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平成29年5月29日から「法定相続情報一覧図」の保管申出・交付が始まりました。

不動産登記のオンライン申請利用促進のための改善策について

2007-12-12 | オンライン申請
法務省は、半ライン申請を実施するために、不動産登記令の附則に一条追加し、添付情報の別送を認めることとしました。

(添付情報の提供方法に関する特例)
第5条 電子情報処理組織を使用する方法により登記の申請をする場合において、添付情報(登記識別情報を除く。以下同じ。)が書面に記載されているときは、第10条及び第12条第2項の規定にかかわらず、当分の間、当該書面を登記所に提出する方法により添付情報を提供することができる。

添付情報の一つである「登記識別情報」については、電子情報であるとして、別送の対象から除かれていますので、原則どおりオンラインで提供することになります。
具体的には、先日紹介しました、一見セキュリティが確保されているような(実態は、適当な値を入力すれば添付情報として認識する)○○ソフトで暗号化して申請情報に添付して送信します。

つまり、申請人に見せかけだけのセキュリティ確保のために、必要以上の煩雑なパソコン操作を要求して、登記識別情報を提供させるシステムになっています。

登記識別情報は、オンラインで提供及び取得するために考案されたものですから、オンライン申請の際には、当然にオンラインで提供及び取得するシステムになっています。
提供の際は、申請人の電子署名も必要です。

しかしながら、登記識別情報を提供する際に必要な電子証明書は充分に普及していません。そこで、申請人に代わって、代理人である司法書士が電子署名すれば良いと考えたわけです。

そのためには、不動産登記法の改正も必要なのではないかと思っていたのですが、不動産登記規則に(申請人から登記識別情報を知ることを特に許された者に限る。)と、従前の登記識別情報に関する説明では考えられないような一言を追加しただけでした。

(登記識別情報の通知の方法)
第63条 登記識別情報の通知は、法務大臣が別に定める場合を除き、次の各号に掲げる申請の区分に応じ、当該各号に定める方法によるものとする。
 一 (略)
 二 書面申請 登記識別情報を記戟した書面を交付する方法
2 登記官は、前項の通知をするときは、法第21条本文の規定により登記識別情報の通知を受けるべき者及び前条第1項各号に定める者並びに同条第2項の代理人(申請人から登記識別情報を知ることを特に許された者に限る。)以外の者に当該通知に係る登記識別情報が知られないようにするための措置を講じなければならない。

今回の登記規則の改正では、書面申請の場合の登記識別情報を郵送で交付する方法が規定されております。オンライン申請の場合は、オンラインでの提供及び取得が原則であり、その点について変更するとの具体的な規定は書かれておりません。

しかし、規則第63条第2項の括弧書きだけで、オンライン申請の場合の登記識別情報の提供及び受領は、申請人から登記識別情報を知ることを特に許された者(司法書士)ができることになったのです。

これにより、登記識別情報は、名義人しか知らない情報ではなく、交付された瞬間に名義人以外の者も知っている情報になったのです。
つまり、法務省の登記識別情報に関する説明は大きく変わったのです。

更に、不動産登記のオンライン申請利用促進のための改善策について(要綱案)の最後の部分に「オンライン申請した場合についても、当分の間、法務大臣の定める方法により登記識別情報通知(書面)の交付を希望することができるものとする。」と、書かれております。

つまり、一方でオンラインでの提供しか認めないと言いながら、一方では希望すれば書面でも交付しますと言っているのです。

登記識別情報がオンライン申請の阻害要因であることは、平成18年の神奈川県での実証実験で証明されています。法務省はそのことを充分に認識しながら、何ら対策をせず、オンライン申請の利用促進のために、今までの説明とは矛盾するのではないかと思われるようなことをしているのです。

登記情報の電子化はほぼ完了しています。登記のオンライン申請の利用促進は当然の流れです。そのためには、利用しやすいシステムにする必要があります。
法務省が登記識別情報に拘って、使いやすいシステムを提供できないのであれば、仕様を公開し、民間の協力を求める必要があります。

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