Hidenori Nodera 野寺秀徳『輝く路の上で』

SHIMANO Racing野寺監督のブログ

星に願いを

2020-03-22 23:20:04 | 日記


困ったものですね。ウイルスという肉眼では見えないものが、私たちの社会に介入し世界中の人々が病気や生活への不安を抱いています。

もちろん私自身その一人ですが、いまだ状況を正確に把握できているとも思えず、正しい行動がどのようなものなのかすら答えを見つけることができません。

まずは事実を見極める努力を続け、冷静に行動することを心掛けたいものです。

開催されるはずのイベント、レースが次々に中止され、それらへの参加を中心とした業務が主な仕事内容であった私は、通常この時期、猛烈に忙しく動き回っているのですがそれらが無く、身体的には楽な日々を過ごしております。


今までは世間と同じように週末に休日がくるだけで、義務教育中の夏休みが来たような解放感すら持っておりましたが、ここ数週間、記憶にある中で最も平穏に自宅を中心とした生活をしている気がします。


この生活リズム、忙しいさなかでは憧れていたものですが、どうも落ち着かず満たされません。


プレッシャーを含む目的が無い生活は「楽」であっても本当の意味での「幸せ」は手に入らないのだと実感できる気がします。


ということで、この週末はとにかく積極的に行動することを意識してみました。


まずは連休初日の金曜日、選手がトレーニングへ出る時間帯にアポなしで私も集合場所へ!


…選手の皆様を驚かせようとしたのですが、どうやら私が練習に参加すること自体には驚いていない様子です…。


ま、最近の合宿中などは、隙あらば選手の疲弊したタイミングを見計らってインターバルメニューに飛び入り参加し、フレッシュな状態で全力でアタックし選手に嫌がらせを試みていた甲斐がありました。?

むしろ迷惑顔ですか?
 
と、いう事で選手に先導してもらう形でライドに出かけたのですが…。

そりゃもう、上り坂や平たん路でペースが上がった時などは苦しい。

心臓が飛び出るほど、とても苦しい。

脚が痛みでどうにかなりそうなほど、猛烈に苦しい。


酸素を求め水面でパクパクしている金魚になったかのように、死ぬほど苦しい。


そしてそんな苦しむ自分に気が付くほどに、


 

猛烈に楽しい!!

 

 


なんなんでしょうね。
この感覚。


長年、競技に近しい位置に居住してきたことで、もはやこの苦しみが無いと幸せを感じられなくなってしまったのでしょうか。


現役選手はというと、トレーニング時間が伸びるほど、競いあうように『おりゃー』とか『ふぉぁー!』


とか言いながら、なぜか無駄にダッシュや全力走を繰り返し始めます。

『レース無いと、調整とか気を使わないから思う存分追い込んで走れて楽しいよな!』


…だそうです。

レース無い=やる気でない

と心配していた私でしたが、どうやらそんな事は無さそう。

彼らにとってライドはレースでの勝敗を意識したものだけでなく、それ自体が楽しいと感じたことで、いつしかレースでの勝負へ繋がったということなのでしょうね。


考えてみれば私もそうでしたし、だからこそ今でもロードバイクの上で苦しむことが最高に楽しいと感じるのだと思います。


久しぶりに連絡を取った学生時代のチームメイトから


『こんな状況だけど昨日もサイクリングでストレス発散してきた。この歳になって改めて自転車競技に出会えたこと感謝してる。』

というメッセージが来ました。

競技から離れても、自転車という道具を使って幸せを目指そうとする姿勢を取る人は私だけでなく、大勢いるのでしょうね。

自然の中で活動することは人を幸せにする。それは事実だと確信しています。

と、いうことで金曜に100㎞程も高強度を繰り返すライドをしてしまった私は全身倦怠感に襲われ土曜は朝からグッタリ。

何とか普段できていなかった身の回りの片づけ作業をしながら日中を過ごし、久しぶりに出かけずに過ごしました。


過ごしたんです。


過ごしたことに気付いてしまったのです!


いつもの悪い癖が出てしまいました。

あ!動かなきゃ!!


ということで、何かに突き動かされた私は気づいたら行動してしまっておりました。


夜中の登山。


しかもあれです。


子供のころ、友達のご家族に連れていってもらったキャンプ依頼、ずーっと一人でしてみたかったあれをやってしまいました。


テント泊。

いや~、あれだ。

ただ山の上で強風に飛ばされそうなテントを組み立てて、寝心地の悪い環境で熟睡もせずに寝るだけなのだけど。

めちゃめちゃ楽しい!!

「ミシュランガイドの審査員知らねぇのかなー。美味ぇなぁ。」

などと考えながら、星空と町明かりにサンドイッチされながらカップラーメンをすするのでした。

わたくし、今の仕事を始めたころ(もう10年近くなるでしょうか)、身体ばかりでなく精神的な忙しさを感じるあまり、ある日突然一人で夜の山に登り始めてしまったんですね。

経験したことが無い闇と孤独への恐怖はありましたが、徹底的に恐怖へ向かい克服することで何かを変えようと思った、のだと思います。

結果、ただただ夜の山も楽しい、と知ったのですが。

なぜかその経験は今の現役選手にも継承され、と言っても選手とは大勢で行くのですが、クロストレーニングにもなるし、何よりも闇と澄んだ空気の中、無心に山頂を目指すことが、そこで見る光景が、メンタルに優位に働く事を皆が知ることになったのです。

もはや私、アウトドア部監督のほうが板につく感じ。

↑写真は先日選手と上った時のもの。誰かと誰かと誰か。暗闇でわかりません。右のは中井選手。通常、この時期にクロストレーニングを行うことは無いのですが今の状況を考慮し、オフトレーニングアゲインです。(言い出しっぺは選手です)
 
何が言いたかったか自分でもよくわかりませんが、とにかく希望と勇気を忘れず過ごします。


星に願いを。

宝くじ当たりますよーに。



あまりに色彩に貧しい記事でした。週末に見た写真を追加。山に咲くスミレ?と庭にいたてんとう虫。春ですね。

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