昨年3月の東京電力福島第1原発事故発生時、首相官邸と経済産業省原子力安全・保安院、現地のオフサイトセンター、自治体などを結ぶ国の専用回線に、首相官邸のテレビ会議システムが接続されていなかったことが3日、分かった。
官邸では訓練の時だけつないでおり、事故時に誰も接続作業をしなかった。システムは平成11年に起きた東海村臨界事故を受けて整備し、回線の維持費は年間計5億~6億円。福島事故では放射性物質の拡散予測システムを活用しなかったことが判明しており、
巨額の費用で整備した防災システムを生かさなかった事例がまた表面化した。
システム機材は、事故対応に当たる官邸地下の危機管理センターではなく4階の会議室に置いてあり、接続作業は原子力安全基盤機構と内閣官房が担当。機構の担当者は「オフサイトセンターの支援などに追われ、思いつかなかった。官邸や保安院から要請もなかった」とし、内閣官房は「保安院の職員が官邸に詰めて電話やファクスで連絡を取っていた。必要なかったか余裕がなかったか、使わなかった理由は分からない」と説明。常時接続するよう改めるという。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120404/crm12040408020002-n1.htm