平成21年3月23日午前9時頃から午後2時30分頃まで、和歌山地方法務局橋本支局で、不動産登記システムの障害が発生した。障害の詳細な内容は公表されていないが、法務省のオンライン申請システムから転送される申請情報を受信できなかったようである。
オンライン申請システムに申請情報を送信しても管轄登記所に転送されない場合は、受付番号が付されないということであり、午前9時に登記所に到達し受付処理されるべき申請が、午後2時30分に受付処理されたのであれば、その間に登記所に提出された書面申請よりも後の受付番号が付されたということになる。
法務省は、平成21年3月17日オンライン申請システムに障害が発生し、申請情報を送信できない場合の救済策を発表したが、「システムが申請情報を受信後、管轄登記所に転送できない障害が発生した場合は、復旧後受付処理をすることが可能であるから、救済策は講じない。」としている。
しかしながら、オンライン申請システムに送信した申請情報が管轄登記所に転送されないということは、登記所窓口に提出した申請が放置され後から提出された申請が先に処理されるのと同じことであり、登記制度上極めて重大な問題である。
申請情報をオンラインで送信した場合1000分の1秒単位で到達時刻が記録される。登記所窓口に申請書を提出した場合、直ちに受付票が発行されている。この受付票の発行時刻も当然に記録されているはずであるから、到達時刻による受付順位の確認は可能と思われる。
申請情報を送信することができない場合は、メールで受付けて、当日の最終受付番号の枝番を使って(違法な)受付処理をするのであれば、システム障害により申請情報が登記所に到達しない場合も同様の救済策を採用すべきではないか。
システム障害の全てに対し適切な対応をすることができないのであれば、オンライン申請を中断すべきである。