城郭都市設計史 16

2016年01月23日 | 湖と城郭都市

 

肥田城の水攻めと野良田表合戦 Ⅱ

肥田城主高野瀬備中守は、永正年間(1550〇年代)
の初め
頃。愛知、犬上の土豪赤田、川瀬氏らと組んで、
守護六角高
頼に反抗がった。また永禄の初め頃(155
0年代)、備中守の
子息、備中守秀隆も、江北の雄、浅
井氏と組んで、またもや六
角氏に反抗。永禄二年(15
59)9月、守護六角承禎義賢、義
弼は、国中へ下知し
て肥田城に攻め寄せたが、赤田、川瀬、
高宮氏や浅井氏
の加勢もあり、落城しなかった。江戸時代
の「淡海小間
獲」に肥田城の水攻めが詳しく記載されている。



それによると 「屋形(六角氏)父子謀計ヲ回ラシ玉ヒ
テ・・・ 国中ノ人夫ヲ以、廻り五十八丁、横十三間二堤ヲ
築。
宇曽川愛知川ヲ始トシ、諸川ヨリ水ヲ仕懸、永禄三
歳四
月三日ヨリ当城ヲ水攻二シ玉ウ」
「五月二十八日浦川洪水シテ、件ノ堤ニカ所切レ崩レテ
漂タル水、悠二落失ケリ。依之
秀隆運ヲ開、天我ヲ擁護
シ玉ヒ、生土神犀龍ノ奇特実二難有次第ナリトテ、頻ニ
長政ノ後
詰ヲ催促ス」



肥田城は水没寸前に助かり、そこへ小谷城の浅井の援軍
が遣ってきて六角軍を退
かせた。水攻めに失敗した六角
義賢は、軍備を整え、再び永禄三年(1560)8月、
総勢二万
の兵を率い肥田城に迫る。急を知った浅井軍も、
一万一千余の兵が肥田城近く、宇
曽川を隔てて対陣。8
月中旬巳の刻(午前10時)、北車の先陣百々内蔵助が
手兵を率いて川を渡り南軍
に攻めかかる。南軍の先陣蒲
生賢秀も激しく応戦。百々内蔵助、先陣の名誉を汚すま
いと
奮迅も戦死。この合戦により南車の死傷者920、
北車も7百余の死傷者を出した。
この戦いを野良田夫の
合戦といい、戦勝者浅井氏は、戦国大名としての地位を
湖東で
も確立。肥田城は一か年に亘る戦闘に耐えぬいた。

※ 肥田城跡 彦根市肥田町523(肥田町公民館)

 

 

 平城 城は、戦略的な拠点であるよりも政治の中心
     と
しての色彩を濃くしてくる。そして、つい
     には領
主の権威を示す象徴としての性格をも
     帯びて
いった。

※ 守護、日本の鎌倉幕府・室町幕府が置いた武家の職
     制で、国単位で設置された軍事指揮官・行政
     官。 令外官である追捕使が守護の原型であっ
     て、後白河法皇が源頼朝に守護・地頭の設置
     と任免権を認めたため、幕府の職制に組み込
     まれる。 将軍により任命され、設立当時の主
     な任務は、在国の地頭の監督。

 

 

【ヘルダーリン:詩人としての出発を前に】

● 幼少時代
 
              底知れない優しみ

この幸福な幼児を第二ぼ心激震が直撃する。ニュルティン
ン町長として町政全般を立派にやり遂げていたゴックが、
17
78年11月にネッカー河が氾濫して洪水を惹き起こ
した際に
は、自ら現場に急行し水害救助に率先してあたっ
たその熱心
さがもとで高熱性胸部疾患に罹り、恢復の徴候
のないまま翌
79年2月に急死しする。この父も30歳の
若さだった。今度は
何も覚えていないというわけにはいか
ない。ヘルダーンは、む
しろ第一の父をも無意識の縁から
意識的に喚び戻しながら第
二の父との永訣を、今度こそ生
々しい皮膚感覚で感じ取った
であろう。肉親同様の父だっ
たればこそ、その喪失は少年に
後年「愛しい父」「愛し愛
された父」と歌われた父の不在を意識させつづけていくこ
とになる。

それでは母クリスティアーナはどうだったか? 三〇歳の、
ぞれもいく人もの子供をほとんど同
時に抱えたひとりの女
性を想像しただけでも相当程度そのひとの心のうちを思い
浮かべることがで
きよう。再婚生活が希望の持てるものだ
っただけに、せっかくつかみかけた家庭の幸福が夫の急死

で一挙に失われるという激変は、前夫の場合にも増して一
層深かったはずである。もう二度と再
婚しなかった母は、
これ以後は夫の遺した遺産を慎重に管理しながら息子に自
分の幸福の全てを託
し彼の成功を夢見るひとになっていく。
したがって母の期待の分だけヘルダーンは、その委託の

切の負担を父喪失の哀しみに付加する形で引き受けていか
ざるを得ない。九歳の子供に、こうし
て父と母からの二重
の内的負担が一挙に襲いかかることになったのである。つ
まりひとりの子供が
自分自身だけではなく、二人の父とひ
とりの母とを同時に背負いつづけることになったという詩
人宿命の問題が生じたことを覚えておこう。



母にしてみればこの子が、当時の公国の上・中流の特に父
のいない家庭こでは一般的な進学目標の、国費でまかなわ
れる初・上級の各僧院学校に入学し立派な成績で卒業した
あと、更にテュービングン大学神学校(神学部に同じ)で
神学を修めるという聖職者の最高の学暦コースを修了する
と、公国宗教局の命ずるところに従い、副牧師からやがて
正規の牧師となって平穏で安定した家庭生活を築いてくれ
ることこそ彼女の唯一の願いとなったのだ。そしてその子
は、大学を終えるまでは母の期待に応えはした。しかしそ
の後はどうだったか? 彼の人生の歩みを瞥しただけでも、
彼女の希望通りにはいかなかった。何故か? 我々はヘル
ダリーンが成長していく経過ををたどるなかで、詩人の背
反の根深い根が母の期待と反比例するようにすでにこの期
に芽生え独立した展開を開始していた事態を知るだろう。

ヘルダリーンは、底知れない天性とも言うべき優しみの感
情を持ち合わせていた。ニ度も寡婦となった父親代わりの
母の期待を裏切るまいと極限まで自身を維持し抜いたこの
感情が長く息づいていたことは、特に後年に書かれた母宛
の書簡が示している。それほどまでにこの感情が不断に働
いているのに母の期待には結局応えられなかった詩人を正
確に理解するためにも、まず根元感情としての彼の優しみ
に触れる必要があった。結果として母を裏切るほどの詩人
存在を産み出すための雄々しさを共在させる必然要件とし
ての。それは、この信じ難いほどの優しみをばねにして、
裏切りとしか言えない詩人存在へと自己を押し上げ押し拡
げていく彼の全事実なのだ。したがってこの感情は、彼の
詩人存在が深化を遂げれば遂げるほどいよいよ掌固で堅固
なものとなっていかざるを得ないような優しみと化し、や
がて狂気に陥っても優しみは遂に優しみのまま死の瞬間ま
で生きつづけたのであった。この受験期に、12歳から個
人教授(聖書が中心)を受け持った副牧師ナターナエール・
ケストリーン(1744~1826)は、深い学識と温か
い包容力でヘルダリーンに、特に敬虔主義をめぐる魂の領
域で忘れ難い印象を刻みつけたことを言い添えておこう。

 

【エピソード】         

             

 

【脚注及びリンク】
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  1. 中山道 高宮宿場町|彦根市
  2. 高宮町史 自費出版デジタル
  3. 歴史まちづくりの特性の見方・読み方 国土技術
    政策総合研究所 2013.04.11
  4. 「地域資源・交通拠点等のネットワーク化による
    国際観光振興方策に関する研究」国土技術政策総
    合研究所 プロジェクト研究報告 2008.05.21
  5. 「歴史まちづくりのてびき(案)」ISSN 1346-73
    28 2013.11.13
  6. 近江百人一首  滋賀県立近代美術館
  7. 近江百人一首 滋賀県文化振興事業団∥編集 滋賀
    県教育委員会 1993年 S-9100- 93 p.14
  8. 淡海万葉の世界 藤井五郎∥著 サンライズ出版
    2000年 S-9100- 00 p.233
  9. 萬葉の近江 滋賀アララギ会∥編 白川書院 1971年
    S-9100- 71 p.200
  10. 滋賀文化のススメ
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  12. ラウフェン・アム・ネッカー Wipipedia
  13. 彦根巡礼街道
  14. 朝鮮人街道 Wikipedia
  15. 彦根市の概況 - 学芸出版社
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  67. 彦根藩並近郷往古聞書
  68. 彦根古図部分(滋賀大学経済学部附属資料館所蔵)
  69. 井伊家年譜
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  71. 『新修彦根市史』の紹介 | 彦根市
  72. 彦根古図略図 彦根市
  73. 金亀山彦根寺の観音堂 ―近江西国第14番 金亀山
    北野寺とも
  74. 淡海文庫 44 「近江が生んだ知将 石田三成」 太田
    浩司 サンライズ出版
  75. 佐和山城 [5/5] 大手口跡は荒れ放題。現存する移築
    大手門は必見 | 城めぐりチャンネル
  76. 中井均 『近江佐和山城・彦根城』サンライズ出版2007
  77. 滋賀県彦根市 専宗寺 JAPAN-GEOGRAPHIC.TV
  78. 彦根御山絵図 彦根三根往古絵図など古絵図デジタル
    ・アーカイブ化に、彦根市立図書館  2012.05.27
     
  79. 稲村神社春季例大祭 太鼓登山
  80. 「近世初期有力農民の社会関係-近江国愛知郡下平
    流村山田庄兵新家を素材に」 渡辺恒一  2013.06.13
  81. 「湖東地域における複数村落による 神社祭祀」 市川
    秀幸 2015.03.27
     
  82. 三島由紀夫の十代の詩を読み解く18:詩論としての『
    絹と明察』(1)~(7) 詩文楽-Shibunraku
  83. 荒神山神社 公式ホームページ 
  84. 甘呂城と川瀬氏「わたしの町戦国 06」 彦根市
  85. 山崎山城跡「わたしの町戦国」彦根市
  86. 甘呂神社 滋賀県神社庁
  87. 西国の山城: 勝楽寺・勝楽寺城
  88. 日本の香りの歴史|香り花房 [ 香りが学べる香り
    の教室]
  89. 佐々木道誉の足跡と平清盛御落胤伝説を訪ねて 
  90. 肥田城跡「わたしの町戦国」彦根市

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