に比べて区画が大きく、三成の重臣クラスの武家屋
敷があったと考えられる」と話す。今回の発見について「武
家屋敷が一つの谷にとどまらず、タコ足状に街が造られて
いったことが明らかになった」と評価する。

内堀(幅24メートル、深さ1・7メートル)と土塁
(上幅6・4メ
ートル、下幅11・2メートル)は、
絵図通りの場所の一角か
ら見つかった。土塁は台形状
で、内堀を掘った際に出た土
砂で築いたとみられ、内
堀の底との高低差は4・5メートル
あった(読売新聞
2015.05.29)。

また、発掘担当の林昭男・文化財課主査は「大手口と
され
る付近の遺構をはじめて確認できた。中世の山城、
山麓の
屋敷跡、平野部の城下町の遺構の3点セットが
遺る歴史的価値のある地域であることを示していきた
い」と話している(産経新聞 2015.05.29)。

【エピソード】

 

 

戦国武将の石田三成を通じて街を盛り上げようと、彦根
の中心部にある「花しょうぶ通り商店街」に3月1日、
戦国街
角ミュージアム「治部少丸」が開館した。三成フ
ァンや歴史
愛好家の拠点になることを目指す。

同商店街振興組合が空き店舗を改装し、石田三成の官職「
治部少輔」から名付けた。館内には、三成を紹介する年
表のパネルや三成の居城だった佐和山城のジオラマなど
が展示されているほか、今後、歴史の本を集めたコーナ
ーも設置する(京都新聞 2015.03.02)。



彦根城の外堀の土塁見つかる 市内唯一(2015.05.20)

 

【脚注及びリンク】
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  1. 佐和山城、Wikipedia
  2. 佐和山城遺跡地元説明会資料
  3. 佐和山城遺跡の発掘調査成果、滋賀県教育委員会 
  4. 佐和山城遺跡現地説明会フォトレポート - ひこね街
    の駅 武櫓倶
  5. 彦根市埋蔵文化財調査報告書第44集、2011.02.11
  6. 佐和山城跡など県内8遺跡 発掘調査報告書を刊行
    2012.12.28、滋賀報知新聞
  7. 佐和山城跡-その歴史と山に残されたもの、2012.
    10.23、滋賀県教育委員会
  8. 佐和山城の遺跡(湖東)、滋賀県、2010.01.14
  9. 佐和山城の遺跡(その2)滋賀県、2011.02.09
  10. 佐和山城跡から侍屋敷遺構 「一等地」三成重臣
    居住か 読売新聞 2015.05.29
  11. 屋敷跡と内堀の遺構発見 彦根・佐和山城跡を
    調査 中日新聞 2015.05.29
  12. 三成ファンの拠点に 彦根に「治部少丸」が開館
    京都新聞 2015.03.02

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