虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

アトミック・カフェ(1982/アメリカ)

2007年08月06日 | 映画感想あ行
THE ATOMIC CAFE
監督: ケヴィン・ラファティ
ジェーン・ローダー
ピアース・ラファティ
 米ソの原爆製造が盛んに競われていた40年代後半から50年代に、アメリカ政府が国民用に製作した数多くの原爆PRフィルムやニュースフィルムを再編集したドキュメンタリー作品。

 私の最近の症状の一つが、夜中に眼が覚めて眠れない、というものなのだが、病院ではおとなしく寝ていても、家に帰れば映画を見てしまうのです。そういうわけで見た深夜のテレビ映画。ホラー映画が裸足で逃げ出すくらい恐ろしい映画だった。収録されている当時の映像は、今の私の貧しい知識だけを持ってしてもる大嘘や捏造だらけで、原爆が爆発したら「さっと隠れて頭を覆え」(子供向けの対処法指導)よくまあここまで、というすっとぼけオンパレードなのだが、ことがことだけに笑うに笑えない。
 こういう政府お墨付きの情報が大真面目に流布され、 みんなそれを信じていた…今でも一部信じてるんでしょうね。
 音楽だけが映像にかぶせられて、ナレーション等はすべて当時のオリジナルそのままらしい。

 放射能が危険なのは傷口から体内に入ったときと説明されただけで、きのこ雲に向かって突進する訓練をさせられたアメリカ兵たち… 「被爆した人たちは見たところ元気そうでした」と言い捨てられ、故郷と健康を奪われたビキニ環礁の島々の人たち…

 第5福竜丸についてのニュースはマグロの扱いのほうが人より大きい。
 当時を覚えている50代の人に伺ったら「日本でもそんなものだったよ。放射能マグロに怯えて魚が食べられないという反応のほうが、何も知らずに死の灰を浴びた人に対する悲しみや怒りよりも大きかったようなような気がする」
 いいの悪いのでなく、原爆が人類にとって必要無いもの・被爆はもう2度と起きてはならないことだという認識が人類にとって共通のものになる日を、キング牧師じゃないけれど、"one day""some day"を夢見ていくしかないんでしょうね。

 ほんとに見られて良かった。不眠傾向もこういうときにはお得に感じてしまった。